共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

キーボードケース崩壊!

2015年06月30日 22時37分03秒 | 音楽
二宮町の教室に向かうべく、いつものように背中にKORGのミニピアノ入りのキーボードケース、左肩にヴァイオリンケース、そして右肩にショルダーバッグをナナメ掛けにして出かけました。

バスで座れたので、キーボードケースを背負ったまま本厚木駅までノホホンと移動しました。終点に到着して立ち上がったら、足元近くからビリッ!という鈍い音がしたので『へ?』と思ったら、次の瞬間キーボードケースの右肩部分が異様に軽くなって、左肩に一気に重さがのしかかってきたのです。

『おぉっ?!』とバランスを崩されそうになりながらも何とか体制を立て直してバスを降り、何事が起きたのかと背負っている荷物を近くにあったベンチに置いて調べてみました。そうしたら何と、2本で背負い子になっているキーボードケースのストラップの片方が、根元から千切れてしまっているではありませんか!

ガ━━(;゜Д゜)━━ン!!

ちょっと待ってぇ、これからまだまだ移動しなくちゃいけないし、あまつさえ帰りには御丁寧に雨の予報まで出てるのに…。

そうは言っても、壊れたからち言って単純に打ち捨てていくわけにもいかず、だからといってこういうところを縫い留めるような太い番手の糸と針が入手出来るはずもないので、しばし途方に暮れていました。しかし、それでも何とか駅までは運ぼうということで、持ち手の部分を両手で持ってエッチラオッチラ運び始めたのですが、何しろミニピアノ本体だけで5kgくらいある上にペダルやら譜面台やらが一緒に入っているので重いの何のって…〔≡_≡;〕。

何とか駅のホームまで辿り着いて、改めて損傷箇所を見てみました。出来れば面倒な修復作業をせずに何とか出来る方法は無いものか…そう思いながらしげしげと観察しているうちに、もしかしてこれなら『アレ』が使えるかも…と思って、とりあえず電車に乗って秦野駅に向かいました。そして改札を出たところにあるコンビニに入って『アレ』を入手し、バス停前のベンチでコソコソと作業に打ち込むことしばし…そして出来上がったのが、この安全ピンによる超応急処置です。

強度に若干の不安がありましたが、恐る恐る背負ってみたら意外とイケました\(^▽^)/。ということで、そこから先の移動は問題無く進み、予報通り帰りに雨が降ってきた時にも、傘をさす手はちゃんとありました。正に『物ぐさは発明の母』ですね。 (゜Д゜)ハァ?

そうは言っても、これはあくまでも応急処置に過ぎません。いずれは新しいケースを購入しなければならないのですが、何かと物要りな時に限ってこんなことになるなんて…と、己が身の間の悪さを鑑みずにはいられなかったのでありました(-_-;)。
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納得した…かしら?

2015年06月29日 23時45分36秒 | 日記
小田原の教室を終えて駅に戻って来たら、JR線の改札口の前で中国人観光客が大声でがなり立てていました。これから箱根辺りに移動するのかな…と思っていたら、その中の一人の青年が「スミマセン、写真オ願イシマス」とカメラ片手に近づいてきたので、受け取って2~3枚撮ってあげました。

と、こんなことは今までにも少なからずあることなので、その青年にカメラを返して立ち去ろうとしたら、その青年が天井の方を指差して「What is that?」と聞いてきたのです。何を指しているのか指先から天井方面を辿っていったら、改札口の上にぶら下がっている巨大な小田原提灯でした。私が「ランタンですよ」と言うと、それまでワーキャー言っていた一行が、一斉にピタッ…と黙ったのです。

『…へ?』と思っていたら、別の一人が「ランタンは丸いもの。あれは丸くない。」と言うので、「あれは《小田原提灯》といって、江戸時代のトラベラー用ランタンです。」と説明しました。最終的には納得してくれたようですが、何人かは今ひとつ不服そうでした。大丈夫だったかしら…?

因みに旅人に小田原提灯が好まれたのは、コンパクトに畳めることと、部材に南足柄の大雄山最乗寺(道了尊)寺域内の杉の木を使っているため、道中狐や狸に化かされずに済むという言い伝えもあったようです。ちょっと微笑ましい理由ですね。
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バッハ《2台のヴァイオリンのための協奏曲》について

2015年06月28日 20時25分20秒 | 音楽
今日は久しぶりに料理教室があったりしたのですが、昨日夜中までレコーディングに時間を使ってしまったので疲れてしまい、遅刻してしまいました。到着した時には既に皆さん実食中で、私の分は取っておいて下さっていたので、今日は食べただけで終わってしまいました(汗)。

その後帰宅したのですが、ただボ~…ッとしていると寝墜ちしてしまいそうなので、とりあえずこの時間に何かできることはないかと思って楽譜を物色していました。そうしたら、ちょうど一人の生徒が教則本に載っているバッハの《2台のヴァイオリンのための協奏曲》の第2ヴァイオリンに取りかかり始めたのを思い出しました。

およそこの国でヴァイオリン教室に通っておられる各位であれば、いずれ必ず通る道として存在している楽曲のひとつで、ポピュラーなところで言えばスズキ教本の4巻に第2ヴァイオリンが、5巻に第1ヴァイオリンの楽譜が載っています。現存するバッハのヴァイオリン協奏曲の中で最初に取り組む曲ではありますが、今までにいろんなコンサートや発表会でこの曲の演奏を聴いていて、よかったと思ったことが殆どありません。細かなミスは特に気にしないのですが、何といいますか、楽曲分析の仕方がどうも気に入らないのです。

Youtubeには様々な動画が掲載されているので御覧になってみて頂くといいのですが、海外の動画に比べて日本人の演奏している動画は大概イマイチです。というのも、当然のことながらこの曲は2人で出てきて演奏するわけですが、だいたいそれぞれが自分のやることに一生懸命過ぎてアンサンブルになっていないことが多く見受けられます。これは恐らく暗譜することに重きを置いてしまっていることも原因かと思いますが、指導講師がこの曲全体の構造をきちんと教えていないことにも起因しているのではないかと思われます。

それともう一つは、日本人の演奏ではどうしても1拍目が強く入ってしまうのでリズムの取り方がヨイトマケになってしまって、言葉を選ばずに言ってしまえばダサいのです。例えば第2ヴァイオリンの楽譜で言うと

ミファソレ、ド#ソ、ファ#ドー、シラソ…

というアクセントが聴こえることがよくあります。これは偏に『アウフタクト感の無さ』に起因しています。この辺りが西洋人と日本人との音楽の歌い方の決定的な違いでもあるのですが、意外とそれを感覚的に出来てしまっている講師からしてみると、指導していても

「う~ん、何か違うのよねぇ…」

というボンヤリした言葉しか出てこないことがあるようで、たまに私も「どう言えばいいのか」を相談されることがあります。これはほんのちょっとしたことでグッと解決に近づけるのですが、長くなるのでここでは省略します。詳細は個人的に御質問下さいませ。

ただ、解決のヒントになり得る動画を転載しておきました。ユーディ・メニューインとダヴィッド・オイストラフという20世紀の巨匠2名の競演によるライヴ映像です。彼らの『歌い方』が日本人のそれとどう違うのか、見比べて謎解きしてみては如何でしょうか。

David Oistrakh & Yehudi Menuhin "Double Concerto" Bach
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第2回レコーディング

2015年06月27日 23時50分26秒 | 音楽
今日は愛川町在住のシンガソングライター・みらいあいこさんのCDレコーディングのために、小田急相模原にあるライヴハウス《T☆ROCKS》に来ました。今回が2回目です。

今回はクリスマスソングを録音するということで、我が家のKORGのミニピアノでパイプオルガンとハープ、そしてエンディングにカリヨン(教会の鐘)の音を入れるという、なかなかの活躍ぶりをみせました(笑)。

今日は大部分を歌入れに使ってしまったので、楽器の出番はそのくらいでした。来週末にまた第3回があるのですが、その時の方が楽器隊が忙しいようです。それまでにアレンジを含めて完成度を上げておかないと…。
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《マグリット展》

2015年06月26日 21時38分26秒 | アート
今日は金曜日のあざみ野の教室が定休日だったので、以前から行きたかった《マグリット展》を観賞するために国立新美術館に足を運ぶことにしました。ベルギーの画家ルネ・マグリット(1898~1967)の日本での大規模な回顧展としては2002年以来、実に13年ぶりとなるものでした。以前には展示されなかった作品も多数来日しているとのことで、楽しみにしていました。

乃木坂駅から直結している国立新美術館のチケットセンターに向かうと、会期末とはいいながら平日だったことと天候も天候だっただけに殆ど人の姿はなく、会場にも並ばずスムーズに入場することができました。

マグリットが美術学校を卒業した頃には、画壇では既に未来派やキュビスムといったが芸術が台頭していた時代でした。当時の彼の作品にも、そうした芸術的動向が反映されています。またこの時期にマグリットは生活のために商業デザイナーの仕事を始めますが、その当時に作られたポスターや冊子の表紙絵等も展示されていました。

ジョルジョ・デ・キリコの作品に影響されて一気にシュルレアリスムに傾倒したマグリットは、妻のジョルジェットと共にパリに移住して提唱者アンドレ・ブルドンを始めとしたシュルレアリストのグループに参加しますが、この時期の作品から既にマグリット独自の不思議な世界観が垣間見え始めます。今回はその時期の代表作《恋人たち》を始めとした作品もなかなかの充実ぶりでした。

その後ブルドンと袂を分かったマグリットは、1930年に再び故郷のブリュッセルに戻って制作を続けました。ちょうどこの頃に、日常的なイメージの中に隠れた詩的な次元を明確化するという、独自の作品が登場します。個人的にはこの頃から後の作品が大好きなので、この辺りから嫌が応でもワクワクさせられます((o(^-^)o))。今回は《人間の条件》や《野の鍵》といったその頃を代表する作品が多数出展されていて、かなり見応えがありました。

やがて第二次世界大戦が勃発すると、直接的に戦禍を描くことこそ殆ど無かったものの、作風がガラッと明るく変わります。一般に『ルノアールの時代』と呼ばれる明るくて優しい画風は、恐怖や暗黒をもたらすナチスへのアンチテーゼと言われていますが、その頃の代表作《不思議の国のアリス》を観ているとちょっとわざとらしいくらいの明るい画面に、言いようのない違和感と謎めきを感じずにはいられません。

戦後の1947~48年までのほんの一時期、マグリットが自身で『ヴァージュ(雌牛)の時代』と呼んだ、やたらとけばけばしくも粗っぽい絵を描いたことがありました。これは当時のパリ画壇への皮肉を込めたものだったようですが、肝心のパリでは殆ど黙殺されたうえに、さすがの妻ジョルジェットにまで不評だったことで、割とあっという間にこの時代は終わります。その頃の作品も2点ありましたが、感想としては、そうだったのでしょうね( ̄_ ̄|||)…としか言いようがありませんでした。

50代を迎えたマグリットは、自分がかつて確立した1930年代の様式に回帰することとなりました。日常的なモティーフを用いながら、相互関係をずらしたり反転させたりすることによって生まれる矛盾に満ちた不条理の世界を描き出した作品が次々と発表されました。

今展では、《光の帝国 Ⅱ》や《ゴルコンダ》《大家族》《空の鳥》《白紙委任状》といった、円熟期から晩年にかけての傑作が多数出品されていました。特に《ゴルコンダ》は、本国ベルギーでの回顧展開催時には持ち主から出展を断られたにもかかわらず、どういうわけか今回の日本での回顧展には登場したという作品でした。こんな貴重な作品が観られるチャンスも滅多にないことですから、思う存分堪能してきました。特に《白紙委任状》や《大家族》が展示されたこの展覧会の最後の部屋を見た時には、内心『ここに泊まれる!』と思ったくらいです(止しなさい…)。

シュルレアリスムの巨匠として知られながらも、言葉やイメージ、時間と重力といった、日常の思考や行動を規定する枠を軽々と飛び越えてみせるマグリット独自の芸術世界は、その後のアートやデザインにも大きな影響を与えてきました。何の変哲もない日常に潜む神秘を現出させるマグリットの作品は、いつまで観ていても飽きません。ただ、それ故にか、今回の出展作には『個人蔵』であるものが多く見受けられました。となると、この回顧展を企画したキュレーターさんが、どれだけ苦労を重ねて開催に漕ぎつけたのかが、容易に想像することができます。それを日本に居ながらにして、これだけの数のマグリットの作品を堪能できるということは、実に有り難いことです。

6月29日(月)までと会期もありませんが、《ゴルコンダ》1点だけでも観に来る価値がありますから、興味のある方は是非お出かけになってみて下さい。(因みにこの《マグリット展》は7月11日(土)から10月12日(月・祝)まで、京都市美術館に巡回します。)
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リンゴ自販機 進化形

2015年06月25日 21時50分51秒 | 日記
今日は教室に向かう前に、銀座のヤマハ本店に立ち寄りました。

そのこと自体は別にどうということもないことだったのですが、地下鉄のコンコースにこんなものがありました。カットしたリンゴの自動販売機です。

この機械は、以前霞ヶ関駅でも見かけたことがありました。しかし、このリンゴ自販機はその時に見たものと違って、通常のカットリンゴの他に『メープル&シナモン』とか『はちみつ&キャラメル』といったようなトッピングが同封されたものが新たに登場していました。何だかエラく豪華になったものです。

まあしかし、この夏の盛りにリンゴが食べられるという不自然さに違和感を禁じ得ない身としては、シナモンが苦手なことを差し引いても、申し訳ないのですが『買ってみよう』という気にはなれませんでした。でも、イチゴのショートケーキが一年中食べられる現代にあっては、逐一そんなことを気にもしていられないのかも知れませんね…。
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豆腐屋のラッパに誘われて

2015年06月24日 23時01分37秒 | 日記
夕方から用事があって厚木の街中に来たら、どこからともなく「パ~、フ~…」という特徴的なラッパの音が響いてきました。

『へ?これってもしかして…』

と思って音のする方を辿って行ったら、やっぱり豆腐屋さんがいました。

私がまだ子供の頃には、いつも夕方になると豆腐屋のお兄ちゃんが郷愁感漂うラッパの音を響かせながら、大八車に豆腐や揚げを満載にして売りに来ていました。それを買いに行くのが私の役目で、母からお金と水を張ったボウルを渡されてから、お兄ちゃんが行ってしまわないうちに急いで路地に走っていかなければなりませんでした。何しろそこでしくじったら、晩のおかず一品と明朝の味噌汁の具が無くなってしまうので、責任重大だったのです((゜Д゜ll))。

もっとも、実はお兄ちゃんの方も私の足が遅いことを分かってくれていて、他のオバサン達と雑談しながらさりげなく待っていてくれたので、買いもらすということは、実際には全くありませんでした。いや、もしかしたら、今でも記憶に残っているくらい今風に言うところのイケメンのお兄ちゃんだったので、近所のオバサン達のアイドル的な存在でなかなか出発できなかったのかも知れませんが、真相は謎です。

それから世々経て、さすがに大八車ではなく軽トラで、ラッパも録音したものでしたが、それでも21世紀の御代になってもこうして近隣の主婦の強い味方として活躍している姿を見て、ちょっと嬉しくなったのでした。
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バロックハープの調べ

2015年06月23日 22時40分25秒 | 音楽
昨日のアンサンブル・コントラポントの記事を読んだという知り合いから「アルパ・ドッピアってどんな楽器なの?動画とか無い?」という問い合わせがありました。

そんなもん、自分でyoutubeのサイトで見つけりゃいいじゃんか…と思っていたのですが、いざいくつか開いて聴いてみたら、意外といろんな音色の動画があることが分かりました。なので、昨日自分で聴いたものと近い音色の動画を探してみました。

実際に探してみると、動画の中にはペルーやボリビアの民族楽器のアルパのように金属弦が張ってあるのかと思うような固い音色のものがあってちょっと驚きました。そんな中、ムファットのヴァイオリン・ソナタをバロック・ヴァイオリンとアルパ・ドッピアだけでデュエットしている動画があって、その音色が昨日聴いたものと一番近い感じがしたので転載してみました。

現代のヴァイオリンやハープほど張りの強くない、共にガット弦(羊腸弦)ならではの柔らかい響きを御堪能下さいませ。

Georg Muffat Sonata violino solo (1677) Re maggiore / D major / D-Dur
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モンテヴェルディ《聖母マリアの夕べの祈り》観賞記

2015年06月22日 23時25分48秒 | 音楽
今日は小田原の教室を休講にして、古楽アンサンブル・コントラポントの公演が行われる東京・目白の東京カテドラルに行きました。今日はここで、バロック時代初期にヴェネツィアで活躍した作曲家クラウディオ・モンテヴェルディの大作《聖母マリアの夕べの祈り》が演奏されました。

この《聖母マリアの夕べの祈り》という曲はバロック初期の名作として、渋谷や新宿のタワーレコードのようなクラシックCDが充実しているショップであればまず置いてあるというくらいに有名な作品です。ただし、そういったCDはモンテヴェルディが晩課のために作曲した楽曲を並べて『音楽作品』として収録したものが殆どです。しかし今日の公演はカトリックの晩課の典礼に沿って要所要所にグレゴリオ単旋律聖歌やアンティフォナを伴ったかたちで演奏されるということで非常に興味深く、楽しみにしていました。

山手線の目白駅からバスに乗って椿山荘に向かうと、道の反対側に都内三大不粋建造物のひとつである東京カテドラル聖マリア大聖堂があります。丹下健三によるコンクリート打ちっぱなしの巨大なグレーの塊の中に入ると、いつも鬱々とした気分になります(因みに私は個人的にコンクリート打ちっぱなしの建造物は完成品と見なしていませんし、こういう建物を作った輩は全員打ち首獄門に処すべきだと思っております)。

しかし、奇しくもこの不粋なコンクリの壁で囲まれた空間が約7秒間という、モンテヴェルディによってこの曲が演奏されたヴェネツィアのサン・マルコ聖堂のような長い残響を生み出します。今公演でも、その残響を効果的に利用したものということが話題になっていましたが、それだけ残響が長いと座る場所によっては全部の音がウワ~ン…と溶け過ぎてしまって、何が何やら分からなくなるという恐れがありました。

さてどうしたものか?…因みに今日は全席自由の公演でした。そこで、私なりに出した答えは『一番乗りして素晴らしい席をGETする』というものでした。それなら自分の皮膚感覚で、より好きな席に座れる確率が上がります。ということで、18:30開場にもかかわらず、何と15:30には現地に到着しておりました(笑)。

それからはもう、信徒さんが礼拝に来ようが関係者が様子を見に来ようが、ひたすら入口で『何か?』という顔をして先頭をキープし続けました。そして開場と共にプログラムを受け取って脇目もふらずに向かった先は一列目、しかも主祭壇と通奏低音の真ん前というベストポジションでしたV(^0^)。というのも、今公演は通奏低音郡が充実していることが事前に伝えられていたからです。

今回の通奏低音郡はオルガンとヴィオローネの他にテオルボが二台、そして非常に珍しいものとしてアルパ・ドッピア(トリプルハープ=バロックハープ)がありました。これは事前にフェイスブックで予告されていたので、絶対に至近距離で見て聞きたい!と思って実現させました。そのためなら3時間ただ立って待っているだけなんて…ハハ(^^;ゞ。

満員の観客の中で、現代のA=442Hzというチューニングピッチからしてみたら半音以上高いA=466Hzというピッチにチューニングされたポシティフオルガンによるアンティフォナが奏され、やがてモンテヴェルディ作品の冒頭に登場する『ドレミファソーソ、ファーファ、ミーミ、レーレ、ドー…』という特徴的な『紋章ファンファーレ』に乗せて楽曲がスタートすると、会場内は一気に荘厳な音空間に包まれました。

この曲は合唱だけでなく、独唱や重唱、コンチェルタート(器楽合奏)が効果的に配されていて、たとえ歌詞の意味が分からなかったり、この曲を知らなかったりしても飽きさせない要素が随所に盛り込まれています。特に面白いのが『エコー唱』というものです。これは特に独唱の時に行われるものですが、独唱者の歌った歌唱の語尾を、実際に離れたところにいるもう一人の歌手と伴奏者が、文字通り木霊のように歌いかけるというものです。

今回その部分はどうするのかな?と思っていたら、その曲の前に歌手一人とテオルボ奏者一人がスッと立ち上がって、主祭壇の30mほど奥にある控えの空間のようなところまで離れていって、そこからエコー唱をしていました。成る程これなら指揮者から見える範囲でエコーが出来ますし、終わったらすぐに元のポジションに戻って来られます。本体とエコーとの距離感もなかなかで、その効果を存分に発揮していました。

今回のアンサンブル・コントラポントの演奏は、徹底的に磨かれた歌唱のハーモニーと、伸びやかなコンチェルタートの演奏とが相俟って実に心地よく、素晴らしい演奏でした。あの建物の持つ7秒間という長い残響を味方につけるのは、想像以上に大変なことだったでしょう。しかし、その有り余る残響の中でも破綻することなく、終始緻密なアンサンブルを展開してくれていました。個人的に通奏低音、しかも特に撥弦楽器にスポットを当てて観賞しましたが、テオルボもアルパ・ドッピアもさすが日本の第一人者の方々の演奏だけあって、聞き応え十分の演奏会でした。お目当てのアルパ・ドッピアの音色は、張りの強い現代のハープとはまたひと味違ったガット弦ならではの繊細なもので、歌唱とのデュオも素敵でした。勿論、歌唱やヴァイオリン、ヴィオローネ、ツィンク(古典コルネット)、サックバット(古典トロンボーン)、オルガン、そして後半の《マニフィカート》の中のたった8小節だけのために登場したフルートとリコーダー郡Σ(゜Д゜)も、それぞれ素晴らしい演奏を繰り広げていて、あっという間の2時間(途中15分の休憩有り)でした。

今公演はライブ録音もされていて、後日発売されることが発表されました。ただ、前半の演奏中にカテドラルのスピーカーから原因不明のノイズが発生してしまい、それが収まらなかったことによってしばらく演奏の中断を余儀なくされてしまったことで客席の緊張感が切れてしまったのが大変残念でした。あれは完全にカテドラル側の落ち度ですが、あれがなかったらもっといい演奏会になっていたかも知れないし、ライブ録音としての価値ももっと高かったかも知れない…と思うと、それだけが悔やまれてなりません。

あのノイズはCD発売時にはどうにか消されるのか、それとも当該部分だけ後日録音し直されるのか分かりませんが、折角の貴重な演奏でしたから何等かのかたちで処理して、無事に発売に漕ぎつけてくれるといいなと思っております。

いずれにしても、こういった作品を日本カトリック総本山の大聖堂という場所で聞けたということは、大変貴重な体験となりました。また機会があれば、是非足を運んでみたいと思います。
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何でもアリ!のライブ

2015年06月21日 19時55分15秒 | 音楽
今日は愛川町在住のシンガソングライター、みらいあいこさんが出演するライブのサポートプレイで参加するために出かけました。

JR横浜線の成瀬駅から程近いところにある《喫茶イマジン》というカフェが今日の会場でした。ここには厚木の《ぎゃらりー喫茶なよたけ》同様にアップライトピアノがあるのですが、こちらではライブ参加者が気軽に演奏することが出来るように取り計らわれています。また会場内の各テーブルにはタンバリンや鈴といった鳴り物が置かれていて、興が乗った場合にはオーディエンスも参加できるような和やかな雰囲気のライブでした。

通常こういった場所でのライブだと、あいこさんと同じフォークソング系のジャンルの方が参加されることが殆どです。しかし、今回はそういった方の他にクラシックギターやクラシックピアノの方も混じっていらっしゃいました。特に写真のピアニストの方はどちらかと言うと近現代の作品がお好みの方だったようで、この時も突然スクリャービンの作品を演奏し始めて会場を圧倒していました。もう、ここまで来ると『何でもアリ!』といった感があります…(・・;)。

店内が完全分煙ではなかったのと、今日は参加者数は多かったので一人あたま3曲くらいしか出来なかったのとが残念でしたが、もっとゆっくりと演奏が出来る機会があれば、また来たいと思えた会場でした。
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ヴァイオリンケース判明化計画 第2弾

2015年06月20日 20時05分52秒 | 音楽
ヤフオクでbam社製のヴァイオリンとヴィオラのコンビケースを購入して、街中へ背負って歩くようになってからだいぶ経ちますが、未だに遠巻きに訝し気な面持ちでジロジロ見られることが絶えません。

そこで以前、革製のヴァイオリン型アクセサリーをケースに取りつけ『これでもう大丈夫!』と思っていたら、付けたその日にあざみ野駅で知らない女性に「トレブル・ガンバ(ソプラノ音域の小型ヴィオラ・ダ・ガンバ)ですか?」と聞かれてしまいました。もう大丈夫…などとと思っていた私の見通しは、まだまだ甘かったようです(詳細は6月5日の記事を御覧下さい)。

どうしたものか?…と考えてみた結果、この革製アクセサリーのデザインが抽象的過ぎるのではないかということに思い至りました。なので、いっそのことベタなヴァイオリンの形をしたアクセサリーを着ければいい…ということで、楽器店に立ち寄った折にいろいろと物色してみました。

そして今日、遂にこのヴァイオリン型ラバーストラップを発見しました。こんなにもベタなヴァイオリンの形のチャームというのも実はなかなか存在しませんので、見つけた時には即買いしていました。

第1弾の革製アクセサリーよりも一回り小さくなってしまいましたが、それでもこの形が『これでもか!!』と言わんばかりにケースの中身を主張してくれています。因みに上の輪っかの中のキュービックジルコニアはオリジナルではなく、私が個人的に我慢できずに付けてしまいました…。

さて、これで『この中にはヴァイオリンが入っているんですよ』という主張はバッチリ(v^-゜)…のはずですが、果たしてどうなりますやら…。
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今日の《cafe32゜F》

2015年06月19日 17時51分25秒 | グルメ
ここしばらく梅雨らしからぬ天気が続いていて、個人的に喜ばしい限りだった…のですが、それも束の間、今日は朝から嫌な濡れ方をしそうな雨に見舞われた一日となりました。

