四、五年ほど前までは、ほとんどなかったのに、最近、方向指示器(ウインカー)を出さない車が増えてきた。
出しても右左折するのと同時に出す。
こちらが直進しようとしている時に、対向車が突然右折してくると大きな事故につながる。
ウインカーを出さない奴もそれがわかっているのだろう、左折する時に出さない。
こちらが右折する(対向車と同じ方向に回る)時なら、少し待つだけで、事故にはなる可能性は低いからだ。
めんどうくさい、かっこ悪いからウインカーを出さないらしい。
右左折する30m手前から、ウインカーを出すことが義務付けられている。
ウインカーを出さずに右左折をした場合、合図不履行違反となり、違反点数1点と反則金6000円(普通車)が科せられる。
立派な交通違反、ルール違反なのだ。
にもかかわらず、規則なんか守っているのはダサイと思っている人間が増えてきた。
イオンモールに買い物に行った。
平日だというのに、けっこう人が多い。
広い通路を右側通行していると、前から若い女の子が3人、話しながら歩いて来た。
よろよろと歩いている年寄りを見たら、当然、女の子たちが避けるだろうと思っていたら、そんな素振りがみえない。
思わず年寄りが道を開ける。
私のような古い人間からすると、自分より年上の人が前から来たら道を譲るのが礼儀でありマナーである。
にもかかわらず、個人が皆と平等に行動できる空間では、礼儀なんぞは必要ないと思う人間が増えてきた。
ウインカーを出さないルール違反や道を譲らないマナー違反の阿保に対して、いちいち目くじら立てていては、正直者が馬鹿をみる世の中になったのかもしれない。
それだけ日本社会が正常に向かいつつあるのだろう。
戦前のような、個人は社会に従い、それがために個人の意思が翻弄される時代は終わった。
今は、個人は社会に従う必要はなくなり、個人の意思が尊重される時代になった。
だからといって、それに甘んじることなく、新しいものを求めていかないといけない。
「古い奴だとお思いでしょうが、古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。どこに新しいものがございましょう。生まれた土地は荒れ放題、今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃござんせんか」
♪何から何まで真っ暗闇よ
すじの通らぬことばかり
右を向いても左を見ても
ばかと阿呆のからみあい
どこに男の夢がある♪
(平成10年 『傷だらけの人生』 歌:鶴田浩二 詞:藤田まさと 曲:吉田正)