明日(8/2)、六本木でライブです。

六本木「morph Tokyo」 15:30
親バカオヤジ

今日8月1日は僕の山の記念日です。
何が記念日かって? それをお話しましょう。
少々長文ですが、肩の凝らない文ですのでお付き合い下さい。
以前に日光男体山に登った話をしました(5月22日男体山に登った話)。
その時の登る前のトレーニングの話です。
昨年の夏に男体山(2484m)に登ろうと決めて、5月からエスカレーター、エレベーターを一切やめました。
全て階段です。大きなビルは10階まで登りました。
トレーニングはそれだけです。
それで充分。基礎体力には自信があります。
なんてったって元ハードラー。全国インターハイ3位。(エヘン)
7月まで続けていよいよ決行です。登山日は、天気予報で絶対晴れる8月2日。
前泊する為、7月29日に常宿の「戦場ヶ原山荘」にTELしました。
「ごめんなさーい。8月1日はボーイスカウトの合宿で満員なんですぅ。」と若奥さん。
アララ、いつもは当日行っても泊まれる宿なのに。気勢をそがれるなあ。
ポッカリ空いた8月1日2日。
「それじゃ、筑波山にでも登って足慣らしするかぁ。」
トレーニングも兼ねて、男体山に持って行く荷物に、プラス3kgの水入りペットボトル。
2484mに比べたら、たかが877m。チョロイぜぇ。
8月1日。 じゃあ行って来ます。
コースは筑波神社から御幸ヶ原の一般コース。入念にストレッチして、さあ出発。
それにしても蒸し暑い。
・登り始めて5分。
ハアー、ハアー、ハアー。呼吸が荒くなる。汗も出始める。
「まだ、体が慣れてないんだ。20分もすりゃ楽になるさ。」
・登り始めて20分。
ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ・・・・。息がますます荒くなる。汗が吹き出て来る。
「んー?こんなハズじゃぁーないんではないかいー?ハッ、ハッ、ハッ。」
暑い、暑い・・・・。
・登り始めて30分。
ハヒッ、ハヒッ、ハヒッ、ハヒッ・・・。心臓がバクバクし始めた。汗は滝になる。
降りてくる人達が「こんにちはー」と元気に挨拶するけど、まともに返事が出来ない。
「もうダメ。大休止。」
リュックを投げ出して、岩に座り込んでゴクゴク水を飲む。5分休み。
・登り始めて40分。
標識があった。(筑波山まで1150m,筑波神社まで850m)。
「ゲーッ。まだ半分も登ってない。ハアーッ、ハアーッ、ハアーッ。」
山登りでは、車と同じで登りが優先です。
狭い所では降りて来る人が、僕の為に道を空けて待っています。
「イエ、イエ。お気遣い無く、お先にどうぞ。ハアー、ハアー、ハアー。
休みますから、どうぞお先に。ハーッ、ハーッ、ハーッ。」
全ての下山者に道を譲ります。
この道は、登っても登っても深い樹林帯で展望が全くない。
空さえ見えない。風も通らない。ないないない・・・楽しい事が何も無い。
だんだん、気力が萎えて来る。それ以上に体力が減って行くハァーッ、ハァーッ、ハァー。
・登り始めて・・・・分。もう時間の感覚有りません。
ゼーッ、ハーッ、ヒィー、ヒィー。
十歩登って立ち止まり。岩があれば座り込み。ヒィーヒィー、ハッハー、ゼーゼー。
後ろから賑やかな集団が追い付いて来たので、これ幸いと道を譲って立ち止まる。
なっ、なんとー。幼稚園の遠足だーァ。ピーチクパーチク、キャッキャ、キャッキャ。
笑顔一杯、元気一杯に登って行きます。
茨城の子供は逞しい。すごい。
「はぁー。幼稚園児に抜かされたぁー。はぁー。」
気力はどんどん細っていくのに、太股はパンパンだー。
・九合目(多分)
ヘロヘロになって、九合目まで辿り着きました。
ここで前に立ちはだかるのが、長ーい急坂、急階段。
座り込んで考えます。
「ハァーハァー。この急坂を登って右に曲がればいい加減テッペンが見えるだう。」
「ヒィーヒィー。テッペンが見えれば、まだ頑張れるだろう。」
だろうー!だろうー!の危ないプラス思考。
今にも消えそうな気力の火を強引に燃え上がらせます。
でも気力と体力は別物です。階段一段の足が上がりません。
脇の荒れた土の斜面を登ります。歩幅は一歩が半足です。
ヒィーヒィー、ハッハー、ゼーゼー。
ハッハー、ゼーゼー、オェーッ。
ガンバッテェー、ガンバッテェー、急坂を登り切りました。
右に曲がりました。
「アッ、アッ、アーッ。もう止めて。もうイヤだ。」
右に曲がったら、テッペンどころか、さらなる急坂がコレデモカーッと続きます。
「フッ・・・」。気力の火が消えました。
ヘタリました。地べたにヘタリ込みました。もう一歩もダメッ。
リュックを外して、地べたに大の字になって喘ぎます。
ハッ、ハッ、ゼー、ゼッー、グウェー、オェッ。
打ちのめされました。たかが877mにKO負けです。
「なっ舐めてたぁ。山を舐めてたァ・・・・。」
ハッハッ、ゼーゼッ、ヒィーヒィ、オウェッ。
階段だけで、山を登れると思った自分に腹が立って来ます。
「基礎体力に自信があるダァー?何が元ハードラー?全国3位だとー?
