短歌人8月号「付箋」鶴田伊津、同人1 2012-08-31 07:17:50 | 短歌人誌より 「ママいつもわらっていてね」子のくれし手紙を冷蔵庫のドアに貼る 冷蔵庫という冷やすものに貼るのに意味を見出だすのは考えすぎか。私もそうだが何故冷蔵庫に貼るのか。家族の一番集まる場所だからか。「ママいつもわらっていてね」の無邪気な希望。けれど、大人のほうが泣きたいことが多い。
短歌人8月号「会員2」森敏子 2012-08-30 04:55:39 | 短歌人誌より 空き缶が転がりてをりぬコカコーラの文字が不届き者のごとくうねる コカコーラ。アメリカの象徴のような商品。もしも「おーいお茶」ならどうだろう。不届き者だと思っただろうか。あの赤でなく緑なら。「文字がうねる」というのが動きがあって面白い。
短歌人8月号「会員1」勺禰子 2012-08-29 06:04:35 | 短歌人誌より 目の前の回送車両に目を凝らしいけないものをさがしてしまふ 私もそうだ。乗っていてはいけないものをつい探してしまう。例えば降り損ねた乗客。例えばこの世のものでない存在。作者のあの目ならなんでも見えそうだ。暑い夏にぴったりの一首。
短歌人8月号「犬の眼」伊波虎英、同人2 2012-08-28 06:22:44 | 短歌人誌より 食道を逆流するごとエレベーターのぼりてわれを医院へ吐き出す ビル自体が一個の生命体のような見立ての大きい一首。医院へ行くのだから本当に食道を逆流したのだろう。エレベーターから吐き出された自身。まるで嘔吐物のような。
短歌人8月号「会員2」海野雪 2012-08-27 04:48:16 | 短歌人誌より ブランコの下に敷かれたゴムシート誰にも踏まれず土に埋もれる そういえばゴムシートがある。なぜだろう。私の子供時代にはなかったと思う。基本的にブランコに乗るのだからその下のゴムシートは踏まない。気付きの一首だが、それだけではない。その忘れられたゴムシートに重ね合わせた自分がいるのだ。