ある五月の晴れた夕方
ものがなしがゆっくり僕の奥で動き出し
いても立ってもいられなくなり
歩き始めた
歩き出してすぐ
ものがなしが僕に問い掛ける
ものがなし、ものがなし、ものがなし
僕は答える
ものがなしくなし、ものがなしくなし、ものがなしくなし
そんな問答
繰り返し
繰り返し
繰り返し
そしたらコマあり自転車に乗った四歳くらいの少年が僕に言う
こんにちは、バイバイ
僕は涙がこぼれてしまい
少年は不思議そうに僕を見る
僕は少年に顔を見られないように
空を見上げて
背を向けて
少年に手を振る
ものがなし、ものがなし、ものがなし
ものがなしがゆっくり僕の奥で動き出し
いても立ってもいられなくなり
歩き始めた
歩き出してすぐ
ものがなしが僕に問い掛ける
ものがなし、ものがなし、ものがなし
僕は答える
ものがなしくなし、ものがなしくなし、ものがなしくなし
そんな問答
繰り返し
繰り返し
繰り返し
そしたらコマあり自転車に乗った四歳くらいの少年が僕に言う
こんにちは、バイバイ
僕は涙がこぼれてしまい
少年は不思議そうに僕を見る
僕は少年に顔を見られないように
空を見上げて
背を向けて
少年に手を振る
ものがなし、ものがなし、ものがなし