何年も前に買ったトキワシノブ(シダ)を庭石の上に置いていたら大変なことになっている。
ここまでくれば、ほぼ野生。
放っておく手はあるまい。
というので、江戸時代に庭師がお得意様へのお中元に作りはじめたという「釣しのぶ」作りにチャレンジ!
シダ植物は日陰を好み、乾燥にも強く夏でも育てやすい。
また、葉は切れ込みが多く涼しげである。
庭の遣水燈篭の火影 夏の小座敷釣しのぶ (俗謡)
夏の夕方、軒に吊るした釣しのぶが風に揺れる。
もうそれだけで涼しいではないか。
シダは繁殖力の強さ、葉の裏に胞子嚢を多く持っていることから子孫繁栄・商売繁盛の象徴でもある。
徳川家康が兜(かぶと)の前立(まえたて)にシダの葉を用いたのもそのためだろう。
朝ドラ『らんまん』に出てくる嫌味で憎たらしい田辺教授によると、シダは花も咲かせず種も作らないが、太古の昔から胞子だけで増える。
だから、シダ植物は陸の植物の覇者だった。地上の植物の始祖にして永遠のものなのだと、自分と重ね合わせて言う。
なんちゅう 腹の立つ奴ちゃ!
【植物に上も下もないがや! みんな自分の環境の中で必死に生きているがやき!】
釣しのぶを作っている間に主人公の万太郎がのりうつる。
そこで、水ゴケとケト土を適当に混ぜて、練って、丸めて、苔でくるんで、根っこを巻きつけて、とりあえずは完了!
【説明はそれで終わりがや? えらか速いねや!】
植物の今いる環境を無理やり替えてしまうのやさかい、できるだけ手際よく新しい環境に移してやらんとあかんやろ!
【なるほど! ほんでどないするがや?】
ほんの間は湿気の多い陰らで育てて、環境になじませたんねん!
【そらよかこつ! 草木は友達ちゃ!】
朝な夕なに草木を友に すれば淋しいひまもない /牧野富太郎
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