時代を越えて愛され続ける、軽自動車の革命児。
軽自動車初の2シーターミッドシップオープンスポーツモデルであるホンダビートは、1991年5月に発売されました。
実用性とは無縁で、純粋に走る楽しみだけを追求した遊び道具のようなクルマ。独創的で、ある意味ホンダの真骨頂と言えます。ホンダ創業者の本田宗一郎氏が最後に見届けたクルマでもあります。
エクステリアデザインにはあのピニンファリーナが関わっていると言われています。ミッドシップスポーツらしくサイドに大きなインテークを備えつつもどこか愛らしさがあり、老若男女問わず親しみやすい素晴らしいデザインだと思います。
軽自動車という制約の中で、走りのために並々ならぬこだわりが詰め込まれたこのクルマ。
搭載されるエンジンは直列3気筒SOHCの「E07A」。レスポンスや扱いやすさからターボではなくNAを選択し、ホンダらしく高回転まで吹け上がる元気の良いエンジンです。
4輪独立サス、軽自動車初となる4輪ディスクブレーキ、多連スロットル、前後異形サイズのタイヤなどかなり贅沢な設計で、ミッションは5MTのみでした。
内装は、遊び心溢れるゼブラ柄のシートや、バイクを思わせる独立3連メーターがユニークです。
92年5月には限定仕様車であるバージョンCが500台限定で発売されました。
ボディーカラーは専用のキャプティバブルー・パールで、ホワイト塗装が施されたホイールが特徴的です。
来年めでたく発売30周年を迎えるビート。S2000のように何か新しい純正用品が発表されたりするのでしょうか?
キットはアオシマから10月に再販されたもの。以前バージョンFで製作したので、今回はバージョンC仕様にしてみました。
キットの出来そのものは悪いものではないため、ディテールアップ中心に進めていきました。ざっと挙げると以下の通り。
●ヘッドライト内部の削り込みとウインカー再現
●サイドのインテークの開口
●アンテナ、ウォッシャーノズルの自作
●ドア内貼りにグリップ等の追加
●シートベルト関係とガイドの自作・追加
●前後異形サイズのホイールの再現
●サスペンションをモデューロ仕様に塗り分け
なお、ゼブラ柄シートの塗り分けは・・・。
ルーフは3種類製作。気分に応じてフルオープン、クローズ、無限ハードトップ装着のいずれかを選択できるようにしました。一粒で3度おいしいですね。
後半は以前製作したビートや、来年夏ごろに生産終了がささやかれている”現代版ビート”ことS660と並べてみました。
軽ミッドシップオープンの元祖とその血を引き継ぐもの。それぞれに良さがあります。
欧州を中心に電動化や自動運転といった波が押し寄せ、大きな転換期を迎えようとしている現在の自動車業界。
そんな中でも、このビートのようにクルマを走らせる喜びや自ら操る楽しさを味わうことが出来るクルマを決して絶やさないで欲しいですね。
別に速さだけがスポーツカーではありません。遅くたっていいんです。自分の意志でクルマを動かすってとても楽しいことなのです。
たとえ時代が変わってもビートの魅力はいつまでも色褪せることなく、きっとこれからも多くのファンに愛され続けていくことでしょう。