ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

短歌人12月号「有毒な夢」魚住めぐむ、同人2

2011-12-30 05:12:12 | 平成23年短歌人誌より
口実を持ちより眠る指と腕と脚と額と胸くっつけて

やましさから人は口実を必要とする。けれど、どれだけ無茶な口実であっても、触れ合った時の温かさはリアルだ。だからこそ、指、腕、脚、額、胸、どこにも隙間がないようにくっつけている。
大人の方が抱き合うことに口実がいる。

短歌人12月号「会員2」海野雪

2011-12-24 05:58:38 | 平成23年短歌人誌より
もがれたる無花果ににじむ白き汁 許すと言えぬ秋の過ぎゆく

短歌の中でまったく無関係といえる二つを並べると、必然的にその二つを結び付けて考える。これは不思議なことだと思う。例えば食卓に小説とミカンが並べてあってもなかなかそれらを結び付けないのではないか。
まぁ、それは置いておくとしてこの一首。無花果の白い汁が許すと言えない自分の心の膿に見えたのだろう。季節もまた愁いの秋だ。言えずに季節は変わったのか。