私のとても好きなお話をご紹介します。
「カドヤ食堂のなぞなぞ」
富安陽子:作
宮本忠夫:絵
カドヤ食堂はおじさんがひとりで
切り盛りしています。
メニューは1.ひやしコーヒー
2.ソフトクリーム
3.クリームコーヒー
そして
4.うな丼
以上の4種類だけなのです。
そして
4つ目のうな丼は
誰も見たことがない、
食べたことがないという謎で幻のメニューなのです。
ある日、男の人が
うな丼を注文したことがありますが、
カドヤのおじさんは
その男の人が縮み上がるほど
睨みつけて
その男の人は怖くなって
注文を変更せざるを得ませんでした。
ある日
ヒサシは
お母さんから
「帰りが遅くなるから
夜ご飯を一人で食べて」と連絡をもらいます。
それで
ヒサシは
カドヤ食堂の
「うな丼」を食べることにします。
「こってり油の乗ったアツアツの柔らかなうなぎを
甘いタレのかかったご飯と一緒にパクパク食べたら
どんなにすばらしいだろう」と
思ったのです。
ヒサシは
ドキドキワクワクして
ひとりでガトヤ食堂へ行き
勇気を出してうな丼を注文します。
そうしたら
カドヤのおじさんは
「なぞなぞが得意だったら
うな丼が食べられるかもしれない」と言い、
ヒサシをつれて
近くの田んぼへ
田うなぎを取りに行きます。
ところが
田んぼに着くと
麦わら帽子をかぶった
「番人」が出てきて
カドヤのおじさんとヒサシに
なぞなぞを出します。
なぞなぞが解けたならば
田うなぎを取っていいとのことなのです。
ヒサシは、見事に
二つのなぞなぞに答えました。
ヒサシが
二つ目のなぞなぞの答えを口にした瞬間、
番人の頭の麦わら帽子が
風でフワリと持ち上がりました。
その姿は
カエルのように見えたのです。
そして
番人は田んぼの稲の波間に消えてしまいました。
カドヤのおじさんは
田うなぎを取り、
うな丼を作りました。
そのうな丼の美味しかったこと!
ヒサシにとって
忘れられないうな丼になりました。
けれど
その翌日から
カドヤ食堂のメニューから
「うな丼」が の文字が消えました。
そして
しばらくすると
カドヤ食堂も壊されて
スーパーが建ちました。
カドヤ食堂が壊された時、
その地面には大きなイタチ穴があったそうです。