30年も前のはなしだろがーッ。このっバカタレーッ。」
怒りの鉾先は、ただ重いだけで、何の意味も無い3リットルの水に向かいます。
「オノレのせいで。こんなに苦しいんじゃぁ。このっバカタレーッ」
水をブチ撒いて捨てます。頭からドボドボかけてペットボトルを空にします。
「もっと早くに捨てりゃ良いものを、今頃気が付くお前は、大バカタレじゃー。」
怒りの嵐は、理不尽にも4個のオニギリにも向かいます。
「オノレらは、ロクに栄養も無いくせに、重さだけは一人前じゃのう。
このっバカタレーッ。」
ポンポンポンポーンと森に投げ込みました。
重い物を全部捨てて(本当はカメラも三脚も置いて行きたかった)、
這う様にしてテッペンに着きました。
息を十分に整えて、汗を拭いて、着替えて平静に戻ると、精神的なダメージがドーンと来ます。
「こんなハズじゃぁー無かった。情けなさ過ぎるぅ・・・・・。ウッウッ。」
ともかく下山します。最初の予定では当然足で下ります。
でも、残った体力ゼロ。気力ゼロ。情けなくもロープウェーイを使います。
ジイ様、バア様、ハイヒールのオバ様、ミニスカートのギャル達に混じって、ゴツイ登山姿で一人。
トホホホ・・・・・・。
翌日から、尋常でない筋肉痛と戦いながら、自分の中で反省会を開きます。
反省
1:体力を過信していた。(過信ではなく全然無かった。)
2:トレーニング方法が間違ってた。(トレーニングにもなって無かった。)
3:ズボンをイトーヨーカドーで、動き易すかろうと適当に買ったが、
実際登ると、足を上げる度に膝に引っ掛かる。これがバテを速めた。
(その後、登山用のズボンに変えると大変楽。スバラシイ。)
4:満室だった「戦場ヶ原山荘」に感謝。
あのまま、予定通りに男体山に登ってたらと思うとゾッとする。
結局、男体山挑戦を2ヶ月延期してトレーニングをやり直しました。
1:14-5kgのリュックを背負って、湯島、本郷の坂の多い街をひたすら歩きます。
2:自宅のマンションの階段を、リュックを背負って屋上(6F)まで昇り降りします。
(これは膝を痛めます。お勧めしません。斜面と階段では膝の使い方が異う様だ。)
3:自宅で、家族が居ない時に、スクワット、腹筋、背筋、腕立て伏せをします。
4:さらに、筑波山に登ってトレーニングの成果を確認します。
そして、2008年10月16日いよいよ日光男体山に挑戦です。
いきなりの2000m超えなので、いささか緊張しました。
朝6:30に出発して9:00に頂上着。
途中休憩の必要も無く、2時間半で登り切りました。
その時の、空に突き抜ける感覚が忘れられずに、今も続いてるわけです。
それもこれも、8月1日に筑波山でバテた体験が有ればこそです。
だから今日は記念日なのです。
あれから1年。バテてヘタッた事なんかウソの様に強くなりました。
でも、強くなったと言っても、所詮53歳の体力です。
無理せず。恐い事せず。力量に合った山を永く楽しみたいと思っております。
今夜は晩酌のツマミを一品増やして、僕の中でささやかに祝うつもりです。
酒量もチョット増えるかも。
山登りオヤジ
よろしかったらポチッとどうぞ
にほんブログ村