短歌人6月号「君ははるかな」森谷彰、同人2 2011-06-30 05:53:02 | 平成23年短歌人誌より かなしみに理由あれこれつけながら胸におさめること多くなる 生きている人はこれからのために、区切りをつける。例え強引にでも理由をつけて。そうしなければ生きていけないからだ。段々と胸におさめることが上手くなる。それがちゃんとした大人になるということなのだ。
大橋麻衣子「シャウト」真夏のディズニーシーで 2011-06-30 05:52:32 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 限界に気づいたのだろう空めざす恰好のままクレーンは立つ 風景の捉え方はその人の置かれた状況や環境を如実に示す。限界に気づいたのは作者なのだ。けれど、クレーンは空を目指すことを止めないだろう。動き続ける限り。
短歌人6月号「君ははるかな」森谷彰、同人2 2011-06-29 04:46:45 | 平成23年短歌人誌より 桜前線駆けて来るのに君は死す無情は花も埒外とする 桜は間に合わなかった。本当に見せてあげたかっただろう。桜前線が駆けて来ていたように感じたのは、間に合ってくれという願いもあっただろう。死は一切のこれからを拒絶する。
大橋麻衣子「シャウト」真夏のディズニーシーで 2011-06-29 04:46:08 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 テーブルの表面に穴をあけること可能かも知れず溜息をつく 溜息を何万回もついたのだろう。穴をあけることも可能だと感じるくらい。溜息は闘い疲れた時につく。作者にとって毎日が闘いなのだ。
短歌人6月号「君ははるかな」森谷彰、同人2 2011-06-28 05:49:08 | 平成23年短歌人誌より 「もう痛むところはないね」黄泉に発つ兄にせめてもの別れのことば 作者は弟ばかりではなく兄にも先立たれている。(一連の欠落した歌に違う事実があるかも知れないが)病に苦しめられた人に死はある意味で救いでもある。もちろん看病をする人にも。