仏教に興味をもってからは、これまでに仏教に関する書籍を多く読み、それぞれに感動し
ました。自分の中で仏教は、人としてどのように生きるかとか人生をどのように考えるか、
さらに何のために生まれそして死ぬのかを探求することを手助けしてくれる存在です。
宗教としては仏教のほかにキリスト教やイスラム教等がありますが、個人的には仏教の考
え方に素直に賛同できます。それは無理なく自然に心に入ってくるものです。またそれは日
本の文化に根ざした部分が影響しているのだと思います。
さて今回の話である般若心経は、一般には600巻に及ぶ「大般若波羅蜜多経」のエッセ
ンス等といわれています。エッセンスだから本当に短いなかに本質が埋め込まれているので
す。なんと266文字の本文に大乗仏教の心髄が説かれているとされており、宗派に関係な
く読誦経典の1つとされているお経です。
これまでに般若心経に関する書籍も多く読みましたが、これまた読んでいて感動する内容
です。皆さんにも是非ともお勧めしたいと思います。最近読んだ般若心経に関する書籍の中
では、瀬戸内寂聴が書いた「絵解き般若心経」朝日出版社が手ごろに読めてよい書籍だと思
っています。
内容を分かりやすく表現しているので読んでいてストンと心に落ちてくるとともにで、読
み終わると何故か心が軽くなり穏やかな気持ちになります。分かり易く書けるのは、それだ
けこの内容を熟知しているからこそ出来る技だと思います。
詳しいことは知りませんが、瀬人戸内寂聴は、仏門に入るまでいろいろな経験をした人だ
と聞いています。ですから、瀬戸内寂聴が書いた「あの世 この世」「また逢いましょう」
「老いを照らす」等の書籍でも仏教がテーマでありその内容にも共感できます。
般若心経の内容に戻りますが、個人的に思う般若心経のキーワードは「空」「無明」「智
慧」ではないかと思います。この中でも特に「空」の考え方は特に好きです。この「空」は
正に宇宙的な規模でありまた小さな人間の心でもあります。
目に見えるものがあるとも言えるし、ないとも言えるのです。その根底にあるのが「空」
の考え方です。さらに心も「空」であり言葉を代えればとらわれることがいけないことだと
言っています。
このとらわれは自らの「無明」から発生するのです。さらにこの「無明」から我々を悩ま
す煩悩が生まれるのです。人の心に存在する煩悩を無くせば苦しみ等はなくなるのです。以
前から「+と-」や「男と女」さらに「綺麗と汚い」のように相対極するものや、その考え
方の背景に真理があると考えていましたが、仏教の「空」もこれに非常に近い考え方だと思
います。
ですから読んでいてどんどん般若心経の世界にのめり込んで行ってしまいます。しかしそ
の真理まで到達出来ないのが凡夫なのです。1300年の大峰修験道の歴史の中で1999
年に大峰千日峰行を満行し、2人目の偉業を成し遂げて「大阿闍梨」となった塩沼亮潤氏で
さえも、始めは煩悩に悩み現在に至ってようやく煩悩が消えたと言われています。
それに比べれば、私のような凡夫が煩悩が消えずに悩むのは当然であると思います。しか
し昔に比べれば仏教に出会いそして般若心経に興味を持った時点から、自分が変わってきた
感じがします。その背景には心の持ち方があります。皆さんも機会があれば般若心経を読ん
でみてください。きっと何かを感じると思います。