宝塚HPより参照
-本朝妖綺譚- 「白鷺(しらさぎ)の城(しろ)」作・演出/大野 拓史
絢爛たる平安の都で始まった、白皙の貴公子、陰陽師・安倍泰成と、艶やかに人心を惑わす妖狐・玉藻前の対決は、時を越え、場所を変え、豪壮たる名城「白鷺の城」で終に決着の日を迎える。千年に亘って転生を繰り返しながら、争い、そして魅かれ合う陰陽師と妖狐の宿縁を、時に雅やかに、時に妖しく描く、日本物レヴュー。
ミュージカル・プレイ 『異人たちのルネサンス』—ダ・ヴィンチが描いた記憶—
作・演出/田渕 大輔
万能の天才と謳われながら、その生涯に多くの謎を残すレオナルド・ダ・ヴィンチ。彼の創作の源が、ある女性への愛であったと仮定し、ダ・ヴィンチと彼を取り巻く人々との愛憎を描く。15世紀のイタリア・フィレンツェ。この街にルネサンス芸術を花開かせた時の統治者ロレンツォ・デ・メディチは、軍事、外交にも優れた手腕を発揮し、ローマ教皇との対立を深めつつあった。若きレオナルド・ダ・ヴィンチも彼の庇護を受ける芸術家の一人。ダ・ヴィンチは依頼された作品の完成も他所に、気ままな創作にかまけてはロレンツォを苛立たせていた。そんな折、彼はロレンツォの愛人カテリーナが幼馴染みである事を知る。同じ庶子という境遇からいつも寄り添い、寂しさを分かち合った二人…だが今、美しく成長した彼女の眼に浮かぶのは、心を閉ざすかのような謎めいた微笑だった。
観劇日29日(月)のチケはピアで始めて買ったが、2Fの4列1番。斜め前が舞台まで見通せるので端っこでも舞台全体は見えたので良しとしましょう。日本物のレヴューに舞踊詩を取り混ぜたと言う作者の言に因るようにストーリ-性もあり、歌在り、日舞ありの一杯詰まった50分でした。
帰ってプログラムを読んで初めて意味が分かった場面もありアレヨアレヨと言う間に終わりと言う印象でした。真風さん筆頭に皆さん美しく舞い歌いそれはそれでいいのだが予備知識なしに観て全部理解出きたとしたら天才。ジジはよく判らないままキレイだなーと見惚れていたら幕でした。
折角専科松本センセがお出ましなのに、これと言う見せ場もなくお気の毒。前作「天は赤い河」に比べて役柄のせいかすっかり女らしく成長した星風さんヨカッタけれどこれと言うしどころなしでお気の毒。芹香、愛月、桜木さんもただおキレイでした。真風さん筆頭に宙って日本物もいいなと思いました。
観劇前にピアのチケにおまけでついていた入場券で始めて「宝塚の殿堂」で「エリザベート展」を見ました。それよりも歴代のスターの写真と経歴や現況の方が珍しく懐かしくて全部見ているうちに時間切れでエリザ展示は見らませんでした。
大好きだったコーちゃん(越路吹雪)やよっちゃん(春日野八千代)の一番魅力的な時代の写真に感慨深いものがありました。物故された作者やスターの方も多く昔に観た舞台が走馬灯のようによみがえります。好きだった小顔で美脚のダンサーいなちゃん(神代錦)早くに亡くなられて残念でした。亡母の小学生時代の同級生で昔雪組の組長初音麗子さん。母が「美人でなくても宝塚に入れる」と言ってましたが…
さて「異人たちのルネサンスーダ・ヴィンチが描いた記憶―。ほぼオリジナルの作品らしいが、ローマ帝国とメディチ家の権力闘争に稀代の画家でかつ学者でもあったダ・ヴィンチのかの有名な「モナリザ」誕生のエピソードを絡ませてとまあ宇宙的壮大な物語と思いきや…
ヤッパ歴史的事実のある人物を配して、架空に近い物語を展開し、夫々のスターさんに見せ場を作るって至難の技なんやね。「白鷺」同様、何だか判ったような、判らないようなまま「モナリザ」が誕生し、突如ダ・ヴィンチまでが剣の達人に変身して主人公達が倒れたり、甦ったり。
真風さん芸術家風と言うより貴族風で堂々としていました。衣装のせいか工房の若者と一緒の時は同じ仲間には見えなかった。芹香さん、宙組にはまってきて、メディチ家の当主として赤い衣装が映えて貫禄たっぷり。歌唱力がビックリするくらい良くなられたと感じました。
星風さん、怪我で部分休演されてもうすっかり回復されたみたいでスター感が出てきましたね。でもモナリザのモデル?で4人の男性から想われるにはもう一歩アップが必要だと思います。愛月さん、専科入りされるんですね、力演でしたが短いフレーズの歌唱を時々現れて歌うのは如何なものか。
桜木さん、ジジは今回初めて存在が確認できました。繊細かつ大胆な演技が出来る人だと思います。メディチ家と対極にあるパッツイ家の凛城きらさん、存在感があり良かったです。フィレンツエにふさわしい装置と衣装全部がとても良かったし、舞台転換と群衆処理のスピード感も良かったです。
フィナーレのロケットの衣装カワイく似合ってました。銀橋で歌い踊る期待の若手、和希、留依、瑠風さん、歌えるはずなのにハーモニイが今一振りも良くなく損してました。一番ヨカッタ場面は黒い衣装一色で真風さんと娘役たちが絡むダンスと装置照明。
ジジは男役同士が絡むダンスは好まないので、真風・星風の「風」コンビが現れて踊るとホッ。真風さんが星風さんかばってるなと感じたのはジジの思い込みすぎかな? 作品が今一つ感銘を受けなくてもフィナーレを見て救われ、満足して帰る宝塚フアンのパターン観劇でした。