大橋麻衣子「シャウト」一番最後の名前 2011-05-31 06:03:09 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 拾い上げたショーツ身につけてゆく様をしかと鏡に映されている 自分を見たくない。けれど、しっかりと映してしまう鏡。どうしたって、逃れられない。日常にこそ地獄はある。
草野心平「第百階級」秋の夜の会話(ことばの流星群、大岡信) 2011-05-31 06:00:51 | クンストカンマー(美術収集室)詩・俳句 さむいね ああさむいね 虫がないてるね ああ虫がないてるね もうすぐ土の中だね 土の中はいやだね 痩せたね 君もずゐぶん痩せたぬ どこがこんなに切ないんだらうね 腹だらうね 腹とつたら死ぬだらうね 死にたくないね さむいね ああ虫がないてるね
芥川龍之介 2011-05-30 05:57:16 | クンストカンマー(美術収集室)詩・俳句 木がらしや目刺(めざし)に残る海のいろ 芥川龍之介 森澄雄「俳句への旅」より 「木がらし」は冬の初めに吹く、強く冷たい風。その風と「目刺に残る海の色」は繋がっている。目刺しは干からびた死体とも言える。そこに生きていた時、泳いでいた海の色を見るのは虚しいことだろう。木枯らしは虚しさなのだ。
大橋麻衣子「シャウト」一番最後の名前 2011-05-30 05:56:50 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 くり返し突き上げられる衝撃に揺れる体、カラダノミニテ 物理的に突き上げられれば揺れる体。しかし、心は揺さぶられない。思いやりのないセックスほど、心を殺す行為はないだろう。
短歌人5月号「会員2」有朋さやか 2011-05-29 04:52:48 | 平成23年短歌人誌より 足という荷物をのせて沖へゆく靴はしずかな船かもしれぬ 本当は身体全部、運んでいるが足だけで見ると船に見える。その見立てが詩である。結びの「かもしれぬ」も余韻を感じた。