ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

短歌人6月号

2012-05-31 06:08:59 | 結社提出歌
校庭のうさぎみたいに耳を立て君の足音待っている夜

ヤシの実のポーズと言って膝を抱き狭い湯舟にぽくりと浮かぶ

休むこと知らずに君は警官の看板みたいに前向きである

魔人という体育教師のものまねをするとき君は強さを求む

赤点滅の信号のごと幸せを僕はぼんやり見つめてしまう

説明書みたいな記憶必要なときにはいつも見つけられない

阪森郁代「ボーラといふ北風」罪

2012-05-30 04:54:36 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
黒土も噴水もある公園にこゑの遊べる人影がない

不在を詠むことで存在をより強く印象付ける。存在を詠むことで不在を強くすること。それを感じさせる一首だ。誰もいない公園を見ている作者。しかし作者には見えている。黒土で遊ぶ子や噴水の前で語らう男女が。

詩、路線バスの空

2012-05-29 06:18:26 | 
今日もまた誰かが好きなときに乗り込んで来て好きなときに降ていく

行き先は決められていて同じ道を行ったり来たり

時々、道のない空をゆったりと飛ぶ飛行機に嫉妬したり

いつまでもその場所を動かない棄てられた自転車を見下げたりもする

けれども今日を懸命に走り停まり曲がり

生きている

恥じ入らなければならないことはあるけれど

進む

空にいる偉い誰かがエンジンを切るまでは