名前をまだ聞いていない彼女の家に行きました。
以前、彼女が欲しいと言っていた
猫餌の空袋を数枚持って。
空袋を渡すと
彼女はとてもうれしそうに
「ありがとね、お天気の良いうちに
洗っちゃうからね」と
玄関のそばに置いてあった大きなタライの水を
空袋の中に少し入れて
ゆすぎました。
猫餌の袋は
水を通さないし、ある程度丈夫なことを私も知っています。
(引っ掻き傷には弱い)
だから私もとってあります。
彼女は
この空袋をどんなふうに使うのかな。
彼女は一つ一つの行動を
とても大事にしている。
日常の細々した行動にも
優先順位を考えて
効率良いやり方、
無駄の出ないようなやり方とか、
目的とか
原因とか結果、
対処のしかたや展望などなど。
そして
彼女の話には必ずと言っていいほど
計算や数字が入る。
昨日は片道50分歩いてお店に行ったという。
そして店の商品の値段を筆記したのだという。
1個300円のパンは
100円が材料費、
100円をお店に払う、
100円が儲けとなる、そんなふうに
想像しながら
メモするとのこと。
彼女は庭に生えている植物を
土から抜いて私に手渡してくれました。
その時、
彼女の手が私の手に触れました。
「おおきなかぶ(絵:佐藤忠良)」のおじいさんの手のようでした。
タライには雨水が溜まっている。
今日、彼女はそのタライで
洗濯をしたらしい。
数枚の服が干してありました。