浮世風呂

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中東に新たな変化

2015-08-05 19:14:08 | 資料

中東でとうとう始まった「帝国の逆襲」
トルコはなぜシリアへの積極介入を決意したのか?

2015.8.5(水) 松本 太 JB PRESS

トルコ南東部シュルナク県で銃を持つクルド労働者党(PKK)のメンバー(2014年12月28日撮影、資料写真)。(c)AFP/ILYAS AKENGIN〔AFPBB News〕

 とうとう「帝国の逆襲」が始まったようです。スターウォーズではなく、現実の中東地域において。

 この1カ月ほどの間に、かつて中東地域の帝国であったトルコとイランの両国において大きな変化が現れたことは、帝国の逆襲と呼ぶことが最もふさわしいのではないでしょうか。

 トルコは、シリア北部への空爆を開始し、かつてのオスマン帝国の領域にまで実力に訴えるという決意を露わにしました。そして、核問題合意という成果を得たイランは、かつてのサファヴィー朝の版図の一部であった地域への影響力を今後一層伸張させることは間違いありません。

 中東の無秩序の只中では、トルコやイランといった古い国家が、主権国家からなる「ウェストファリア体制」の則を越え、かつての帝国的な行動を是とするようになったとしても、いささかも不思議はありません。

(注:17世紀にドイツを中心に起きた宗教戦争「30年戦争」の終戦条約がウェストファリア条約。現在の主権国家体制を生み出したと言われる。)

 イラクとシリアを中心としてダーイシュ(=イスラム国、IS、ISIL)などの非国家主体の登場に自らの安全保障を脅かされるようなことは、トルコやイランといった古い帝国国家は許容できないのです。

 より正確には、トルコやイランは、こうした有象無象の非国家主体を自らの支配下におきつつ、この混乱を自らの国益に転化させていくような帝国としての知恵をもともと有しているのです。

 本稿では、皆さんと一緒に中東地域で起きている真の変化が何なのかを探るべく、トルコによる外交・安全保障政策の変化を取り上げたいと思います。

本格化するトルコの対シリア政策

 7月24日にトルコ外務省は声明を発表し、ダーイシュに対する共闘を進めるためトルコと米国が合意に達した政策を発表しています。その直前の22日に、エルドアン大統領とオバマ大統領が電話会談を行い、両国がダーイシュ対策において協力を深めることが合意されたのです。

 トルコの政策の変化の第1は、米国およびその他の連合国がトルコのインジルリック空軍基地等を対ダーイシュ作戦で使用するのを許可したことです。これは、従来から米国が要請していたのですが、トルコは極めて消極的でした。その意味で、これはトルコの明らかな政策転換です。この結果、米軍はシリアやイラクでの空爆を一層効率よく行うことが可能になりました。

 また、トルコ政府は、緊急時においてはさらにトルコ東南部のバトマンとマラティヤの基地の使用についても許可すると報じられています。

 これに加えて、24日にトルコ軍機がダーイシュに対する空爆を初めて実施したことも、トルコ外務省より明らかにされています。トルコ軍は、アレッポ北部のハワル・キリスのダーイシュに対して、ディヤルバクル空港から飛び立ったトルコ空軍F16により3度の空爆を行いました。トルコ軍は、この作戦を23日のダーイシュの攻撃で亡くなったトルコ軍下士官の名前にちなんで「殉教者ヤルチン」作戦と名付けています。

 翌24日~25日にかけて、トルコ軍は北イラクにおいて「クルド労働者党」(PKK:クルド人の独立国家建設を目指す武装組織)攻撃を併せて行っていることにも留意する必要があります。興味深いことにダウトオール首相は、このPKK空爆は独立した作戦ではなく、トルコ国境をめぐる脅威を是正するための現下のプロセスの一部であると語っています。

マークしてある場所がシリアのアレッポ(Googleマップ)

