静かなる怒りのようにいつまでも落ちそうにない線香花火
ふさふさと翼あるもの遊ぶなり風ある日向に山鳩も子も
最初に翼を出しておいて、風を出す。すると翼に動きが出る。そこに日向で輝きを与える。親の目線と同じ光景が鮮やかに脳裏に浮かぶ。「ふさふさ」とで子の髪と山鳩の翼を繋げた所も技巧的。
最初に翼を出しておいて、風を出す。すると翼に動きが出る。そこに日向で輝きを与える。親の目線と同じ光景が鮮やかに脳裏に浮かぶ。「ふさふさ」とで子の髪と山鳩の翼を繋げた所も技巧的。
必ずや吾を喰ひつくす男なり眼をあけしまま喰はれてやらむ
この一首は
灼きつくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ
「乳房喪失」中城ふみ子
と似ている。両方、眼を開けたまま自らの運命を見定めようとしているが、中城ふみ子が相手にかなしみ給えといっているのに対し、河野裕子は自ら覚悟を述べている。そこに両者の歌のスタンスの違いが出ている。
この一首は
灼きつくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ
「乳房喪失」中城ふみ子
と似ている。両方、眼を開けたまま自らの運命を見定めようとしているが、中城ふみ子が相手にかなしみ給えといっているのに対し、河野裕子は自ら覚悟を述べている。そこに両者の歌のスタンスの違いが出ている。