”凪良ゆう”さんの「汝、星のごとく」(講談社)を読了しました。読み始めたら、もうとにかく夢中になって、一気に読んでしまいましたよ。”凪良ゆう”さんの小説を読むのは、本屋大賞受賞作の「流浪の月」、そして「滅びの前のシャングリラ」に次いで、3冊目かな?還暦を過ぎたこの年になって、「若い男女の切ない愛」を扱った小説に夢中になるとは。まだまだボクも精神的には、若者の世界に入っていけるかも?…と思いました。
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
まぁこんな感じの恋愛小説です。暁海(女性)と櫂(男性)の2人が高校生として出会ってから、30歳を超えて櫂が亡くなるまでの10数年間を数年おきに、2人の立場を交互に辿りながら、その切ない愛を描いていきます。
閉鎖的な島での人間関係、ネグレクト、ヤングケアラー、宗教、LGBT、SNS、鬱、酒、病気、死、不倫…なんかもう「現代に潜む闇を書き尽くしたのではないか?」と思えるほど、いろいろな要素(多くはマイナス要因)を含む小説です。終わりの方は丁寧な気持ちの描写が逆にもどかしいくらい「早く読みたい!」と思いました。プロローグとエピローグの設定が秀逸で、 途中で「はっ!」となってプロローグを読み返すこともありました。「結婚を互助会化する」という斬新な発想も、ある意味では理想的かもしれないなぁ…なんて思いました。
この小説の中に、心に残る言葉もたくさんありました。
●自分の人生を生きることを、他の誰かに許されたいの?
●誰かに幸せにしてもらおうなんて思うから駄目になる。自分で勝手に幸せになれ。
●自分がかわいそうと思わなければ、誰にそう思われてもいいじゃないですか。
●まともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。
●親がちゃんと段取りしてくれるやつらより、俺らは不利やね。ほな手持ちのカードの中から一番譲れんもんを選ぶしかないやろ。
●特別強くなくていいから、せめて子供に余計な荷物を背負わせないで。少しでいいから荷物を持ってあげられる、それくらいの大人でいてよ。
今、本のページを繰りながら、それぞれのシーンを思い出しながら登場人物の台詞を抜き出したのですが、「なんかまだまだあったよなぁ…」という感じです。これ、きっと近いうちに映画化かドラマ化されるだろうな…と思います。あぁ面白かった。そして考えさせられました。
書店で、凪良ゆうさんの本が並んでいるのを見かけます。今度読んでみたいですね。
コメントありがとうございます。
手元にメモ用紙をおいて読書することはあまりないので、すべてを読み終えてから「この辺の文章にいいことが書いてあったよな」と探すことも多いです。なので「結局見つけられなかった」ということもありますね。凪良ゆう、お薦めです。