 もう1つのさらに大きな変化は、シリア北部地域における「安全地帯」の設置についてトルコと米国が合意したことが大きく報じられていることです。

 詳細についてはいまだ公式な発表がないため正確には分かりませんが、これはトルコが強く求めていたにもかかわらず、米国が長らく拒否してきたアイデアです。トルコ政府は、以前より国境線に沿って緩衝地域を設け、自らの安全を確保するとともに、反体制派と難民支援にあたることを検討してきました。

 トルコ国内の報道によれば、このシリア北部の安全地帯は北部の小都市マーレアとジャラーブルスの間に引かれ、シリア領内に長さ98キロメートル、40キロメートルの幅で設けられると報道されています。この地域の多くは現在ダーイシュの支配下にありますが、今後、シリアのクルド勢力が伸張する可能性があると見られる地域です(参考地図:"Turkey Expands Campaign against ISIS and the PKK" 内の図版 "The Situation in Aleppo:July 24,2015")。

なぜトルコはシリアへの積極介入を選んだのか

 ダーイシュの台頭を前に、シリア問題に対するトルコのこれまでの外交・安全保障政策は煮え切らないものでした。世界のジハード主義者がまさにトルコを通じて、シリアへ、そしてイラクへと旅立っているにもかかわらず、これまでトルコは米国主導の空爆に加わることも実際にはなかったのです。

 しかし、トルコは、シリア領内におけるクルド勢力、それもトルコにおいてテロリストと見なされているPKKに近い、シリアのクルド人勢力の「民主統一党」(PYD)とその武装組織である「人民防衛隊」(YPG)が勢力をシリア北部に伸張させていることに懸念を募らせていました。一方で、米国は対ダーイシュ戦においてPYDの力を借りようとしています。

 特に、本年6月15日に、トルコ・シリア国境のテルアブヤドが、ダーイシュからPYDの手中に落ちたことはトルコを揺るがしました。直後に召集されたトルコの国家安全保障会議では、シリア北部でのこれ以上のクルド勢力の拡張はトルコにとってレッドラインであるとの認識が確認されました。

 一方、この7月20日に起きたトルコとシリアの国境に近いスルチュでのダーイシュの自爆テロでは、32名の犠牲者が出ています。また、23日には、ダーイシュとの戦闘において、1人のトルコ軍下士官が殺されています。

 ダーイシュおよびクルドの双方の脅威をふまえた上で、シリアへの積極介入によってトルコの安全保障を自ら図ること、これがトルコ政府にとって至上命題となったわけです。

曖昧な政策が許されなくなったトルコ内政と治安の状況

 無論、この背景には、先般6月の総選挙においてエルドアン大統領率いる与党「AKP」が圧勝することがかなわず、ダウトオール首相が次期政権を目指して最大野党の共和人民党「CHP」などと進めている大連立交渉も不透明になっていることが大きく作用しています。トルコでは、国家にとっての危機に立ち向かうことでエルドアン大統領の人気を盛り上げ、改めて総選挙を行うという選択肢すら噂にのぼりつつあります。

 また、AKPの政敵である野党の「人民民主党」(HDP)がトルコ南東部のクルド人地域において人気が高いという要因も、外交政策の判断を左右していることは間違いありません。親クルドの野党の台頭は、一定の政治的圧力をAKPにもたらしたのです。

 このような批判をかわすためにも、AKPとしてはより厳しい対クルド政策を実施することで世論を引き寄せる狙いがあります。

 この6月以降、トルコ国内の治安が悪化していることも見逃せません。

 6月にはディヤルバクルでのクルドの政治集会がダーイシュによって狙われ、4名の犠牲者と100人以上の負傷者が出ています。7月17日に出されたダーイシュのトルコ語の広報誌「Konstantiniyye」(オスマン・トルコ語でコンスタンチノープル、すなわち現在のイスタンブールのこと)の第2号では、はじめてエルドアン大統領を「ターグート」(独裁者)と批判するとともに、PKKを「無神論者ギャング」と呼ぶなど、ダーイシュがトルコ政府とPKKの双方を敵と見なしたことが明らかになっています。

