ジーン・ウールの不思議な旅

ジーン・ウールは不思議な女性です。姿を変えて過去にも未来にも現れます。
もしかしたら貴方の友人や奥様かも知れません。

店主ご挨拶

ようこそお越し下さいました。 昨年(2010)、3ヶ月の雲水修行に行ってまいりました。 私は働き者で(自己申告)、精舎は朝は早く夜は遅く「朝瞑想」の時間は、気がつくといつも寝ておりましたが・・。 私の人生の1ページに、思いがけないご褒美を頂けたような日々を過ごさせて頂きました。・・ま、主婦でも決心ひとつで如何様な道も開けるんですね。 今も精舎に行くと「実家に帰った」ような気がします。 このブログ管理人は、最近物忘れ症候群中につき、おいで頂いた感謝を申し上げ、コメントを頂いても書いたり書かなかったり、付き合いが悪いことのご無礼をお許し下さいませ。

アルルの王子 3

2006-09-17 06:35:53 | エメラルドタブレット
3.
再び最高評議会が開かれた。
荒ぶる神エンリルを冥界に押し込めておきたいエンキ側は、エンキ「40」、エンキの妻ニンキ「35」、ウトウ(シャマシュ)「20」、シャマシュの妻アヤ「15」、天界の父アヌ「60」はエンキ側だろう。エンリルの傍流の息子アダト「10」もこちら側に入れておこう。すると合計「180」になる。

一方、エンリル「50」、エンリルの妻ニンリル「45」、生まれたばかりの息子ナンナル「30」、ニンリルの健気さが愛おしいアヌの妻アントゥムは「55」・・これで同じく「180」になる。

残ったのは、アヌの未婚の末娘ニンハルサグ「15」と、エンリルの孫娘イシュタル「5」だ。
イシュタルは冥界から還ることが出来た。その時は、エンリルも含めて天界の神々がエレシュキガルに掛け合ってくれた。だからイシュタルはエンリルとニンリル、ナンナルが冥界から還ることが出来るように骨を折っただろう。
ニンハルサグはイシュタルからの何らかの申し出を受け入れ、イシュタルの昇格を認めたに違いない。そしてイシュタルはエンリルに「15」を与え、ニンハルサグは父アヌ側に「5」を与えた。その結果エンリルは「195」を取得し、エンキ側「185」との得点差「10」で、エンリルは天界に戻ることが出来た。

そして、エンリルを父にニンリルを母にもつメスラムタエア神、ニンアズ神、そして文書が欠損していて、名前が不明の三柱の神が冥界に残った。(メスラムタエア神は、エレシュキガルの夫「ネルガル」と習合され同一視される)

アルルの王子 2

2006-09-16 06:02:28 | エメラルドタブレット
2.
 シュメールの粘土板を読むと、神々のランクというものが存在する。神々と人類の系譜を描いたシュメールの「王名表」と名付けられた粘土板文書によれば、12名のアヌンナキによって構成される評議会が、最高の意思決定機関だ。
その12名の最高評議会は、誰かが昇格すれば誰かが降格される。シュメールの神々は角のついた帽子をかぶった姿で描かれているが、帽子の角が神々のランクを数値で示している。左右一対の角は「10」を示していて、数値が大きいほどランクも高くなる。

古代シュメールにおいては、神々のランクについての知識は秘中の秘とされていた。ニネヴァで発見されたKー170号粘土板文書には「神々の秘数を衆生に知らせてはならない」と記されているのだという。

ギルガメシュの時代、最高ランクはニビル王アヌの「60」、アヌと異母妹アントゥムの間に生まれた後継者エンリルは「50」、アヌとその側室イドとの間に生まれた長子エンキは「40」、エンリルの息子ナンナルは「30」、エンリルの孫のウトゥは「20」だ。ウトゥはギルガメシュに出てくる太陽神シャマシュと同一神のようだ。

エンリルの傍流の息子アダドは「10」で、既婚女性のアヌンナキは夫のランクから「5」を減じた数が妻のランクだ。アヌの妻アントゥムは「55」、エンリルの妻ニンリルは「45」、エンキの妻ニンキは「35」、ナンナルの妻ニンガルは「25」だ。ニビル王アヌの未婚の娘ニンハルサグは「5」で、エンリルの孫娘イナンナ別名イシュタルは「15」だ。理由は分からないけど、本来はニンハルサグが「15」でイシュタルが「5」らしかったが、何らかの理由でニンハルサグが「5」に降格し、イシュタルが「15」 に昇格したらしい。これがアヌンナキ最高評議会 の神々だ。

