ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

題詠blog2009:091~100

2010-02-05 06:09:05 | 題詠blog2009
091「冬」
冬の昼、冬の海岸、冬の風、冬のポケット、冬の唇

092「夕焼け」
家出した少年の瞳(め)を後悔と夕焼け空が真っ赤に染める

093「鼻」
是が非でも非が是でもいい手に入れるシラノの鼻は今は忘れて

094:「彼方」
「なんやねん一体あいつ」持て余す悔しい気持ち飛べ彼方まで

095:「卓」
出て行った君が残した食卓の萎れた花を捨てられずいる

096:「マイナス」
マイナスとプラス思考の中間に浮かんだ雲でむさぼるひる寝

097:「断」
僕たちのようにときどき訳もなく断線しない携帯電話

098:「電気」
身に電気帯びてる者はぬゅるぬゅるとナマズにクラゲ、ウナギに女

099:「戻」
戻れなくなるほどとおくとおくまで連れ去ってゆく空をみる君

100「好」
好きなぶん憎いと思う短歌とは言葉を越えて愛の領域


題詠blog2009:081~090

2010-02-03 06:05:34 | 題詠blog2009
081:「早」
早朝の遊園地だね僕たちは静かに強く手を握り合う

082:「源」
一面にビニール傘の花が咲く水源として夕立が降る

083:「憂鬱」
「するべき」と「どうせむり」とを同じだけ混ぜ合わせれば憂鬱になる

084:「河」
もう少しここにいさせて欲しかった河口に立っている僕たちは

085:クリスマス
クリスマスだけ弟に嘘をつく思えばそれが始まりだった

086:「符」
君といるそれだけでもう電線にとまった鳩が音符に見える

087:「気分」
答えにはならないんだよ気分ってその先にあることを教えて

088:「偏」
思い出は編集されず唐突に再生される例えば風が

089:「テスト」
いつだって望む世界の太陽はテストの先に高々とある

090:「長」
先輩も長い舌だと知っていた平和のために訳は聞かない

題詠blog2009:071~080

2010-02-02 04:52:47 | 題詠blog2009
071:「痩」
正直に言うといつでも聞き流す昨日の夢と痩せたい話

072:「瀬戸」
瀬戸物を割れば許してくれるなら綺麗に割れるお皿を焼こう

073:「マスク」
外向きのマスクならいい内向きにつけたらきっともう外せない

074:「肩」
溺れてる君が夢中で掴まった肩だったのが僕だっただけ

075:「おまけ」
ラムネっておまけじゃないと言いながら僕に向かって弟が泣く

076:「住」
衣食住足りて近頃きみにした酷い仕打ちを思い出してる

077:「屑」
真っ直ぐに君に当たって砕け散る光の屑を拾い集める

078:「アンコール」
もしないといたたまれなくなりそうでアンコールまでいたことがない

079:「恥」
目を閉じて耳に心を当ててみる愛とはいつも恥ずかしい音

080:「午後」
プールから帰って眠る子供らは午後の漁船のように静か


題詠blog2009:061~070

2010-02-01 06:09:37 | 題詠blog2009
061:「ピンク」
ピンクって言う時いつも無意識にミック・ジャガーになりにけるかも

062:「坂」
漕ぐ力、坂の傾斜と拮抗し奇跡のように静止している

063:「ゆらり」
別れ告げ立ち上がったら見えていた胸の谷間の深さにゆらり

064:「宮」
また昨日きみの子宮で宙返りした夢を見たから会いに行く

065:「選挙」
別れると覚悟を決めて来たけれど大音量で選挙演説

066:「角」
痛い目にあえば見えないものも見え例えば君の額に角が

067:「フルート」
「くちびるをドナルドダック」そう言って僕の持ってるフルートを吹く

068:「秋刀魚」
あまりにもきれいに秋刀魚食べるからやっぱり猫であったと思う

069:「隅」
オセロなら必ず隅が取られても置くしかないという間柄

070:「CD」
眩しいと思えば君がCDの裏で光を反射させてる

題詠blog2009:041~050

2010-01-25 06:52:18 | 題詠blog2009
041:「越」
氷壁を国境沿いに巡らせる我が帝国に越境者有り

042:「クリック」
お互いにダブルクリックしなかった君もクリック我もクリック

043:「係」
大至急消防士様係員通用口へお越しください

044:「わさび」
はや父がわさびを取りに行くと言い山に入って10年が経つ

045:「幕」
幕開けのブザーが僕にブーイング浴びせ掛けてるように聞こえる

046:「常識」
まず君の今日の運勢からチェックするのが僕の常識になる

047:「警」
右の目が細くなったら警戒をシグナルアイズレッド点灯

048:「逢」
逢うという漢字はいつも艶めいて君を抱きたい時だけ使う

049:「ソムリエ」
味覚へとたどり着けないソムリエの言葉と僕の短歌は同じ

050:「災」
「くくく」ってどんな笑いか気になって僕の火災は広がっていく