 反対に、7月下旬にはトルコ・シリア国境のジェイランプナルとディヤルバクルにおいて、ダーイシュに近いと見られたトルコ治安関係者がPKK関係者によってそれぞれ殺されるという事件も起きています。

 このような治安悪化の中で、トルコ政府は6月24日、ダーイシュ関係者、クルド人、野党勢力などテロや騒乱に関係していると見られる分子を「差別なく」拘束するなど、国内治安の引き締めを次々に図っています。

 1000人以上のトルコ人ジハード主義者がダーイシュに参加していると言われている状況において、これ以上、曖昧な政策を続けることは、トルコの内外政の双方にとって、一層のリスクを招くおそれがあることが明らかだったのです。これこそが、トルコをして今回の新たな政策にふみきった大きな理由でした。

 また、AKPの政敵である野党の「人民民主党」(HDP)がトルコ南東部のクルド人地域において人気が高いという要因も、外交政策の判断を左右していることは間違いありません。親クルドの野党の台頭は、一定の政治的圧力をAKPにもたらしたのです。

 このような批判をかわすためにも、AKPとしてはより厳しい対クルド政策を実施することで世論を引き寄せる狙いがあります。

 この6月以降、トルコ国内の治安が悪化していることも見逃せません。

 6月にはディヤルバクルでのクルドの政治集会がダーイシュによって狙われ、4名の犠牲者と100人以上の負傷者が出ています。7月17日に出されたダーイシュのトルコ語の広報誌「Konstantiniyye」(オスマン・トルコ語でコンスタンチノープル、すなわち現在のイスタンブールのこと)の第2号では、はじめてエルドアン大統領を「ターグート」(独裁者)と批判するとともに、PKKを「無神論者ギャング」と呼ぶなど、ダーイシュがトルコ政府とPKKの双方を敵と見なしたことが明らかになっています。

 反対に、7月下旬にはトルコ・シリア国境のジェイランプナルとディヤルバクルにおいて、ダーイシュに近いと見られたトルコ治安関係者がPKK関係者によってそれぞれ殺されるという事件も起きています。

 このような治安悪化の中で、トルコ政府は6月24日、ダーイシュ関係者、クルド人、野党勢力などテロや騒乱に関係していると見られる分子を「差別なく」拘束するなど、国内治安の引き締めを次々に図っています。

 1000人以上のトルコ人ジハード主義者がダーイシュに参加していると言われている状況において、これ以上、曖昧な政策を続けることは、トルコの内外政の双方にとって、一層のリスクを招くおそれがあることが明らかだったのです。これこそが、トルコをして今回の新たな政策にふみきった大きな理由でした。

 なぜなら、混乱が続く中東においても、私たちは依然として主権国家が統治する領域を尊重する必要があるからです。主権国家とそれが支配する領域、国境からなる国際社会は、いまでも確固として「ウェストファリア体制」の中にあるからです。

 したがって、いかに小さくて狭い領土とはいえ、あるいは、いかに無法地帯であろうと、他国の領土に対してそれを自由にすることは許されないのです。もし、そのような行為を主権国家が行うならば、侵略行為と見なされても何らおかしくはありません。

 トルコ政府は、シリアにおけるダーイシュへの空爆を正当化するにあたって国連憲章51条を引用し、トルコの自衛権の発動であることを改めて明確にしています。当然ながら、この空爆が決してシリアという国家に対する侵略ではないことを明らかにする必要があるわけです。

 しかし、トルコ国家にとっての実存的危機が迫る中では、他国の領土であろうとなかろうと、トルコとして有効な手を打たざるをえません。トルコは、そのような領土がダーイシュであれ、クルドであれ、自らの安全に有害な非国家主体によって占有されることを許容できないのです。

