弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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休日に出張先へ移動するよう命じた場合,出張先への移動時間を労働時間として取り扱う必要がありますか

2014-07-16 | 日記

休日に出張先へ移動するよう命じた場合,出張先への移動時間を労働時間として取り扱う必要がありますか。

 休日に出張先へ移動するよう命じた場合,単なる出張先への移動であれば労働時間として取り扱う必要はありませんが,物品の監視・配送や人の引率を伴う等,移動自体が業務性を有している場合は,出張先への移動時間を労働時間として扱う必要があります。
 解釈例規では「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても,旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取り扱わなくても差支えない。」(昭和23年3月17日基発461号,昭和33年2月13日基発90号)とされており,「企業においては,このような解釈によりつつ,出張手当や日当などで対処するのが普通である。」(菅野『労働法〔第10版〕』336頁)との考えが一般的です。
 単なる出張先への移動であれば,通常の通勤と同様,業務性がなく,使用者の指揮命令下に置かれているとは評価できませんので,労基法上の労働時間には該当しません。
 他方,物品の監視・配送や人の引率を伴う等,出張先への移動自体が業務性を有している場合は,使用者の指揮命令下に置かれていると評価することができますので,出張先への移動時間を労働時間として扱う必要があります。
 休日の出張先への移動時間が労働時間となる場合,法定休日の移動であれば休日労働になりますし,法定休日でない場合も労働時間が1日8時間,週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えている場合には,時間外労働時間になります。


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代休を取得させた場合に残業代(休日割増賃金)の支払は必要ですか。

2014-07-16 | 日記

代休を取得させた場合に残業代(休日割増賃金)の支払は必要ですか。

 代休とは,休日労働をさせた代わりに取得させる休日のことをいいます。
 代休を取得させた場合であっても,休日労働をさせたことに変わりはないため,事前に36協定の締結・届出をしておく必要がありますし,残業代 (休日割増賃金)の支払も必要となります。
 残業代(休日割増賃金)は35%増しになりますので,通常の労働日の賃金の135%に相当する時間単価になるのが通常ですが,代休を取らせた場合は100%部分については填補したことになりますので,35%部分についてのみ支払えば足りることになります。


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休日の振替がなされた場合,残業代(休日割増賃金)の支払が必要ですか。

2014-07-16 | 日記

休日の振替がなされた場合,残業代(休日割増賃金)の支払が必要ですか。

 労働契約で休日の振替が認められている場合には,事前に振り替わる休日と労働日を特定することにより,休日を変更することができます(休日の振替)。
 休日の振替により,元々休日だった日は休日ではなくなりますので,この日に働かせても休日労働にはならず,残業代 (休日割増賃金)の支払は不要です。
 ただし,休日を振り替えた結果,週40時間又は1日8時間を超えて働かせることになった場合は,週40時間又は1日8時間を超える労働時間の労働は時間外労働となりますので,週40時間又は1日8時間を超える労働時間については残業代(時間外割増賃金)の支払が必要となります。


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変形休日制とはどういったものですか。

2014-07-16 | 日記


 毎週1回の休日を与えるのが原則ですが(労基法35条1項),4週間に4日以上の休日を与えるものとすることもできます(労基法35条2項,変形休日制)。
 変形休日制を取る場合には,就業規則等において,4日以上の休日を与えることとする4週間の起算日を明らかにする必要があります(労基法施行規則12条の2第2項)。


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休日を定めずに毎日働かせ続けた場合,休日労働に対応する残業代を支払う必要はありますか。

2014-07-16 | 日記

休日を定めずに毎日働かせ続けた場合,休日労働に対応する残業代(休日割増賃金)を支払う必要はありますか。

 労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。」と定めていますが,「週」は「起算日から計算して7日の期間」を意味し,この期間が休日付与義務の単位期間になります。
 したがって,休日を定めずに毎日働かせ続けた場合であっても,勤務開始日を起算日とした7日の期間を単位期間として,少なくとも1回の休日を与えなければならないと考えられますから,勤務開始から7日目,14日目,21日目…と,7の倍数の日は法定休日となり,これらの日の労働に対しては,休日労働に対応する残業代 (休日割増賃金)を支払う必要があります。


