おはようございます。5月2日から4日、東京・水戸に出かけた。今朝も沖縄モードをとり戻せていない。昨日の午後、那覇で開催されるシンポジウム「変貌する安全保障環境と沖縄」を聴きに行く予定だったが、バスに乗り遅れアウト。これはダメだ。
お陰で、私は6月の東京都美術館に行くとのご案内を東京近辺の友人等に送ることができた。何人が来てくれるか分からないが、新たな再会の中で、新たな連帯の目を、創造の芽をつくれれば、嬉しい。
梅雨シーズン。大雨ならば、端から撮影不可。ただ天気が激変することも多く、晴れたと思ったら、強雨が降るし、こっちは降っているのに、あっちは晴れているということも度々起きる。このこっちとあっちの間は、10m(メートル)ということもある。沖縄で虹を見る機会が多いのは、こうした「かた降り」が影響している。
梅雨シーズンは撮影には難しい条件下となる。しかし、巧くすれば、最高の撮影条件に変えることもできる。下手をすれば最悪の撮影条件に陥る。雨を完全に防止することは不可能。水蒸気という細密なものもあるから、厳しいのだ。多重な防護策と、帰宅後の整理が重要。部屋の中が湿っぽいと厳しく、常に除湿を心がけている。私はカメラのための除湿箱を設置している。これは効果的だ。
玉城デニー知事が5月7日、新たな建議書を公表。復帰50年を迎えるに当たっての所信表明であり、日米政府に対する意見書(異議申し立て)だ。詳細は別途検討したいが、私は1972年5月15日の「沖縄返還」、「祖国復帰」は誤謬だったと考えている。そう考えざるをえないのだ。これは米国の沖縄戦・沖縄占領から始まり、米日政府の支配が1952年4月28日の日本の「独立」と同時に沖縄が米国に売り渡されていく。日本側からすれば、1609年の薩摩藩による琉球王国の併合という歴史が下地になっていた。
私はしばしば「基地の島=沖縄」と呼んでいる。これは沖縄が強いられてきた歴史であり、現在のことをいっている。米日政府に強いられ続けているのだ。同時に私たち「日本人」(やまとんちゅ)は、強いる側にいるということだ。沖縄に無関心のままでいること、沖縄を遊ぶ場としか捉えていないこと、「抑止論」に賛意を示していることなどだ。サイレント・マジョリティに立つ以上、こうなってしまう。無意識が知らず知らずに沖縄差別に陥っているのだ。
先に記した雨対策は、概ね目で見えるが、この無関心=差別の構造は容易に見えない。見えないから、聞く、触る、味わう、嗅ぐ。そうしながら考える。見えることは全体像の一部でしかない。如何にして可視化するのか。体感することだ。
しかし長い歴史を体感することは殆ど不可能だ。歴史を見る目(頭)を如何に作り上げるのか。日本人は、この歴史を見る目(頭)を殆ど育まずに来てしまった。幾つもの原因があるだろうが、「日本人」はいつ、どこで沖縄を知ったのか、もしくは知らないままでいるのか。考えるべきことは多数ある。私たちは戦後日本人の出発点を押さえることが不可欠だろう。
1995年に建立された「平和の礎」を見れば、どれだけの(46都道府県の)「日本人」が兵士として沖縄に来ていて亡くなったのかが分かる。亡くなったと言えばきれいごとになってしまう。他人の土地で勝手に戦争をやり、琉球人をスパイだと扱い、ガマに避難していた人々を追い出し、泣き叫ぶ子どもを親などに殺させるなど、ひでえことをやった上での死だ。むろん部隊によって、人によって、様々だ。総じて彼等「兵隊」は加害者であり、被害者なのだ。加害と被害、被害と加害を同時に問わなければ、私たちは歴史を可視化できない。
ここで私は日本国憲法の闇を見るべきだと考える。1947年5月3日、日本国憲法は施行された。この憲法の前文は美しく歌いあげられているが、第1章は「民衆主権」ではなく、「戦争の放棄」でもなく、「基本的人権」でもない。「天皇」だ。「天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、この地位は主権の存する国民の総意に基づく」とあり(第1条)、第1章(1条から8条)に天皇の位置が定められている。
絶対主義の天皇が象徴天皇に変わったのだから、「天皇」といえども大きく変わったと言われている。しかし「この地位は主権の存する国民の総意に基づく」とあるように、いつのまにか、よく考える暇も与えられないまま、私たちが天皇を支えていることにされてしまっているのだ。
要するに、沖縄戦や、大日本帝国の侵略戦争の頭目としてあった天皇は、形は変われど、その役目・戦争責任を問われずに1945年の侵略戦争の境目を過ぎ、生きのびたのだ。私たち日本人民衆の殆どは、天皇への「畏敬の念」を払拭せず、アジア侵略の、沖縄戦の歴史を否定せずにきてしまったのだ。
こうして「一人一人が主人公」だという意識を私たちは育めず、基本的人権も平和主義への確認・再確認も弱いままだ。頭が痛くなることばかりだが、私はひとつひとつ整理していきたい。