 これこそが、シリアとイラクの混乱の中で、トルコがウェストファリア体制の則を越えて「帝国化」せざるをえない理由なのです。

トルコの「帝国化」はシリアにどんな影響を与えるのか

 しかし、このようなトルコの帝国化は、かつてのオスマン帝国のように、寛大な統治の下での諸民族や諸宗派の共存を保証するわけでは決してないことも真実です。

 最大の矛盾は、トルコの国益が「反クルド」を主として志向する一方で、シリア北部国境地域において、ダーイシュにある程度対抗できる実質的な武装勢力は、イスラム主義反体制派を除けばクルド勢力であるという事実です。

 そして、シリアのPYDは、トルコのクルド武装勢力であるPKKと区別することが極めて難しいのです。もしトルコがシリア国内のPYDを標的化することになれば、場合によってはダーイシュの戦線が拡大することすら理論的にありうるからです。

 また、ダーイシュ以外のイスラム主義勢力にいかに対応するかについても、トルコと国際社会には一致した政策が必ずしもあるわけではありません。

 引き続き、米国が頼りとするPYDの扱いをめぐって、また、イスラム主義反体制派をめぐって、トルコと米国、その他の国際社会との綱引きが繰り広げられることは間違いありません。さらにはトルコがシリアに地上部隊などを派遣し、安全地帯の安全を確保しようとする場合には、様々な余波を生むことも明らかです。反ダーイシュ連合を率いる米国や国際社会が、そのような派生的影響を好ましいものと見なすことができるかは不透明です。

 一方、アサド体制を守る覚悟を有する、もう一方の地域の帝国であるイランの動向は、トルコの動き如何によっては、将来的に双方の直接的な対峙へとつながっていくおそれもあります。

PKKへの攻撃で一層高まる国内の緊張

 このようにトルコの「帝国化」は、シリア問題をさらに複雑な方程式へと結びつけるおそれがあると考えざるをえません。

 すでに過去10日間のトルコの空爆は、イラク北部PKKに対する攻撃が主たるものであったことが明らかになっています。トルコの空爆により、すでに260人のPKKの兵士が殺され、400人以上が負傷したと報じられています。これに対してPKKによるトルコ治安当局やパイプラインなどへの攻撃も急速にトルコ国内の緊張を高めつつあります。

 これがトルコ国内の容赦のない権力政治の結果であるとすれば、そのネガティブな影響は周辺地域をさらなる混乱へと巻き込むおそれがあるでしょう。

 中東の中心部の国境線が一層不明瞭になりつつある今、私たちは目を凝らして、地域諸国、とりわけ新しい帝国の振る舞いとその変化の行方を見極める必要があるのです。

(本稿は筆者個人の見解です)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44470?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top

◆イラン核合意で割れる米国のユダヤ人社会
賛成派、反対派が熾烈なロビー活動展開

2015.8.4   JB PRESS

(2015年8月1/2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

写真は今年3月、米ワシントンで開かれた米イスラエル公共問題委員会(AIPAC)の年次会合で演説するイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相〔AFPBB News〕

 米国ではイランとの核協議の合意を巡って激しいロビイング合戦が行われており、米国のユダヤ人コミュニティーで深まりつつある亀裂があらわになっている。米国におけるイスラエルの影響力に長期的な変化が生じる恐れもありそうだ。

 最近、イランとの合意への賛成や反対を呼びかけるテレビCMが数百万ドル単位のコストをかけて放送されている。

 その大部分は、裕福な支援者を得ながら互いに対立する親イスラエル派グループが提供している。

 米国政治においてイスラエルとその関心事が独特な役割を担っていることを反映し、ユダヤ系の有権者とユダヤ系の政治家もこの最終合意の賢明さを判断する非公式審判員になっており、彼らの見解や承認が熱心に求められたり、逆に反論にさらされたりしている。

 イスラエル政府はイランとの合意に強く反対しているが、そのイスラエルにしてみれば、正反対の意見がぶつかり合うことには米国とイスラエルとの関係に強い党派性が持ち込まれるというリスクがある。実際、イスラエルは、米連邦議会の共和党議員(イランとの合意にほぼ全員が反対している)の肩を持っていると見られている。

