ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

家族の庭

2011-11-03 21:47:30 | か行

80点超えが続いてハッピー

「家族の庭」83点★★★★

「秘密と嘘」「ヴェラ・ドレイク」の
マイク・リーの新作です。


初老の夫婦トムとジェリー。(そういう名前。笑)

夫婦はともにやりがいのある仕事をし、
休日は菜園で野菜を育て、

美味しい料理を作り、ワインを楽しむ。

ゆったりと充実した
まさに“理想の夫婦”。

そんな二人の家には
さまざまな人々が集ってきて――。



観ながら
自分もこの夫婦の快適な家に
お邪魔しているような気になり、

その居心地のよさと温かさが
ホントに最高。

エンドロールが終わっても
ずっと座っていたくなる映画でした。


市井の人々の「悲喜こもごも」を
切り取る術に長けたマイク・リー監督。

本作でも、
誰もが思い当たるささやかな瞬間を
鋭い観察で描き、ドラマを作り出しています。


なによりまず、
ここまで仲良しな夫婦が映画で描かれるってことが
あんまりないってのがいい。

特に最近は
夫婦間がギクシャクしないと物語がはじまらない、みたいな
ところがありますが、

仲良し夫婦って、決してリアルじゃなくないんだと
監督は証明しております。


主演の二人も
本当にいい感じなんだよなー。


ただこれ、
自分の幸福度や充実度が、
如実に反映される映画かもしれません。

すなわち
パートナーに恵まれてる人には充足感を、
そうでないひとには
渋い後味を残すかも。


トムとジェリーは懐深く、
人を受け入れるんだけど、


自分たちの会話センスについてこられない人には
けっこう冷淡だし
適度な距離感を保てない人はNG。

で、本人にはそれを隠してても
観客には隠さない。


そのいい例が
独身40代のメアリー。

悪い人じゃないんだけど、
かなり痛いところがあり、
しかもすごく共感できたりする(アワワ)。

ある意味、残酷なんですよ。


まあ、結局は
幸福度の目盛りを決めるのは、自分次第、と
ワタクシは感じましたけどね。

ぜひ、礼儀と知識と、
距離感を保って

招かれたいなア、こんな家。


★11/5から銀座テアトルシネマほか全国順次公開。

「家族の庭」公式サイト
コメント
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