短歌人12月号「有毒な夢」魚住めぐむ、同人2 2011-12-30 05:12:12 | 平成23年短歌人誌より 口実を持ちより眠る指と腕と脚と額と胸くっつけて やましさから人は口実を必要とする。けれど、どれだけ無茶な口実であっても、触れ合った時の温かさはリアルだ。だからこそ、指、腕、脚、額、胸、どこにも隙間がないようにくっつけている。 大人の方が抱き合うことに口実がいる。
短歌人12月号「有毒な夢」魚住めぐむ、同人2 2011-12-29 05:51:19 | 平成23年短歌人誌より やましさは薄れはじめるまだ雨は止まない夜の空白のなか やましさを感じられるほど、まだ新鮮なのだ。人はやましさにも慣れてしまう。特に共犯者がいれば。止まない雨、夜の空白と舞台も整っている。
短歌人12月号「有毒な夢」魚住めぐむ、同人2 2011-12-28 07:41:36 | 平成23年短歌人誌より 濡れた靴 濡れたスカート 濡れたシャツ 窓の向こうに降りつづく雨 映像が次々に浮かぶ。靴、スカート、シャツ。下から順に視線は上に。スカートだから女性。濡れたシャツもセクシーだ。 降りつづく雨もまたセックスの象徴だろう。
短歌人12月号「グラジオラス」内山晶太、同人2 2011-12-25 04:57:10 | 平成23年短歌人誌より 桃の汁あふれ肘までしたたれるあらくれて一人桃を食うとき 上句を読んだ所でスッとでどこかエロチックな映像が浮かぶ。それに「あらくれて」で野生味を加え再度、「一人桃を食うとき」で映像を喚起させる。とてもセクシーな一首だ。
短歌人12月号「会員2」海野雪 2011-12-24 05:58:38 | 平成23年短歌人誌より もがれたる無花果ににじむ白き汁 許すと言えぬ秋の過ぎゆく 短歌の中でまったく無関係といえる二つを並べると、必然的にその二つを結び付けて考える。これは不思議なことだと思う。例えば食卓に小説とミカンが並べてあってもなかなかそれらを結び付けないのではないか。 まぁ、それは置いておくとしてこの一首。無花果の白い汁が許すと言えない自分の心の膿に見えたのだろう。季節もまた愁いの秋だ。言えずに季節は変わったのか。