満天の星が輝く澄み切った夜空が、二人の目の前に広がった。
「――あれっ」と言いながら、ソラがぺたりと床に手をついた。確かに今、足を前に伸ばしたはずだった。ところがどういう訳か、足が床にくっついたように重くなり、一歩も先に進むことができなかった。
「あっ――」
と、ソラの隣で、同じようにウミが床に手をついた。
二人は、不思議そうに互いの顔を見合わせた。
「やっと、目が覚めたみたいだね」
と、誰かの声が聞こえた。
床に手をついたまま、二人が声のした方に顔を向けると、白衣のような服を着た男の人が、少し離れたところに立っているのが見えた。
ソラが、あわてて立ち上がろうとすると、
「おいおい、まだ目が覚めたばかりなんだ、そんなに無理をしちゃいけないったら」
男の人が、ふらふらとよろけたソラに言った。
どうしたのか、すっくと立ち上がりかけたソラだったが、ケラケラと膝が震えるように笑いだし、中腰のまま、それ以上体を持ち上げることができなかった。ソラは、ドシンと尻から床に落ちると、後ろに手をつき、座りこんでしまった。
「驚くのも仕方がないが、無理をしちゃいけないよ――」
男の人が、床まで届きそうな白い服を翻しながら、ソラ達の所に近づいてきた。
ウミはわずかに顔をうつむかせ、逃げるように体を起こそうとしたが、
「ひゃっ……」
勢いよく床から手を離したものの、足腰に力が入らず、へたりこむようにして、その場にぺたりと尻もちをついてしまった。
「――ここ、どこなんですか」と、ソラが言った。
「ここかい?」と、男の人が歩きながら言った。「――そうだなぁ。ここは、きみ達がいた時代から、気が遠くなるほど先に進んだ未来かな」
「えっ……」と、ソラは思わず言葉を飲みこんだ。
二人がいるのは、床から天井まで、光沢のある黒で統一された部屋だった。どこまでが床でどこからが壁なのか、境目がはっきりしない室内は、どのくらい広いのかも、よくわからなかった。天井には、大きさも色も様々な照明が灯り、まるで夜空に瞬く星々のようにきらめいていた。
半ば透きとおった、銀色の支柱の先に固定された台が、男の人の胸に届く高さで、等間隔にいくつも並べられていた。よく見ると、それぞれの台の上には、なにかの機械の装置や、見たこともない部品や器具が、ばらばらと乱雑に置かれていた。
「――あれっ」と言いながら、ソラがぺたりと床に手をついた。確かに今、足を前に伸ばしたはずだった。ところがどういう訳か、足が床にくっついたように重くなり、一歩も先に進むことができなかった。
「あっ――」
と、ソラの隣で、同じようにウミが床に手をついた。
二人は、不思議そうに互いの顔を見合わせた。
「やっと、目が覚めたみたいだね」
と、誰かの声が聞こえた。
床に手をついたまま、二人が声のした方に顔を向けると、白衣のような服を着た男の人が、少し離れたところに立っているのが見えた。
ソラが、あわてて立ち上がろうとすると、
「おいおい、まだ目が覚めたばかりなんだ、そんなに無理をしちゃいけないったら」
男の人が、ふらふらとよろけたソラに言った。
どうしたのか、すっくと立ち上がりかけたソラだったが、ケラケラと膝が震えるように笑いだし、中腰のまま、それ以上体を持ち上げることができなかった。ソラは、ドシンと尻から床に落ちると、後ろに手をつき、座りこんでしまった。
「驚くのも仕方がないが、無理をしちゃいけないよ――」
男の人が、床まで届きそうな白い服を翻しながら、ソラ達の所に近づいてきた。
ウミはわずかに顔をうつむかせ、逃げるように体を起こそうとしたが、
「ひゃっ……」
勢いよく床から手を離したものの、足腰に力が入らず、へたりこむようにして、その場にぺたりと尻もちをついてしまった。
「――ここ、どこなんですか」と、ソラが言った。
「ここかい?」と、男の人が歩きながら言った。「――そうだなぁ。ここは、きみ達がいた時代から、気が遠くなるほど先に進んだ未来かな」
「えっ……」と、ソラは思わず言葉を飲みこんだ。
二人がいるのは、床から天井まで、光沢のある黒で統一された部屋だった。どこまでが床でどこからが壁なのか、境目がはっきりしない室内は、どのくらい広いのかも、よくわからなかった。天井には、大きさも色も様々な照明が灯り、まるで夜空に瞬く星々のようにきらめいていた。
半ば透きとおった、銀色の支柱の先に固定された台が、男の人の胸に届く高さで、等間隔にいくつも並べられていた。よく見ると、それぞれの台の上には、なにかの機械の装置や、見たこともない部品や器具が、ばらばらと乱雑に置かれていた。