ぶらつくらずべりい

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「桜森」河野裕子 花

2010-07-30 07:07:43 | クンストカンマー(美術収集室)
必ずや吾を喰ひつくす男なり眼をあけしまま喰はれてやらむ

この一首は

灼きつくす口づけさへも目をあけてうけたる我をかなしみ給へ
「乳房喪失」中城ふみ子

と似ている。両方、眼を開けたまま自らの運命を見定めようとしているが、中城ふみ子が相手にかなしみ給えといっているのに対し、河野裕子は自ら覚悟を述べている。そこに両者の歌のスタンスの違いが出ている。