前作つながりで、こちらは、フィクションです。
物語だと、スコット・ペックさんの考えがもっとよくわかるかもと思い、読んでみました。
老人ホームが舞台で、導入の登場人物全員がその後の展開のメイン登場人物でないため
か、読み始めで挫折しそうになりましたが、「翼のように広がる建物」というところで、ちょっと
興味を引かれ助けられ、看護助手と理事長の登場を過ぎると、そのまま最後まで読むこと
が出来ました。
物語を読んだのは久しぶりでした。キャラクターをつかむのに、少し手間取りましたが、
途中から殺人事件のミステリー仕立てなので、どきどき読み進めることが出来ました。
前回読んだ心理療法の事例集の本も、「邪悪」がテーマでしたが、この本も、また、そうでし
た。
「邪悪」とは、前作で言うと、自殺した兄が使った銃をクリスマスプレゼントに親からもらった
子どもの心に起こるような動揺、迷い、混乱、を引き起こす「もの」、その親の「無自覚で破壊
的な行動」だと、良心を持つ人からは「良心はないのか」と言われてしまうような行動、
だと解釈しました。
そして、今回の本では、3人が「邪悪」のモデルとして、出てきたと思うのですが、
「邪悪」とはいえなくても、覚醒する前の警部、良くなる前の見習い看護婦など、
鈍感ということも、危険なことで、この本の中では劇的に、良くなっていきましたが、
そのような、劇的な変化が実際の人にも起こっている事例は、作者は知っているのだろうし、
それが、救いの小説でした。