アルルの王子 1

2006-09-15 09:11:35 | エメラルドタブレット
1.
 アルルの女主人エレシュキガルの配偶神はネルガルだ。
『「エンリル神とニンリル女神」という神話は、エンリルにとって不名誉な筋書きである。エンリルが清らかな乙女ニンリル女神をヌンビルドゥ運河の堤で強姦し、その罪のゆえに高位の神であるにもかかわらず他の神々によって罰せられ、冥界へ追放されることになる。ニンリルは月神ナンナルを身ごもっていたが、エンリルの後を追う。

息子が冥界に住まねばならぬ不幸を避けるために、エンリルは複雑に込み入った企みでさらにニンリルと交わり、三柱の子を妊ませてナンナルの身代わりとする。これによりナンナルは天に昇れることとなった。
 代わりに冥界に住むこととなった三柱の神々はメスラムタエア神、ニンアズ神、そして文書が欠損していて、名前が不明の神である。(古代メソポタミアの神々・三笠宮崇仁監修)より』

三柱のお子らは、エンリル、ニンリル、そしてナンナルの身代わりになった。
エンリルは、ヌンビルドゥ運河の堤で清らかな乙女ニンリル女神を見染め強引に想いをとげてしまった。イギギの神々は、すべてをお知りになり12名の最高評議会にかけ、エンリルを冥界へ追放することに決定した。エンリルが1人冥界へ追放された後を、身ごもったニンリルが追いかけて共に冥界へ下った。
それをアヌの妻アントゥムがご覧になり、涙を流された。

やがて、ニンリルが月神ナンナルをお生みになった。天にあれば、第三高位継承者であるに違いない。
エンリルは母アントゥムに相談の手紙を送った。アントゥムの助言により、エンリルは複雑に込み入った方法でさらにニンリルと交わり、三柱の子を妊ませてナンナルの身代わりとした。
エンリルとニンリルとナンナルが天に昇るについては、再び最高評議会にかける必要があっただろう。

ウトナピシュティム 34

2006-09-14 08:38:36 | ウトナピシュティム
34.
 やがて、ギルガメシュに終わりの時が来た。
ギルガメシュは床に伏していた。3分の2が神、3分の1が人間の身体のギルガメシュにも終わりの時が来た。身体は弱ってはいたが、毎日決まった時間になると、従者たちの持つ御車に担がれて、川の水で身体を清め供犠を捧げていた。
しかし、その日ギルガメシュは起きあがらなかった。
ギルガメシュは、その生命の終わりの時にウルシャナビに語った。

「ウルシャナビよ、わたしは再び旅をしよう。シャマシュの道は、遙かな地平のまたその先まで続くのだ。この地の果てるところまで、わたしは旅をしよう。この先に何があるのか知りたいものだ。」

香柏の森に住むフンババを滅ぼし、山の麓でライオンどもを殺し、天から下った天牛を捕らえて打ち倒した勇者ギルガメシュの最後は、まるで眠りにつく人のようだった。
眠りと死との垣根は低く、ギルガメシュは、ゆっくりと低い垣根を越えて、かの地へ渡った。
風は爽やかで、太陽がギルガメシュとウルシャナビに光を注いだ。

ウルシャナビが彼、ギルガメシュの豊かな土地を遙かに見渡したとき、高い空に何かがよぎったのを、ウルシャナビは見た。それは鳥のようで鳥ではなかった。


 粘土板[ギルガメシュ叙事詩]の当時の書名は、「すべてのものを国の果てまで見たという人」だったそうだ。

ウトナピシュティム 33

2006-09-13 09:39:02 | ウトナピシュティム
33.
20ベール行って、彼らはパンを割いた。
30ベール行って、夕べの休息をとった。
彼らは囲いの町ウルクの町中にたどり着いた。

ギルガメシュは、ウルシャナビに語った。
「ウルシャナビよ、ウルクの城壁に上り、往き来してみよ。
礎石をしらべ、煉瓦を吟味してみよ。その煉瓦が焼成煉瓦でないかどうか。その基礎は七賢者が据えたのではなかったかどうか。
ウルクの町は1シャル、果樹園は1シャル、粘土をとる低地が1シャル、それにイシュタル神殿の未耕作地。
すなわち、ウルクは3シャルとさらに未耕作地からなっている」

ギルガメシュは指さす。彼が遠く旅した、遙かな地の果てを指さす。
「ウルシャナビよ、麦を作ろう。わたしが旅した国々で、新しい麦を見た。1つの穂に多くの実をつける麦を見た。あの麦をウルクでも作ろう。
わたしが旅した国々で、珍しいものや美しいものを見た。
スーサでラピスラズリや紅玉髄を見た。アナトリヤでは、金や銀、レバノン杉、トルコ石、それから銅だ。わたしは再び、訪れた地へ交易のため訪ねよう。偉大なるわが父シャマシュのために、このウルクに輝ける神殿を建設するのだ」

