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インランド・エンパイア / INLAND EMPIRE

2007-07-24 12:30:14 | 劇場&試写★6以上

 


デヴィッド・リンチの映画の魅力のひとつは不可解さ。不思議さ。と昨日書いたばかりですが。。。
早速観てきました♪
2002年に『マルホランド・ドライブ』が日本で上映されてから5年ぶりのリンチの新作ということで、
もうコレ、わたしの中で今年一番!と言っていいほど楽しみにしてた映画

リンチ節、炸裂
金太郎飴じゃないけど、
どこを切ってもリンチ映画!!

今までで観た映画の中で、いちばんわけわからない、不思議な映画!という印象を抱いたのが
やっぱりリンチの『イレイザーヘッド』(77年)だったのだけど、
その誕生から今年でちょうど30年
未だにこんな摩訶不思議な迷宮世界を造りだすとは!
リンチについて話し出すと長くなるのでさっそく本題。

この物語は、、、

ハリウッド女優ニッキー・グレース(ローラ・ダーン)は
未完のポーランド映画『47』のリメイク『暗い明日の空の上で』の主演で再起を狙う。
映画とリンクするように、私生活でも相手役デヴォン・バーグ(ジャスティン・セロー)と不倫をし、
現実と映画の区別がつかなくなっていき…。



南カリフォルニア州の地域名からタイトルをとったと言われる『インランド・エンパイア』
”内なる帝国”
ハリウッドを見下ろす山道を題名にした前作
 『マルホランド・ドライブ』と、ハリウッドの象徴を再び描いたという意味でも対となる作品。

最初から、謎のおばあさんが登場し(『ツイン・ピークス』のグレイス・サブリスキー)
女優ニッキーの豪邸に押し入って来て、何やら意味不明な予言をする。
そしてニッキーはその予言とおり、"明日の自分"をソファに見る。。。。


話は、フィルムをバラバラに切ってつなげたみたいな感じ。

時間の軸も曖昧ではっきりしない。だから、何がどうなってるのか誰がどこで繋がってるのか
観てる最初のうちは全然わからないから ???のまま見続ける。。。
あてのない迷宮を彷徨うみたいに、手探りで魅入って行く。

今回、やたらとアップで撮っていて、最初は何だかドキュメンタリーを観てる感覚になる。
と思ったら、DVカムコーダーSONY PD-150(家庭用モデルの業務用後継機)というものを使って撮ってたせいらしい。



←こんな感じ。

前作『マルホランド・ドライブ』よりも更に難し気に感じるのは
構造自体が複雑になっているせい。『マルホ』では夢と現実の二重構造だったのに対し、
これときたら


1.女優ニッキーの世界
2.映画の中で展開する映画、『暗い明日の空の上で』の世界
3.冒頭の泣き女、の世界
4.映画の中の映画オリジナルで未完成『47』のポーランドの世界
5.そして、謎のウサギ人間の世界(部屋)


という5つの世界を行ったり来たり、ワープしたりするから、観てる側が混乱していくのはあたり前。
映画の中のシーンなのか、はたまた現実のシーンなのか混同していく。。。



ナオミ・ワッツはこのウサギ人間の内の一人(一匹?)の声を担当。
主演で、プロデューサーも務めたローラ・ダーンはリンチ作品では『ブルーベルベット』、『ワイルド・アット・ハート』も出演。
今回は華のある綺麗さとはちょっとほど遠くて、ビジュアル的美しさは欠けてしまったけど
演技はもちろん完璧。この人と一緒に、リンチワールドに入り込んで彷徨ってしまうわたしたち。



映画内のリメイク映画の監督役には、懐かしのジェレミー・アイアンズ。
(あ、『エラゴン』にも出てたか)



『マルホ』では監督役してたジャスティン・セロー、今回は男優。
この人、『チャーリーズエンジェル/フルスロットル』でドリューの恋人役とか、
『ズーランダー』とか『ロミー&ミッシェルの場合』とか『Sex and the City』ゲストとか、
わたしの好きな映画に沢山出てて個人的にすっごく気になるヒト。
みてるうちにだんだんカッコいいと思えてきちゃった



他にも、ハリー・ディーン・スタントン、
ウィリアム・H・メイシー(ワンシーンのみ)、ジュリア・オーモンド、
マリー・スティンバーゲン、ダイアン・ラッド…と豪華なキャスティング。
それと、元リンチの恋人ナターシャ・キンスキーもカメオ出演。
『硫黄島の手紙』にも出てたし、いつの間にかハリウッド進出してた裕木奈江も
ホームレスで登場。(でもホ-ムレスにみえない)

今回もサウンドトラックも買い♪
観てる時は気づかなかったけど、ベックの「ブラックタンバリン」や
なんと「ロコモーション」なんて使われてたり、リンチ映画とはミスマッチ風なのをあえて
選曲してるセンスがさすが!

エンドクレジットがまた意外なしめ方で、最後の最後まで目いっぱい楽しませてくれちゃう。
『マルホ』で妖艶な美しさで魅せたローラ・ハリングもここでチラリ。
ちょっとなのにもの凄い存在感!
もっと観たかったな~!
このシーンではローラ・ダーンの現在の夫、ベン・ハーパーがノー・クレジットでピアノ弾き役。

3時間もあるとレビューもちょっと長くなるな

migの解釈ネタバレ

観てるときはこの女優が、実はただの娼婦で女優の世界を夢見てたっていう感じかなって思ってたけど、ラストまで観るとやっぱり謎なのが最初に泣きながらTVを観ていた少女。
時折、リンクして絡み合う。同じセリフが出て来たり、デジャブみたいな映像は相変わらず妄想なのかなと思わせる。
謎の文字が書かれた扉は過去の自分と会う入り口、、、。
観終えてよくよく整理して考えてみると、泣いてる少女はラストでニッキーと抱き合い、
嬉しそうな満足げな笑みを見せるとニッキーはかき消される。
ということからニッキーは実は幻、、、、ということは『47』という映画で
最初に殺されたこの泣いてる少女が生み出した架空の人物、、、、。
でも少女はもう既に死んでいて、、、。
どんどんこんがらがっていく、リンチが仕掛けた出口のない迷路、まさにインランドエンパイアという迷宮を彷徨って出てこられなくなるかと思った。
こんなにひとつの映画の世界に引き込まれるなんてそうそうあることじゃないし、
この世界観はやっぱりスゴい!!
もう一度観たい♪♪
謎を解明する為にっていうよりも、もう一度あの世界に浸りたい♪







9/10


期待は裏切られなかった♪
観る前にわくわくしたのは久しぶり
3時間もあると聞いてたから、退屈しないかが怖かったけどそんなの全く気にならず、3時間のめり込んでしまった。
ある意味、不気味で下手なホラーよりも怖い。
どこか見落としちゃうとすぐについていけなくなりそうだから
観ながら、誰とどこがどうつながってるのか考えてみてた。
美しさという意味ではローラ・ダーンはあんまり、、、な感じだし
前作『マルホラン・ドライブ』の方が好きだけど、
今回もリンチの不思議ワールドに、まんまとハマってしまいました
でも今までよりも人には自信持っておすすめられる感じではないかな。
より複雑になってるので、この世界を気に入らないとダメだし非常に好みに分かれる映画。
リンチフリークじゃなくても、不思議な世界を体験したい方、ぜひ♪




  公式サイト
INLAND EMPIRE    2006年   アメリカ  180min
監督/脚本/編集/制作 デヴィッド・リンチ
7月21日より公開中~


2006年ベネチア映画祭 栄誉金獅子賞受賞
2007年全米映画批評家協会賞 実験的作品賞受賞





『マルホランド・ドライブ』レビュー

異空間、異世界に浸りたまへ。




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