ロマン・ポランスキー監督×マチュー・アマルリック。
ポランスキー監督作はこれまでのも好きなものが多いので期待でした~
しかし、テーマは「マゾ」
個人的にはそこんとこ、SにもMにもべつに興味ないんだけど。笑
アメリカの劇作家デヴィッド・アイヴスの同名戯曲が原作でブロードウェイで大ヒットした二人芝居で
レオポルド・フォン・ザッヘル・マゾッホの小説『毛皮を着たヴィーナス』に基づき映画化。
↑ ポランスキー ↑妻、セニエ ↑マチュー
オーディションに2時間も遅れて来た女優、役名と同じ名前を持つワンダに
実生活ではポランスキーの妻でもあるエマニュエル・セニエ。
演出家で、オーディションで相手役をするハメになるトマに
マチュー・アマルリック。
二人は以前「潜水服は蝶の夢を見る」で共演済みで息ぴったり。
オーディションに遅刻してきた無名の女優ワンダと、自信家で傲慢な演出家のトマ。
がさつで厚かましく、知性のかけらもないワンダは強引にオーディションをしてほしいと言い、
勝手に衣装に着替え始める。
恋人との約束のあるトマは渋々彼女の演技に付き合うことになるが
実際、演技が始まると、嘘のように役を理解しワンダになりきりセリフは完璧。
あっけにとられながらも相手役に没頭していくこととなる。
ポランスキー作品の中では「おとなのけんか」に続く(あちらも舞台劇の映画化)密室劇。
マゾという言葉を産んだのが、このマゾッホという作家。
6/10(68点)
ちょこっとネタバレ
二人の会話のやり取りは、劇中劇の中ではそのワンダに服従する男とワンダとのやりとりで
さしてわたしは興味も惹かれず、劇中劇自体に面白味を感じなかったけど
女優を選ぶ立場にある、演出家と
無名の女優、という立場がころころと逆転しつつ、その抗えないような不思議な魅力に陶酔していくマチューさんが
面白おかしくて惹き付けられる。
個人的に、今回のマチュー、さらっと落とした前髪あって素敵だし
相変わらずの目力
途中から、トマが恋人と電話でのやり取りをしてるなか、
ワンダも誰かと電話をしてる。それがワンダの恋人=相棒だと勝手に思ってたトマだけど
二度目の電話の時に 実は電話してるふりなんだろう?と言う。
それに対して「誰が男だと言った?」とワンダ。
トマの恋人とジムで知り合い、トマのことを調べてくれと頼まれたんだという。
そして二人が役に没頭していく度、ワンダのバッグからは
必要である男物の仕立てのいい、ヴィンテージのジャケットや、
イメージ通りの黒革のロングブーツなどがちょうど出てくる
そういえば最初から、オーディションに名前はないのに
持ってるはずのない台本もなぜか持ってた。
適当で無知にも見えるワンダなのだけど、照明なども完璧に当てるし
演出にアドバイスまでいれてくる。
このワンダという女はいったい何者なんだろう?という興味でも引っ張られる。
ラストの方では、傲慢で自信家、まるでそれまで無意識でも女を侮辱していたかのようなトマを
神が罰するかのように、神々しくも見えるワンダがトマの周りを毛皮に裸で笑いながら踊りまわる。
ここのシーンでのワンダが最高に妖しく面白踊り、個人的にかなりツボ、素敵でした
アレクサンドル・デスプラの音楽も、やっぱり効いてる。
『毛皮のヴィーナス』予告編
マゾッホの小説『毛皮を着たヴィーナス』を基にした舞台のオーディションが不首尾に終わり、スタッフも引き払ったオーディション会場で一人苛立ちを募らせ る舞台演出家のトマ。そこに飛び込んできたのはワンダと名乗る無名女優。オーディションはとっくに終わっており、追い返そうとするトマだったが、ワンダは 厚かましくも食い下がり、いつの間にか舞台衣装に着替えてしまう。そんなワンダの強引さに押し切られ、渋々ながらもオーディションを始め、相手役となって 彼女の演技に付き合ってあげるトマだったが…。
La Venus a la fourrure 2013年 フランス 96min
12月20日より、公開中~
カンヌ国際映画祭にて
こういうときも刺激的な(格好)ポランスキー妻。