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社員との合意により,休日をなしにすることはできますか。

2014-07-16 | 日記

社員との合意により,休日をなしにすることはできますか。

 休日を与えることは労基法35条により使用者に義務づけられていますので,休日をなしにする旨社員と合意したとしても当該合意は無効となり,労基法35条で定められた休日(法定休日)を与えなければならないことになります(労基法13条)。
 したがって,社員との合意により休日をなしにすることはできません。
 休日なしの連続勤務が必要な場合は,労基法35条所定の休日は定めた上で,休日出勤させるという扱いになるものと考えられます。この場合,法定休日に出勤させるわけですから,36協定の締結・届出や残業代 (休日割増賃金)の支払が必要となります。


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労基法35条の「休日」はどのような日のことをいうのですか。

2014-07-16 | 日記

労基法35条の「休日」はどのような日のことをいうのですか。

 「休日」(労基法35条)とは,労働契約において労働義務がないとされている日をいいます。
 「休日」は,原則として,「午前0時から午後12時までの24時間」の暦日で与えなければなりません(昭和23年4月5日基発第535号,ただし,昭和57年6月30日基発第446号,昭和63年3月14日基発第150号・婦発第47号,平成11年3月31日基発第168号等)。


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労基法に基づく残業代計算の基礎となる休日労働時間とは,どのような時間のことをいいますか。

2014-07-15 | 日記

労基法に基づく残業代(割増賃金)計算の基礎となる休日労働時間とは,どのような時間のことをいいますか。

 労基法に基づく残業代 (休日割増賃金)計算の基礎となる休日労働時間とは,労基法35条の法定休日(1週1休)に労働させた時間のことをいいます。
 土日が休日の週休二日制で祝祭日が休日の会社において,休日である土曜日や祝祭日に労働させた場合であっても,日曜日が法定休日の場合は,ここでいう休日労働には該当しません(週40時間(特例措置対象事業場では週44時間)を超えて労働させた結果,時間外労働に該当する可能性はあります。)。


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「休憩時間」(労基法34条)中の外出を制限することはできますか。

2014-07-15 | 日記

「休憩時間」(労基法34条)中の外出を制限することはできますか。

 休憩時間中の外出を許可制とすることも,事業場内において自由に休憩し得る場合には必ずしも違法にはなりません(昭和23年10月30日基発第1575号)。
 休憩時間中の外出を許可制としたとしても,労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間と評価することができるのであれば,労働時間ではなく「休憩時間」(労基法34条)と評価されることになりますが,休憩時間中の外出を許可制としている場合,実態として電話や来客の対応が義務づけられがちであり,労働からの解放が保障されていなかったと評価されるリスクがありますので,休憩時間中の外出を許可制とする場合は,労働からの解放が保障されているといえるよう十分に配慮した労務管理を行う必要があります。


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休憩時間の自由利用に制限を加えることはできますか。

2014-07-15 | 日記

休憩時間の自由利用に制限を加えることはできますか。

 使用者は,労働者に対し,休憩時間を自由に利用させなければなりません(労基法34条3項)。
 ただし,休憩時間の自由利用も絶対的なものではなく,事業場の規律保持上必要な制限を加えることは休憩の目的を損なわない限り差し支えありません(昭和22年9月13日基発第17号)。休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせることも,事業場内において自由に休息し得る場合には,必ずしも違法にはなりません(昭和23年10月30日基発第1575号)。
 使用者の事業所等の管理権に基づく労働者に対する行動規制は,休憩時間中のものであっても,管理権の合理的な行使として是認され得る範囲内にある限り,有効なものとして拘束力を有することになります(米軍立川基地事件最高裁昭和49年11月29日第三小法廷判決)。
 目黒電報電話局事件最高裁昭和52年12月13日第三小法廷判決も,「一般に、雇用契約に基づき使用者の指揮命令、監督のもとに労務を提供する従業員は、休憩時間中は、労基法三四条三項により、使用者の指揮命令権の拘束を離れ、この時間を自由に利用することができ、もとよりこの時間をビラ配り等のために利用することも自由であつて、使用者が従業員の休憩時間の自由利用を妨げれば労基法三四条三項違反の問題を生じ、休憩時間の自由利用として許される行為をとらえて懲戒処分をすることも許されないことは、当然である。しかしながら、休憩時間の自由利用といつてもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また、従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない。」としています。


