阪森郁代「ランボオ連れて風の中」昨夜の驚き 2013-04-30 05:50:57 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 われもまた溟(くら)き駅舎に群がりて靄ふかき野に奔りゆかむや 昨日、禽獣の元ではないと述べたがそれは現実世界でのことだ。作者の創造世界では駅舎に群がっている。ここで大切なことは作者の世界に他者がいるということだ。靄ふかき野に一緒に向かう他者が。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」昨夜の驚き 2013-04-29 05:55:01 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 轟きて地下の列車は夜もゆく月照る森に禽獣を恋ひ 地下はもともと暗い。故に夜も昼もなく月も見えないはずだ。だからこそ、本物の夜や月照る森が見たいのだ。いくら轟くほどに走っても行き先は禽獣のもとではない。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」昨夜の驚き 2013-04-28 06:01:01 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 稀なれば常に敗者となりゆかむ白き鴉は野ざらしとなる 白き鴉は無論、作者だ。これは作者の創造世界においての異端者という意味であり現実世界においてもそうだ。稀であるということは孤独なのだ。但しこの一首にあるような光景を覚悟するなら闘っていけるのだろう。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」昨夜の驚き 2013-04-27 05:57:19 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 白きものくはへひとたび振りかへり犬はゆきたり岨道とほく 岨道とは峠を越える険しい崖道。この犬がくわへた白きものは一体何なのか。それは謎だが岨道とほくに行ったことは重要だ。それは何かが去ったことを意味するからだ。
阪森郁代「ランボオ連れて風の中」昨夜の驚き 2013-04-26 05:50:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 人間の凜(さむ)き空想かなしみて山羊は立野の草葉に眠る 立野は農民が入るのを禁じられた原野。そこにある草葉に眠る山羊。この一首の山羊は賢者のように私には思える。人間の凜き空想よりももっと豊かなことを山羊は空想している。