弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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退職勧奨に応じない社員を解雇することができるか

2014-07-05 | 日記

退職勧奨に応じない社員を解雇することができますか。

 解雇 の要件を満たせば退職勧奨 に応じない社員を解雇することができますが,解雇の有効性は解雇の有効要件を満たすかどうかにより決まるものであり,退職勧奨に応じないことのみを理由として解雇することができるわけではありません。


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退職勧奨したところ,失業手当の受給条件を良くするために解雇して欲しいと言われた場合

2014-07-05 | 日記

退職勧奨したところ,失業手当の受給条件を良くするために解雇して欲しいと言われたのですが,解雇しないといけないでしょうか?

 「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと。」(雇用保険法施行規則36条9号)を理由として離職した者は,「特定受給資格者」(雇用保険法23条1項)に該当するため(雇用保険法23条2項2号),退職勧奨 による退職は会社都合の解雇 等の場合と同様の扱いとなり,労働者が失業手当を受給する上で不利益を受けることにはなりませんので,失業手当の受給条件を良くするために解雇する必要はありません。
 退職届を出してしまうと失業手当受給との関係で自己都合退職として取り扱われ,失業手当の受給条件が不利になると誤解されていることがありますので,丁寧に説明し,誤解を解くよう努力して下さい。
 ただし,退職勧奨による退職は,助成金との関係でも,会社都合の解雇をしたのと同様の取り扱いとなることには注意が必要です。


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退職勧奨に応じた労働者の年次有給休暇(労基法39条)を買い上げることはできるか

2014-07-05 | 日記

退職勧奨に応じた労働者の年次有給休暇(労基法39条)を買い上げることはできますか?

 年次有給休暇(労基法39条)は労基法上の権利ですので,使用者が強制的に買い上げることはできませんし,労働者との買い上げ合意があったとしても,労基法39条の趣旨に反するようなものについては無効となり,使用者は労働者の年休取得を拒むことができなくなると考えられます(労基法13条)。
 合意による年休買い上げが認められるかどうかは,労基法39条の趣旨に反しないかを個別に検討して判断するほかありません。
 退職勧奨 に応じた労働者が退職するに際し,消化し切れなかった年休を買い上げるような場合は,通常は労働者に不利益が生じませんので,労基法39条の趣旨に反せず,年休の買い上げが認められるものと考えられます。
 なお,労基法39条により付与された年休ではなく,就業規則等により上乗せで付与された部分の有給休暇については,労基法39条の規制が及びませんから,一般的には合意による買い上げが認められることになります。


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退職勧奨して辞めてもらう場合に,解雇予告手当(労基法20条)を支払う必要があるか

2014-07-05 | 日記

退職勧奨して辞めてもらう場合に,解雇予告手当(労基法20条)を支払う必要がありますか?

 退職勧奨 は合意退職を目指すものであり,解雇 ではありませんので,解雇予告手当(労基法20条)を支払う必要はありません。
 合意退職に向けた退職条件の話し合いの中で,一定額の金銭給付の交渉がなされることは珍しくありませんが,解雇予告手当とは性質の異なるものです。


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労働者が退職勧奨に応じた場合,どの時点で退職の効力が生じるか

2014-07-05 | 日記

労働者が退職勧奨に応じた場合,どの時点で退職の効力が生じますか。

 退職勧奨 の法的性質は,裁判実務上,使用者が労働者に対し合意退職の申込みを促す行為(申込みの誘引)をいうと評価されるのが一般的です。
 退職勧奨を申込みの誘因と評価した場合,労働者が退職勧奨に応じて退職届を提出した段階では合意退職は成立しておらず,退職届の提出等の労働者からの合意退職の申込みに対し使用者が承諾した時点で合意退職が成立することになります。
 学説では,退職勧奨を,辞職を勧める使用者の行為,あるいは,使用者による合意解約の申込みに対する承諾を勧める行為と定義する見解(荒木)もあります。
 この見解によれば,労働者が退職届を提出した時点で辞職の意思表示がなされ,あるいは合意退職が成立するため,使用者の承諾がなくても退職の効果が発生することになります。荒木先生の見解に全く異論はありませんが,裁判所は,労働者が退職の撤回を主張した場合には,労働者に有利に退職の効果が発生する時期を遅らせて判断する傾向があります。
 したがって,訴訟では荒木先生の見解に基づいて主張立証するとしても,事前の労務管理の段階では,速やかに退職を承諾する旨の通知をするなどして,退職の合意を成立させておくべきことになります。
 本サイトでは,退職勧奨が「使用者が労働者に対し合意退職の申込みを促す行為(申込みの誘引)」であることを前提として解説しています。


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労働者は退職勧奨に応じる義務があるか

2014-07-05 | 日記

労働者は退職勧奨に応じる義務がありますか。

 労働者は退職勧奨 に応じる義務はなく,退職するか退職しないかを自由に決めることができます。


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退職勧奨を社員に行わせる場合の注意点

2014-07-05 | 日記

退職勧奨を社員に行わせる場合の注意点を教えて下さい。

 退職勧奨 は労使紛争の契機となることが多いですので,相手の気持ちを理解する能力を持っている,コミュニケーション能力の高い社員が退職勧奨を担当することが望ましいところです。
 同じようなケースであっても,退職勧奨の担当者が誰かにより,紛争が全く起きなかったり,紛争が多発したりします。
 適性のある担当者が必要な人数集められない場合は,マニュアルを作成して遵守させるなどして対処せざるを得ませんが,マニュアルだけでは十分な対応ができないかもしれません。
 直属の上司は,日常的に部下とともに業務を遂行すべき立場にありますので,退職勧奨を行わせるのは酷なケースが多く,原則として退職勧奨の担当者にはしない方が無難だと思います。
 退職勧奨を受ける社員と仲の悪い上司が退職勧奨を行うようなケースは非常にトラブルが多いので,できるだけ避けたいところです。
 退職勧奨を担当する社員に対しては,どうして退職勧奨しなければならないのか,その理由についてよく理解してもらう必要があります。
 退職勧奨される側に大きなストレスがかかるのは当然ですが,退職勧奨する側にも相当大きなストレスがかかります。
 退職勧奨を行う必要性について十分に納得してもらわないと,退職勧奨する側が嫌になって会社を辞めてしまうということにすらなりかねません。


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