イスラエル政府と大多数のユダヤ系米国人の間にも亀裂

 また、もし世論調査の結果を信じるなら、この核協議に関する議論はイスラエル政府と米国在住ユダヤ人の過半数との間にある亀裂もあらわにしている。後者は核協議での合意を支持していると見られるためだ。

 「あちらの陣営のロビイングは非常に活発で、資金も潤沢で、運動を容赦なく進めている」。バラク・オバマ大統領は7月30日の夜、左翼系の親イスラエルグループ、Jストリートをはじめとする支援者たちとの電話でこう語った。

 そして、「あなた方が声を上げなければ、米国をイラクとの戦争に向かわせた勢力がこの歴史的な機会を無視し、軍事紛争につながりかねない道に米国を進ませることになるだろう」と付け加えた。

 イランとの合意を巡る公式の議論では、連邦議会の公聴会を舞台にオバマ政権の担当者と共和党議員が型どおりの対決を続けてきた。「これについての私自身の見立ては、本当に、本当に弱い合意だというものだ」。上院軍事委員会のジョン・マケイン委員長(共和党)は7月29日、同委員会で説明を行った4人の長官にそう語った。

 オバマ政権は強い姿勢で議論に臨んでいる。

 たとえそれが、大統領が拒否権を発動した場合、上下両院がこれを覆すにはともに3分の2以上の多数で再可決しなければならないという理由だけによるものであっても、だ。

 しかし舞台裏では、核協議の最終合意に賛成する側も反対する側も、議論においては米国のユダヤ人の意見が感情の面でも政治の面でも重要であることを理解していた。全体的に民主党支持の米国のユダヤ人がもし核合意に強く反対したら、オバマ政権にとって、イランとの核合意に署名することの政治的意義を説明することははるかに難しいものになり始めるだろう。

今のところは合意支持が優勢

 核協議の最終合意から2週間以内に実施された3件の世論調査では、米国のユダヤ人の反応がすでに判明している。LAジューイッシュ・ジャーナルがスポンサーになって行われた独自調査によれば、ユダヤ人の48%がイランとの合意を支持し、不支持は28%にとどまった。ただ、合意の結果、イスラエルのリスクが高まったと心配する回答も半数を超えていた。

 合意を支持するJストリートも、支持が不支持を20%上回る世論調査結果を公表した。一方、合意に懐疑的なイスラエル・プロジェクトは、小幅ながら過半数の回答者が連邦議会に合意成立阻止を求めているという調査結果を明らかにした。

 イスラエルの新聞ハアレツ紙は先日、米国駐在のあるイスラエル外交官がイランの問題について「米国のユダヤ人コミュニティーは一致団結してイスラエルを応援しているわけではない」と警告する公電を打っていたことを公表した。

 米連邦議会が合意を精査し始めた中、これを最も目立つ形で支持しているのは、ユダヤ系議員かユダヤ系の人々と強いつながりを持っている議員たちだ。

 イランとの合意の支持者は7月28日、下院議員歴が最も長いユダヤ系のサンダー・レビン議員が合意支持を表明したことを称賛した。一方、不支持の陣営は、ユダヤ系住民の多い選挙区で選ばれたグレース・メング下院議員(民主党、ニューヨーク州)が不支持であることを強調した。

 ユダヤ系グループは、議会の外での議論の原動力にもなっている。米イスラエル公共政策委員会(AIPAC)と、大富豪のシェルドン・アデルソン氏が役員に名を連ねるロビー団体の共和党ユダヤ人連盟(RJC)は、合意に反対する宣伝活動――オバマ氏が7月30日に2000万ドルを投じると語ったキャンペーンのこと――の最大級の後援団体だ。

