ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

短歌人4月号「春の書体」三島麻亜子、卓上噴水

2012-03-31 06:34:08 | 短歌人誌より
おだやかに生くる術なら知つてゐる畳まれしままの千の折り鶴

夥しい数の折り鶴はみな畳まれたままだ。飛び立つ気配はない。しかし千羽鶴をよく見ていると、一羽一羽からとても静かな祈りを感じ、強い存在感を感じる。おだやかに生きるとは実はとても強いことなのだ。

阪森郁代「ボーラといふ北風」味はひて知る

2012-03-30 07:00:57 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
くるぶしも拳のひとつ「拒絶されるために書く」とふ吉本隆明

くるぶしは足にある。足を使えということだろう。拒絶されるために書くということは問題を提起したいのか。それとももっと深い意味か。拒絶を恐れては在り来りの文章しか書けないのは確かだ。
悲しい偶然としてこの一首と出会ったので。
吉本隆明氏の御冥福をお祈りします。

短歌人3月号「カルミナ、・ブラーナ」大森益雄 、同人1

2012-03-29 06:00:09 | 短歌人誌より
父逝きて二年半なり母の手を握りて細き指輪に触れつ

われの手を行くたび褒めてくれる母 手のあたたかさなどをよろこび

手が生み出すもののなかで最も価値のあるものは温もりだろう。この二首を読んでいてつくづく思う。母は子供の手があたたかいだけで喜ぶ。あたたかいことは生きているということだ。