空は青い。
地球を取り巻く空気が、青い光をよく反射するからだ。
空気が少し青いから、空は青く見える。
我々の周囲には空気があるので、青い光に満ちていることになる。
だから、青色の花は少ない。めだたない!
畑を見回しても青色の花は無い。
と、思っていたら有った。
露草。
しかも、実に見事な青。
昔は露草の花の汁を染料に使っていたので「着き草(→月草)」と呼んでいた。
ところが、色が定着せずにすぐにあせてしまうので、はかない恋の象徴として歌に詠まれた。
朝(あした)咲き、夕(ゆふべ)は消(け)ぬる月草の 消(け)ぬべき恋も我れはするかも [万葉集]
(朝に咲いて、夕方にはしぼんでしまう月草のような消え入りそうな恋であっても、私はするかもしれませんよ)
この露草の花で染めた木綿を「縹(はなだ)」と言ったことから、青色を「はなだ色」と呼び、それが江戸時代に「はな色(花色)」に変化する。
上方落語のなかの『花色木綿』がそれである。主として着物の裏地に使っていた。
「着物の裏地は花色木綿に限る」と教えられた男。それからというもの、布団が破れたと聞くと「裏は花色木綿に限る」。草履に穴が空いたと聞けば「裏は花色木綿に限る」。はては、やかんの底に穴が空いたと聞けば「裏は花色木綿に限る」。
ある日、男が住む長屋に泥棒が入ったが誰も捕まえようとはしない。それを見ていた大家が嘆いて言う。
「この裏長屋のやつは弱いやつばっかしやなあ」
すると男が「裏が弱かったら花色木綿にしなはれ」
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