今、大きくとりださされている尖閣諸島問題の中国との関係において、菅総理は、「戦略的互恵関係において・・・・」という発言を多用しています。
「互恵」とは辞書では、「たがいに特別の便宜・恩恵などをはかりあうこと」とありますが、一方で、「戦略」とは、「戦争、闘争のはかりごと」となっています。
おそらく「戦略的互恵関係」を多用している意味は、「友好を前提に両国の発展のためにお互いの国益を相談していきましょう」という意味で使っているのではないかと思います。
しかし、領土問題の本質にこのような言葉が当てはまるのでしょうか。経済的な互恵関係であれば、外交としての話し合いは、お互いの利益のために話し合うことができると考えられますが、歴史的背景を踏まえた領土の帰属については、所詮、お互いの主張は平行線をたどることになるのではないかと思います。つまりどちらの言い分も譲れないところとなるのが結果であり、先送りの結論しか出ないことは歴史が証明しています。
さらに言えば、中国は経済大国となり、一党独裁の国です。経済戦争や外交戦争のパワーゲームとなれば、すでに日本をしのぐ力を持っていると認識すべきであり、求心力という国の力を考えれば、パワーゲームにおいて民主主義の日本は求心力を失う可能性が多分にあると思われます。
「戦略的」とされる日本の方針がなかなか見えてこないのが現実です。高度成長を経て、金の力で物を言わせてきた外交戦略を振り返ったとき、この国の戦略的互恵関係のバックボーンは何であるのか考えなおさなければならない時ではないでしょうか。
以上