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交代で休憩時間を取らせることはできますか。

2014-07-15 | 日記

交代で休憩時間を取らせることはできますか。

 休憩時間は事業場ごとに,一斉に与えなければならないとされており(労基法34条2項本文),原則として,労働者に対し,交代で休憩時間を与えることは認められません。
 ただし,運送事業,販売・理容の事業,金融・保険・広告の事業,映画・演劇・興業の事業,郵便・電信・電話の事業,保健衛生の事業,旅館・飲食店・娯楽場の事業,官公署等においては適用が除外されており,一斉に休憩を与える必要はありません。
 その他の事業でも,労使協定を締結すれば(届出は不要),休憩時間を一斉に与える必要はなくなり,交代で休憩時間を与えることもできるようになります(労基法34条2項ただし書き)。


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「休憩時間」(労基法34条)は,まとめて与えなければなりませんか。

2014-07-15 | 日記

「休憩時間」(労基法34条)は,まとめて与えなければなりませんか。

 「休憩時間」(労基法34条)をまとめて与えなければならないという規制はなく,例えば,1日8時間を超えて労働させる場合であっても,45分と15分に分割して与えることもできます。


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休憩時間を与える位置について労基法上の規制がありますか。

2014-07-15 | 日記

休憩時間を与える位置について労基法上の規制がありますか。

 休憩時間は,「労働時間の途中」に与えなければなりません(労基法34条1項)。例えば,9時勤務開始,12時~13時の1時間が休憩時間,18時勤務終了といったように,労働時間の途中に与える必要があります。
 9時~10時に休憩時間を取らせたことにして,10時勤務開始,18時勤務終了ということにはできませんし,9時勤務開始,17時勤務終了,17時~18時休憩時間とすることもできません。
 もっとも,労働時間の途中に与えさえすれば,休憩時間の位置は問われません。

 例えば,9時勤務開始で休憩時間を与えないまま17時まで8時間続けて働かせ,その後,1時間の休憩時間を取らせてから,さらに2時間働かせたような場合であっても,労基法34条違反とはなりません。


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社員との合意により,6時間を超えて働かせる場合に休憩時間をなしにすることはできますか。

2014-07-15 | 日記

社員との合意により,6時間を超えて働かせる場合に休憩時間をなしにすることはできますか。

 6時間を超えて働かせる場合に休憩時間を与えることは労基法34条により使用者に義務づけられていますので,6時間を超えて働かせる場合に休憩時間をなしにする旨社員と合意したとしても当該合意は無効となり,労基法34条で定められた労働条件が適用されることになります(労基法13条)。
 したがって,6時間を超えて働かせる場合に休憩時間をなしにすることはできません。


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休憩時間の長さに関する労基法上の規制を教えて下さい。

2014-07-15 | 日記

休憩時間の長さに関する労基法上の規制を教えて下さい。

 休憩時間の下限に関し,労基法上,1日の労働時間が6時間までであれば休憩時間を与えることは要求されていませんが,1日の労働時間が6時間を超え8時間までの場合は45分以上の休憩時間を,1日の労働時間が8時間を超える場合は1時間以上の休憩時間を与える必要があります(労基法34条1項)。
 他方,休憩時間の上限については労基法上,規制されていません。


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