 自分たちのことを既存の有力団体に対する新興団体と見なすJストリートは、合意を支持する宣伝活動のために400万ドル調達した。

 8月4日には、今年3月に米議会でイランとの協議に反対する演説を行ったイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、主要ユダヤ系米国組織代表者会議(CP)などのユダヤ系グループによって企画されたウェブキャストで、合意の欠点についてユダヤ系米国人の説得を試みる。

 1日には、保守派の共和党上院議員で、大統領候補でもあり、特に声高に合意を批判してきたテッド・クルーズ氏が、イラン系ユダヤ人が設立したロサンゼルスのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)で演説する予定になっていた。

 ジョー・バイデン米副大統領は7月下旬、ユダヤ系の指導者たちを相手に「私は懐疑的だったから、現在進行中の交渉で悪者だった」と語り、彼らを安心させようとした。

7月15日、ホワイトハウスで開いた記者会見で、イランとの核合意について話すバラク・オバマ米大統領〔AFPBB News〕

オバマ大統領の微笑み攻勢

 イランとの最終交渉が行われていたこの数カ月、オバマ氏はすでにユダヤ系米国人に向けて微笑み攻勢を仕掛けていた。

 5月にワシントンで最も有名な保守系シナゴーグ「アダス・イスラエル」で行った演説で、大統領は自分のことを「(ユダヤ)民族の名誉会員」と呼んだ。

 さらに、次のように付け加えた。「この合意には私の名前が付く。だから、合意が確実に約束を果たすようにすることに私以上に大きな個人的利害を持つ人はいない」

By Geoff Dyer in Washington
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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44454

◆イラン合意の本当の理由

2015年7月20日 マスコミに載らない海外記事

Paul Craig Roberts
2015年7月18日

オバマは、イランとの核協議合意ゆえに、平和の人として称賛されている。オバマは更に進んで、アメリカ-ロシア関係を修復し、ウクライナの難局を終わらせるのではないかという人々もいる。

もしそうなら、彼は、ビクトリア・ヌーランド国務次官補や、統合参謀本部副議長に任命した、ポール・セルバ空軍大将や、統合参謀本部議長に任命したジョセフ・ダンフォード海兵隊総司令官や、デボラ・リー・ジェームズ空軍長官にはそう言っていない。

先日、ウクライナのTVで、ビクトリア・ヌーランドは、もしロシアが“その義務を果たさなければ”これはつまり、歴史的にロシアの州だったクリミアを含めて、ウクライナ全土をワシントンに引き渡せということだが、“我々はロシアに更なる圧力をかける用意がある”と述べた。 先週、オバマが軍のトップに任命した二人が、アメリカ上院で、ロシアは、アメリカにとって主要な脅威、“生存上の脅威”だとまで語った。ここまでの水準の戦争言辞が行われているのだから、オバマは明らかに、ワシントンが、ロシアとの間に生み出した緊張を緩和する意図は皆無だ。

前回のコラムで、ワシントンは、イランに濡れ衣を着せるだけで、いつでも新たな経済制裁を行えるので、イランとの協定にはたいした意味がないと私は書いた。たとえリンジー・グラハムやジョン・マケインがそれを知らないふりをしても、オバマは知っている。

アメリカとその代理人連中は、地球上の広大な部分で、人々の殺戮を継続している。明らかに、オバマは平和の人ではなく、彼がそういうことをするのを許しているヨーロッパ諸国も国連も平和の組織ではない。すると、核拡散防止条約で認められている核エネルギーの権利を主張していたというだけの理由で長年、イランを猛烈に悪魔化した後で、イランと合意した理由は一体何だろう?

