イギリス/ストックポート日報 《England/ Daily Stockport》

イギリス北西部の歴史ある街、ストックポート Stockportから(ほぼ)日替わりでお送りする、イギリス生活のあれこれ。

モデル撮影の背景としても絵になるらしい名物骨董市で見つけた気になる品々

2024年02月18日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺

ペア・ミル Pear Mill の、Stockport Vintage Emporium という「お手頃骨董市場」にまた行ってきました。

 

ペア・ミルの人目を惹くランドマーク、巨大な洋ナシ型キューポラのてっぺんがが建物の向こうにちょこっとだけ見えています。

青空を背景に陽の光を反射する銀色の洋ナシのシュールな造形を向こう側に行ってちゃんと見たいという要望は、寒いからすぐに屋内に入りたいという夫に却下されました。

 

ペア・ミルについて書いた連日の記事2本のリンクです。☟

ナシのキューポラのある町、栄光の歴史の最後を飾るお茶目建築、今は人気の商業施設

ナシのキューポラのある名物ミル建築に見る古い建物の利用法

 

煙突塔の四すみにちょこんちょこんと鎮座する、こだわりの洋ナシ装飾です。

 

ガラス製の「ケーキ・ドーム」を買いたかったのです。

ペア・ミルの名物ティー・ルーム The Tea Room のカウンターで英国伝統のケーキの数々をディスプレイしている、ちょうどこんなケーキ・ドームをさがしていたのですが...

 

ちなみに...(話がそれます)

私たちとほぼ同じペースで店内をまわっていた、若い中国人女性が2人いました(上の写真)。2人の目的は買い物ではなく、写真撮影。

パンデミック後、中国人観光客の数が少しずつですが、また増えてきているようですね。

売り物の骨董/ガラクタや、ヴィンテージ・ファッションには全く興味がないらしく、本格的なカメラを持った女性が連れの女性の写真をひっきりなしに撮り続けていました。(カメラを持っていない女性もスマートフォンはあるでしょうに、自分が撮る側にまわらないのかと...余計なお世話ですが...気になりました)

この2人は私たちとやはり同じ時にティールームに来て、何も注文せずに写真撮影を続けました。立ち去った客が使った、片付けられていないテーブルに座って、置いてある汚れたティーカップを手に「ティータイム」ポーズの写真をたくさん撮っていました。別に誰にも迷惑は掛かっていないので、余計なお世話なのですが...ちょっとハズカシイですね。

 

私が注文した軽食の、ポークパイです。

 

概して言えば...英国や欧州で見かける中国人観光客は、日本に大挙して押しかける団体旅行の中国人よりもずーっとずっとスマートです。「爆買い」を目撃したことはありますが、大声で話したり、割り込み、ポイ捨てを見かけたことは皆無です。英国に来る彼らの多くは英語を流ちょうに話せるようですし。(この人たちも私と通路を譲り合い、にこやかに Thank you という礼儀正しい人たちでした)

ただ...同行の人の写真を撮りまくっている人が異様に多いのが...異文化ですよね。

 

パンデミック前には、男女問わずプロのモデルのようなポーズを次々とかえて写真撮影する中国人観光客をいろいろな場所で見ています。日本の若い女性はわざとヘンな顔やピースサインやテレかくしのおどけたポーズで写真に撮られる人が多いのに対して、中国人の若い女性は観光先で「ー写入魂」の美人写真に挑む様子が...興味深いです。

 

で、ケーキ・ドームですが、ひとつだけ見つけたのがこれ。

ドームにのっかっている牡鹿の頭がジャマです。でもなぜ、シカ?貴族の狩猟パーティの際にヴェニスン(シカ肉)のパテでもデイスプレイするためだったりして...?

買えるのなら、中古品が環境のためにも望ましいのですが...!オンラインショッピングサイトで買うしかないでしょう。(いくつかもう見つけています)

 

私たちは、本格的な骨董品 antique ではなく、英語で「collectible」と言われることが多い「好きな人には価値がある、よってガラクタ brick-a-brac ではない」ランクの古道具/中古品をみて回るのが大好きです。

ただし、モノをふやさないように気をつけているため、めったに買うことはありません。

そのかわり、気になったものをいくつか写真に撮って帰りました。

 

中国の指圧のツボを示す、人体モデル。

肉体美の、顔が端正な東洋人でした。

 

日本の中学校の制服のセーラー服が25ポンド(4731円)で売られていました!

「金子美穂」さんが着用した「川越東中学校」の制服です。胸ポケットに名札が縫い付けられているなんて、ずいぶん昔の...それこそ私が日本の中学校に通っていた頃(50年近く前)のものだったりして。

これと同じタイプ(濃紺セージのセーラー服)の日本の制服が他に5着売られていました。

興味をひかれたティーポット、サーモス、コーヒーポットのコレクションです。

 

 

紅茶の消費量が莫大なここ英国でも、ティーポットで紅茶を入れる人はごくわずかなはずですが、紅茶へのこだわりがある夫は古いタイプのティーポットを愛用しています。

 

「買いたい」言ったら夫に激しく拒絶された、古いガーデン・ノームです。

赤いとんがり帽子にグリーン系のジャケットを着たどぎつい色合いのものが多い、白髭の庭のお守り妖精です。

私が気に入った、他では見ないこの謎の「お口ポカン」の表情が夫の憎悪の的でした。

 

1980年代ごろまで出回っていたウシの絵と牛乳会社名の入った牛乳瓶を集めている人はとても多いと聞きました。

へたっぴなウシの絵がかわいい!12ポンド(2271円)だったかな、5ポンドぐらいなら買ったのですが。

私の家でも15年ほど前まで、牛乳配達を利用していました。やめた頃、担当の牛乳屋さんが引退しました。その後この地区を引き継いだ担当者はいません。

現在、利用する家庭は激減です。スーパーマーケットで大きなサイズを、あるいはコンビニエンス・ストアで必要な時に必要な分だけ買った方がお得で便利ですから。

昔ながらの牛乳配達、高齢世帯の多い地域ではまだ細々と営業しているはずです。

空のビンはドアの外に置いておくと回収される、牛乳会社の所有物なので取っておく人は少なかったはず。ゴミを出さない環境に良いシステムですよね。

 

ずっしりと重い鉄製のくるみ割りイヌ。

顎が外れたナサケナイ表情が気に入りました。

 

夫が見せてくれた、タマゴを集める金網のカゴです。

持ち手を持つと提灯のようにのびてソロバン珠のような形になります。戦前戦後に英国の田舎でよく見かけた、夫にとっては懐かしい品だそうです。

 

買ったモノはひとつだけ。

19世紀末の英国製、大量生産のちょっと見は「デルフト焼き」風ディナー・プレート、4ポンド99ペンス(944円)はお得です。以来1週間、毎日私が使っています。

夫は骨製の柄のついた古いバターナイフをさがしたのですが、1本だけで買えるものは見つかりませんでした。英国では現在バターナイフを使う家庭は少ないはずです。どこの家でもバターやジャムを塗るのにディナー用のナイフを使いますから。

 

ティールームと...

 

...ポークパイのなかみの写真です。

 

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ストックポートも例外ではない、シャッターの下りた店舗が目立つ商店街の衰退ぶり

2023年10月11日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺

娘がインターネットