ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

素敵なダイナマイトスキャンダル

2018-03-16 23:11:09 | さ行

 

芸術はバクハツだー!

お母さんもバクハツだ-!…...。

 

「素敵なダイナマイトスキャンダル」72点★★★★

 

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7歳のときに母親が隣家の息子とダイナマイト心中をするという

衝撃的な経験をした青年・末井昭(柄本佑)。

 

18歳で岡山の田舎を飛び出した彼は

デザインの仕事に興味を持ち、バイトで学費を稼いで学校に通う。

 

下宿先で出会った牧子(前田敦子)と結婚した彼は

やがて1970年代のアンダーグラウンドカルチャーに目覚め、

『ウィークエンドスーパー』や『写真時代』など

伝説の雑誌を次々と創刊していくが――。

 

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伝説の雑誌編集長にして作家・末井昭氏の自伝を

「パビリオン山椒魚」(06年)「南瓜とマヨネーズ」(17年)などの

富永昌敬監督が映画化。

 

母親がダイナマイト心中(!)するという

衝撃的な体験をした彼の青春譚は

昭和のサブカルチャーの一大絵巻でもあり

 

卑猥で淫靡で、でもどこかあっけらかんとしたエロスが充満する

あの時代の雰囲気が満点。

 

わら半紙のような、ざらついた映像の質感もすごくいい。

 

ご本人を少しだけ存じあげているので、

演じる柄本佑氏のぬぼ~ん、とした様子が

ピッタリ合っていてびっくり(笑)。

 

妻役・前田敦子氏も

昭和の「いたいた」おばさんっぽさがうまい。

 

ほかも

愛人役の三浦透子氏

主人公の良きパイセンとなる峯田和伸氏、

バクハツな母を演じる尾野真千子氏

さらにすぐにアラーキー=荒木経惟氏がモデルとわかる

カメラマン役になんと菊地成孔氏が扮するなど

 

役者使いが絶妙で、引きこまれました。

 

登場人物たちがなぜか包帯やら絆創膏やら、

常に傷ついているのも何かのキーなんでしょうかね。

 

エンディングテーマ、

尾野真千子氏の歌声もよかった!

 

★3/17(土)から全国で公開。

「素敵なダイナマイトスキャンダル」公式サイト

コメント
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