ギルガメシュとウルシャナビは、城壁の上で遠く地平を眺めた。
この地平の、また遙か先の地平へと、ギルガメシュの思いは馳せた
「わたしは再び旅をしよう。シャマシュの道は、遙かな地平のまたその先まで続くのだ。この地の果てるところまで、わたしは旅をしよう。この先に何があるのか知りたいのだ。」

ギルガメシュは、長い旅をして得た知識でもって、多くの国々と交易をした。そして偉大なるシャマシュのために、素晴らしいジグラッドを建設した。それは、この世に二つとない程の素晴らしさだった。

ウトナピシュティム 32

2006-09-12 08:11:10 | ウトナピシュティム
32.
ギルガメシュは語った。
「舟師ウルシャナビよ、わが言葉を退けないで欲しい。
何のために、わが腕は疲れ切ったのか。何のために、わが心臓の血は失せ去るのか。わたしは自分のために、よきことを企てたのではなかったか。大地のライオン(蛇のこと)にも、わたしはよきことを行ったのに、いまや20ベールも流れはかの草を運んでしまう。

いつのことだったのだろう。深淵の溝を開けたことがあった。深淵の溝を開けたとき、わたしは道具(プックとメック)を落としてしまったのだ。あの時はエンキドゥが、わたしの代わりに道具を探しに行ってくれた。わたしが戻るべきであったのか。そして舟を岸辺に置いておくべきだったのか」泡のように浮かびくる記憶は定かではなかった。

「老いたるものが若返る草は、求めるとなお遠ざかり、人間の名前は葦原の葦のようにへし折られる。美しい若者も美しい娘も等しく死にへし折られるのだ。誰も死を見ることは出来ない。誰も死の声を聞くことは出来ない。死は怒りのなかで人間をへし折るのだ。
いつかはわれわれは家を建て、巣造りをする。いつかは兄弟たちがそれを分配してしまう。いつかは憎しみが生じ、いつかは川が氾濫し、洪水をもたらす。蜻蛉たちも川に流される。顔は太陽を見つめて生きようとしても、すぐさま何もかも失せてしまう。眠る者と死ぬ者は等しい。人々は死の姿を心に描けない。」ウトナピシュティムの語った言葉がギルガメシュの心に甦った。

ウトナピシュティム 31

2006-09-11 10:39:03 | ウトナピシュティム
31.
そこにかの草があったのだ。
彼がその草を取ると、刺藪の根が彼の手を刺した。
(シュメールの「死と生命の秘密の草」は、旧約聖書の「命の木(エデンの園の中央に生えている)」で「DNAの樹」のことだと「古代史に秘められたDNA暗号」桂樹佑著・・が出ています。・・旧約聖書の創世記には・・「エデンの園には1本の川が流れていて、そこから4本の川となり、第1の川はピション、第2の川はギホンで、第3の川の名はチグリスで、アシュルの東の方を流れており、第4の川はユーフラテスであった」と書かれている。旧約聖書の舞台はまさにここシュメールなのです)

ギルガメシュが重い石を足からはずすと、彼は泡のように上へと昇っていった。
深淵の海は、彼を岸辺に投げ出した。

ギルガメシュは彼、ウルシャナビに語った。
「ウルシャナビよ、この草は危機を超えるための草だ。それによって人は生命を得る。
わたしはこれを囲いの町ウルクに持ち帰り、老人にそれを、試してみよう。その草の名は『老いたる人が若返る』わたしもそれを試し、若き時代に戻ろう」

20ベール行って、彼らはパンを割いた。
30ベール行って、夕べの休息をとった。
そこには冷たい水をたたえる泉があった。ギルガメシュは泉を見て、シャマシュに供犠を捧げようと下って行き、水で身体を清めていた。

一匹の蛇がその草の香りを嗅いで、音もなく忍び寄った。
蛇はギルガメシュが深淵から持ち帰った草を取り去った。そしてむしゃむしゃと食べてしまった。
蛇は戻って行くとき、古い皮を脱ぎ捨てた。【脱いだ皮は、この世の肉体だ。蛇が戻っていったのはあの世に他ならない。夢が現実で、この世が実は夢なのだ】

長い旅の末に得たもの「老いたるものが若返る」草は、消えてしまった。
その日、ギルガメシュは腰を落として泣いた。

ウトナピシュティム 30

2006-09-10 05:46:30 | ウトナピシュティム
30.
ギルガメシュはこれを聞いて、喜んだ。
ギルガメシュは深淵に通ずる溝を開け、重い石を足に縛り付けた。
その石が彼を深淵に引き込んだ。

