ゆうちゃんの独り言

モーツァルトが大好きで毎日欠かさず聴いています。人生の生き方は仏教で毎日般若心経を唱え、時間を見つけて寺巡です。 合掌

■ 道元禅師の言葉「生知」について!!

2009-03-01 21:52:41 | Weblog
 曹洞宗の宗主である道元の生涯を描いた映画「禅」が1月から公開されていますが、残念
ながら時間が無くてまだ鑑賞していません。ただ、最近道元の言葉をまとめた文庫本「道元
「禅」の言葉」が発刊されたので、早速読みました。

 個人的に禅に関しては興味があり、今までに関連の本を読んでいましたが、今回のこの本
を読んで少し禅に関して整理が出来たことは良かったと思います。釈迦が説いた仏教ですが、
時が流れる間に仏教もいろいろな考えや教えが生まれ変化しながら今日まできています。

 今回の本を通じて、仏教を学ぶ事(すなわち自分自身を分かること)に関する考え方に関
して、いままで自分が考えていたものと少し異なっていたことが分かりました。

 自分にない知識や知恵や常識を自分以外の他者から学んで知ることを「学知」と言います
が、道元禅師が著した「正法眼蔵」の中で述べているのは、仏教を学ぶことはこの外に求め
る「学知」ではなく、自分の中にあるものを学ぶことだと説いています。

 一歩外へ出て学ぶのではなく、一歩自分自身の中へ入り込むことだと言っているのです。
この世の中を含む全宇宙に存在するものには、それが石であれ花であれどのようなものにも
仏性があり、深く自分を見つめ考えることにより光明が得られると言っています。すなわち
自分の中に知があると言っておりこれを「生知」と言うのです。

 これまで、未熟な私は少しでも良くなる方法を常に外に向けて模索し、役に立ちそうなこ
とを模倣しては自分を改善してきましたが、最終的には自分を深く見つめて考え、真理を求
める行為を通じて、限りなく崇高な世界へ到達することが出来るのです。

 確かに自分自身で苦しんで苦しんで涙を流しながら越えてきた根底には、最後は自分しか
いないという考え方があり、それに向かって長い道のりをたどりながら最終的にある状態に
到達できるような気がします。

 これらの背景には、自分の能力が無くて深い悲しみの中で涙を流しながら過ごした時間が
非常に大切であることがわかります。このように涙を思いっきり流したあとの清々しさは、
経験した者だけが知ることだと思います。

 最終的には、自分自身の中で何かしらの解決ができる力を誰もが持っていることを仏教は
説いており、素直にそのことを実践することが重要なのだと思います。このような行為を通
じて、何か分からないけれど大きな力やエネルギーが得られるのです。

 自分と宇宙は一体であるということが素直に受け入れられるのであれば、その人は限りな
く釈迦の仏教の教えに近づいていると思います。これらの考え方は、「灯台下暗し」に近い
考え方で、本当に求めるものは自分自身の中にあるのです。

 求めるものが全て自分自身の中にあるということから、自分を他人と比較することなく自
分の道を進むことが大切なのだと思うようになりました。若い時にこのような考え方が出来
たのであれば、今の自分はもっと違った人生を歩んでいたと思いますが、このように悩みな
がら進む人生が、私の人生だと素直に思える心の安らぎが最近もてるようになりました。

 これも仏教を学んだお陰でした。この点から考えると「学知」も重要なのです。ただし、
最後は「生知」なのです。 合掌

■ 第1640回NHK交響楽団定期演奏会を聴いて(Aプロ初日)♪♪

2009-03-01 21:50:52 | Weblog
 2月の上旬にN響の定期演奏会に行ってきました。この日の午後は、前回のメルマガで紹
介したリコーフィルハーモニーの演奏会を聴いたあとでフランス音楽に頭が洗脳されたまま、
渋谷のNHKホールへ向かいました。また、一日に2つの演奏会に出かけて聴いたのは初め
ての経験でもありました。

 さて、N響の演奏曲目ですが、スメタナの連作交響詩「わが祖国」全曲でした。指揮はチ
ェコ音楽界の重鎮であるラドミル・エリシュカでした。個人的には全く名前をしらない指揮
者でした。

 指揮者のドミル・エリシュカですが、1931年にズデーテン地方で生まれ、ブルノ音楽
院で学んだ後に1969年から1990年までチェコ西部にあるカルロヴィ・ヴァリ交響楽
団の首席指揮者・音楽監督を務めました。

 日本との関係ですが、あまり強い関係は無かったようですが、2004年11月に初来日
し、東京フィルハーモニー交響楽団と名古屋フィルハーモニー交響楽団を指揮しました。そ
の後、札幌交響楽団と大阪センチュリー交響楽団への客演で大きな成功を収め、注目を集め
るようになったようです。

 今年78歳と高齢であるにも関わらず、当日の演奏の内容は脂が乗り切ったエネルギッシ
ュな指揮者のような指揮ぶりで、大変にびっくりしましたし、演奏の内容もレベルが高く久
々に良い演奏に出会えたと思いました。

 スメタナの交響詩「わが祖国」ですが、全曲を通して聴く機会はそれほど無いので、今回
の演奏は興味がありました。1 高い城(ヴィシェフラット)、2 モルダウ(ヴルタヴァ)
3 シャルカ、4 ボヘミアの牧場と森から、5 ターボル、6 ブラニークの6部構成になっ
ており、それぞれに物語がありますが、楽想もよく自然に心の中に入ってくるのはスメタナ
の素晴らしさもありますが、この指揮者の力でもあると思いました。

 全曲を通じて感じたことは、自分の祖国を表現した内容の曲であるからかも知れませんが、
霊魂が乗り移ったように音の中に魂のようなものが埋め込まれたような感じがするほど素晴
らしいものでした。

 この指揮者の才能が遺憾なく発揮されていたのを聴きながら、他の作曲家の演奏を聴いて
みたい気持ちになったのは私だけではないと思います。個人的にはドヴォルザークの交響曲
第8番を聴いて見たいと思いました。

 今回のように日本で知られていない指揮者でも、演奏の内容で素晴らしい力を出す指揮者
がまだまだ世界にいると思います。コンクールやメディアの力で有名になるのではなく、地
道に演奏しながら、じわじわとその良さを広げて行く指揮者の取り組みに心が打たれます。
この日は2つのオーケストラを聴きましたが、ともに心に残る演奏会でした。