今日は久しぶりに何の支障もなくあざみ野の教室に到着することができました(っていうか、普段から何の支障もなく到着できることが当たり前なのですけれど…)。なので、今日は普通にランチを頂くことができました。今日は濃厚なソースのハヤシライスです。ちょっと肌寒い日和に、ほっこりと暖かくなれるメニューです。

今日は帰る頃までこんな雨降りが続いてしまうのでしょうが、荷物の多い私としてはかなり憂鬱です。はぁ、早く梅雨明けしないかしら…(-_-;)。
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gooアンバサダーの証

2015年06月18日 15時59分48秒 | 日記
昨日参加した《gooアンバサダーミーティング》では、会場でいろんなものを頂いた^^;のですが、その中で大事なものがありました。それがこのニックネームとブログタイトルとURLが印刷されたお名刺です。これがgooアンバサダーであることの証明にもなっています。

一緒に写っているのは、セットで頂いた名刺入れです。赤と黒と緑があった中で、ほぼ迷わず赤を選びました(笑)。ちょっと分かりにくいかも知れませんが、右下の隅にはgooのロゴが刻まれています。

昨日のアンバサダーミーティング内でも、それなりの人数の方と名刺交換をさせて頂きました。殆どの方が私よりも先輩で、こちらが恐縮してしまうような場面が多かったように思います。

ですが、不肖当ブログも先月で何とか4周年を迎えて5年目に突入しましたので、並み居るgooブロガーさん方の末席に座する者として御迷惑にならないように、内容が薄いなりに中身を精査しながら、日々更新に邁進しようと思いを新たにしたのでありました。
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第4回gooアンバサダーミーティング

2015年06月17日 23時52分52秒 | 日記
今日はいつもこのブログで利用しているgoo主催の《gooアンバサダーミーティング》に行きました。gooサイトでブログを書いているブロガーさんの中から希望者でgooアンバサダーというものを募って、更にその中から抽選で選ばれた30名ほどのブロガーさん達が集まって行われたものです。

この《gooアンバサダーミーティング》に参加を希望するにあたっては、事前に簡単なアンケートがありました。その中で『ブログを始めてよかったこと』という項目があったので、自分なりに簡単に応募フォームに書き込んで送信したら、後日goo事務局からミーティング参加当選のお知らせと共に、何とブロガーを代表して5分ほどの発表をお願いしますという要請までされてしまいました。

そんなに面白いことを書いた覚えは無かったのですが、折角チャンスを頂いたので、このブログが自分なりに意識を広げるきっかけになっているということをメインに発表させて頂きました。概ね好評だったようでホッとしています。

その後はgooスタッフによる『アクセスアップ講座』が開かれ、注目度を上げるためにどんな要素が必要かというレクチャーを30分ほど受けました。中にはとんでもないアクセス数を誇る猛者がいるようで、のんきに更新をし続けているだけの身としては、話を聞いていて唖然とするやら驚くやら…。中にはブログに載せた記事がきっかけになってテレビや雑誌等のメディアへの出演依頼があったりするらしいですから、この世界もなかなか奥が深いです。

私自身は、そんなにがっついて『何とかアクセス数を伸ばさなきゃ!』と鼻息荒くしているわけでもないのですが、今日教わったようなポイントに留意して更新してみようかな…とも思ったのでした。
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渾身の懇親会ケーキ

2015年06月17日 22時23分17秒 | 日記
全ての予定を終了してから、今日参加した日gooアンバサダーとgooスタッフとの懇親会が開催されました。時間的に軽いオードブルの他にビール等のアルコールも饗され、和やかなムードに花を添えていました。

中でも注目度の高かったのが、写真の《gooカップケーキ》です。スタッフさん手作りのシュガーアートによるgooの文字が燦然と光るケーキの登場に、会場から歓声が上がりました。勿論、味も美味しくて好評でした。

帰り際にはお土産まで頂いて、何だか申し訳ないくらいのおもてなしを受けました。これからも地道にコツコツとブログ書き込みを続けたいと思います。
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