ギルガメシュは、いつ終わるとも知れない深い深淵を沈んでいった。
深淵は下るほどに一層闇が深くなった。ギルガメシュの傍らを何かが通り過ぎる。怪物の息づかいが聞こえる。

「おまえは何者だ。」
ギルガメシュは答えない。
「おまえは何者だ。答えなければ生きては帰さん。」
ギルガメシュは答えない。
「返答なくば、力づくでここに留めおこう」
ギルガメシュは強い力に捕らえられた。強い力に締め上げられた。
しかしギルガメシュの3分の2は神々の身体だ。深淵の怪物は引き下がらざるを得なかった。

再び別の力がギルガメシュを襲った。
「おまえは何者だ。」
ギルガメシュは、またも答えない。
「おまえは何者だ。答えなければ生きては帰さん。」
ギルガメシュはまたも答えない。
「返答なくば、やむをえんな。」
ギルガメシュを捕らえた力は、前以上に強い力だったが、深淵の怪物は引き下がらざるを得なかった。

こうしてギルガメシュは深淵の底にたどり着いた。
漆黒の闇の中にあって1カ所光るものがあった。
闇を照らす蝋燭にも似て、それはそれ自身が光を放っていた。

ウトナピシュティム 29

2006-09-09 08:07:48 | ウトナピシュティム
29.
その時、彼の妻は、ウトナピシュティムに語った。
「あの若者は荒野を旅してここまでやって来ました。彼は疲れ切り、体力も消耗しています。だけど、あなたが死と生の秘密の〈回答〉を与えたので、彼は自分の国に帰るのですか。」

ギルガメシュは櫂を持ち上げ、舟を岸辺から遠ざけようとしていた。

ウトナピシュティムは、ギルガメシュをじっと見、やがて彼を呼び止めた。

「ギルガメシュよ、お前はここまでやって来て、疲れ切り、消耗している。
わしがお前に死と生の秘密の〈回答〉を与えてもいないのに、あきらめてお前は帰ろうとするのか。
死んだ人間以外でここまで来れたのは、神々のみだった。おまえは3分の2が神、3分の1が人間の身体だ。そのおまえが今ここまで来れたということは、おそらく意味のあることに違いない。

ギルガメシュよ、わしは隠された事柄を明かそう。
生命の秘密をお前に語ろうぞ。
その根が刺藪のような草がある。その刺は野バラのようにお前の手を刺す。もし、この草を手に入れることができるなら、お前は不死の生命を見出すだろう。

その草は深淵のなかにある。その深淵の底までたどり着けるなら、おまえは老いたる者が若返る、死と生命の秘密を手に入れることが出来るだろう。しかしギルガメシュよ、何があっても決して口をきいてはいけない。何も喋ってはいけない。言葉を発するとおまえは深淵に捕らえられ、二度と戻ってくることはあるまい。」

ウトナピシュティム 28

2006-09-08 06:33:46 | ウトナピシュティム
28.
ウトナピシュティムは、舟師ウルシャナビに言う。
「ウルシャナビよ。舟着き場がお前を軽んじ、出入り口がお前を嫌うように。
その岸辺を往き来する者よ。その岸辺から離れていけ」

「お前が先導した者の身体には、汚れた髪が巻き付いてしまった。皮膚がその美しい肉体を損なってしまった。ウルシャナビよ、彼を案内し、水場に連れて行け。水でその汚れた髪を雪のように清く洗わせよ。その皮膚を脱ぎ捨て、大洋がそれを持ち去るように。彼の良き肉体が潤うように。彼の頭巾が新調されるように。彼が衣装を、彼の活力の衣を、身に纏うように。彼が自分の町に行けるまで、彼の道に達するまで、その衣装は汚れず、真新しくあるように」

ウトナピシュティムは、ウルシャナビに舟師としての任を解いたのだ。
(淡々と書かれているが、この出来事を心に留めておこう)

ウルシャナビは彼、ギルガメシュを案内し、水場に連れて行った。
ギルガメシュは、水場でその汚れた髪を雪のように清く洗った。ギルガメシュがその皮膚を脱ぎ捨てると、海がそれを持ち去った。
彼の良き肉体は潤った。彼は自分の頭巾を新調した。彼は衣装を、彼の活力の衣を身に纏った。
そしてギルガメシュが自分の町に行けるまで、彼の道に達するまで、その衣装は汚れず、真新しくあり得たのだった。

ギルガメシュとウルシャナビは舟に乗った。彼らはマギル舟を出航させ、ウルクへの航海に出ようとしていた。