売女マスコミの洗脳から抜け出すことさえできれば、三つの大きな理由をすぐに思いつけるはずだ。一つは、ネオコンが脅威だと感じるものが“イスラム・テロリスト”から、ロシアと中国に変わったのだ。イスラム・テロリストとは違って、ロシアも中国も、ワシントンの単独覇権主義にたいする制約だ。ソ連崩壊以来、ワシントンは、単独覇権として、世界で、何の邪魔もされず、自らの好きなようにするのに慣れてしまっている。プーチンの下でのロシア勢力勃興や、新政策下での中国勢力の勃興が、ワシントンの単独覇権という特権を破壊してしまった。ワシントンは特権を取り戻したいのだ。

ワシントンは、経済的、あるいは、軍事的に良い状態にはない。ノーベル賞経済学者ジョセフ・スティグリッツと、ハーバード大学の財政専門家リンダ・ビルマスによれば、ワシントンは、14年間続いている中東での戦争で、少なくとも、6兆ドルを浪費した。途方もない経費にもかかわらず、ワシントンは敗北し、今やワシントン’の失敗から生まれ、イラクの一部とシリアの一部から新たな国を作りつつある新組織「イスラム国」と直面している。

途方もない傲慢さにもかかわらず、アメリカが、ロシア、中国、イランと、「イスラム国と、同時に戦うことはできないことをワシントンは理解したのだ。この認識が、イランとの核協議合意理由の一つだ。これによって、イランを敵ではなくせるのだ。

合意の二つ目の理由は、イランが「イスラム国」に反対している為、対「イスラム国」用にアメリカの代理として利用可能で、ワシントンはロシアと中国との紛争に専念できるのだ。

ワシントンがイランと合意した三つ目の理由は、ヨーロッパが、エネルギーをロシアに依存していることへのワシントンの懸念だ。この依存関係は、ワシントンの対ロシア経済制裁や、NATOの対ロシアの軍事的動きに、EUが同調するのに矛盾する。ワシントンは、この依存関係を終わらせたいと考えており、金があれば、イランをヨーロッパへの天然ガスと石油供給国にすることができると期待しているのだ。

私の説明は、現実主義に基づくものであり、皮肉な考えによるものではない。イランとの合意は、自分達がでっち上げた、イランとイスラムの脅威が、ロシアと中国に対して使うべき時間や、エネルギーや、資源を食いつぶしていることに、ワシントンが遅ればせながらも気がついたことを意味している。しかも、アメリカが、一体どれが最重要なのか判断するのも困難なほど多くの脅威が存在しているのだ。

ギリシャを破壊しなければならなかった理由の一つは、トルコに入るロシア・ パイプラインから、ロシアの天然ガスがヨーロッパに入るのを阻止することだった。

ワシントンは、ウクライナ駐留アメリカ軍に、分離州をいかにして制圧するか、ウクライナ軍を訓練させており、ウクライナ傀儡政権は、ミンスク合意に順守する様な措置を全く講じていない。ウクライナ-ロシア関係において和平はありえないと、ワシントンが意図しているのは明白だ。

どこかの時点で、ロシアは敗北を受け入れるか、自らの敗北に貢献するようなことを止めるかするしかなくなる。一度ならず、ロシア系の分離州がウクライナ軍を徹底的に敗北させた際、ロシア政府が介入して、ウクライナ軍の崩壊を防いだ。そうした配慮のおかげで、ロシアは、更に悪魔化され、ウクライナ軍への更なるアメリカ支援という報いを受けている。戦闘が再開すれば、再開するに違いないのだが、ロシアと分離派ロシア系諸州は、立場がより悪化していることに気がつくことになろう。

ワシントンが戦争を追い求めている時に、ロシア政府が平和を追い求めるのは不可能だ。

記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2015/07/18/real-reasons-iran-agreement-paul-craig-roberts/
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http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2015/07/post-f61f.html

米国の意向は戦争の代理を日本にやらせたいというのが本音。しかし、自分たちが押しつけたGHQ憲法が厳然と日本には存在する。しかもその憲法改正には大きな制約を自ら課している。それが日本が他国に攻め入らない「専守防衛」の軍隊である。同盟国の後方支援と日本の領土やシーレーン防衛に限られる。また日本国民もこれを自衛隊と国民の義務と考えている。

米国に代わって中東で戦闘を積極的に行うことなど全く考えてはいない。日本は同盟国とは言え米国の道具ではない。