弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログです。

定額(固定)残業代制度導入の手順を教えて下さい。

2014-07-31 | 日記

定額(固定)残業代制度導入の手順を教えて下さい。

 定額(固定)残業代制度導入の手順は,以下のとおりです。
 ① 当該業務に通常必要とされる時間外・休日・深夜労働時間等の勤務実態を調査し,調査の経過及び結果を記録に残す。
 ② 調査結果に基づき,何時間分の時間外・休日・深夜労働に対する時間外・休日・深夜割増賃金を定額(固定)残業代として支払う必要があるのかについて協議決定し,記録に残す。
 ③ 「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」等,時間外・休日・深夜割増賃金の支払であることが明白な名目で定額(固定)残業代を支払う旨及び不足額があれば当該賃金計算期間に対応する賃金支払日に追加で支払う旨賃金規程に定めて周知させたり合意したりする。
 ④ 給料日には,「時間外勤務手当」「休日勤務手当」「深夜勤務手当」等,時間外・休日・深夜割増賃金の支払であることが明白な名目で,金額を明確に分けて給与明細に記載して支給する。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

使用者と社員が合意することにより,日当を1日12時間勤務したことの対価とすることはできますか。

2014-07-31 | 日記

使用者と社員が合意することにより,日当を1日12時間勤務したことの対価とすることはできますか。

 所定労働時間を1日12時間とすることはできませんが,「1日12時間勤務したことの対価」の意味が,「1日8時間の所定労働時間内の労働と4時間の時間外労働をしたことの対価」という趣旨であると解釈でき,残業代 (割増賃金)に相当する金額が特定されていると評価できるような場合であれば,このような合意も原則として有効と考えられます。ただし,このような合意の仕方は,何時間分の対価として賃金額が定められたのかとか,残業代(割増賃金)に当たる部分が特定されているのかという点について問題が生じやすく,細心の注意を払わないと,所定労働時間を12時間と定めたものであるとか,残業代(割増賃金)に相当する金額が特定されていないと評価されて,日当は8時間の所定労働時間内の労働の対価と認定され(労基法13条・32条2項),日当全額を基礎として計算された残業代の支払を余儀なくされるリスクがありますので,注意が必要です。
 日当が残業代込みの金額であるというためには,最低限,日当が12時間分の労働の対価であることくらいは,書面上明示しておく必要があります。1日何時間働かなければならないのか不明確なまま,「日当1万○○○○円」と定めただけでは不十分です。このような定め方では,労基法の労働時間の上限である8時間(労基法32条2項)の労働の対価と評価されてしまい,8時間を超える労働に対しては,別途,残業代の支払を余儀なくされることになります。
 日当が12時間分の労働の対価であることが書面上明示されている場合は,訴訟になってもそれなりに戦うことができると思いますが,そのような場合であっても,1日8時間の所定労働時間内の労働に対する賃金が何円で,4時間の時間外労働に対する残業代が何円なのかが,方程式を使って計算しないと判明しないような場合で,1日12時間を超えて働いた場合に不足額を追加で支払ったことが一度もないような場合は,労働者に残業代(割増賃金)に相当する金額が特定されていないとの主張を許すことになってしまうリスクが生じます。他方,1日12時間を超えて働いた場合に,その都度,残業代の不足額がきちんと計算され,追加で支払われているのであれば,リスクが低くなります。
 トラブル防止のためにも,1日の賃金額については,例えば,「(8時間分の)日当1万6000円,(4時間分の)時間外勤務手当1万円,合計2万6000円」といったように,1日8時間の所定労働時間内の労働に対する対価の部分と,残業代(割増賃金)に相当する金額とに明確に分けて一日あたりの賃金額を定めることをお勧めします。このように,1日8時間の所定労働時間内の労働に対する対価の部分と,残業代(割増賃金)に相当する金額とに明確に分けて賃金額を定めておけば,1日12時間を超えて労働した場合に不足する残業代の額を計算することが容易なため,多少問題があっても,全面的に敗訴するリスクは低くなるものと思われます。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

残業代込みの基本給の方が,基本給の金額が高く見えて体裁がいいのではないでしょうか?

2014-07-31 | 日記

残業代(割増賃金)を基本給とは別に支払うよりも,残業代込みということで基本給を支払った方が,基本給の金額が高く見えて,社員募集の際に体裁がいいのではないでしょうか。

 それはそうかもしれませんが,残業代 は,残業代以外の賃金とは別に支払うべきものであり,残業代と残業代以外の賃金との内訳が判別できないと残業代の支払があったとは認められませんので,残業代不払を理由とした残業代請求を受けないようにするためには,残業代の金額と残業代以外の賃金の内訳を明らかにする必要があります。残業代の金額と残業代以外の賃金の金額を明らかにしてしまえば,結局,残業代を除いた基本給の金額がはっきりしてしまいます。
 採用された社員が騙されたと感じるような採用募集広告では,結局,すぐに辞めてしまって定着しませんので,正直にありのままの労働条件を説明し,正攻法で対処しないと,根本的な解決にはなりません。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする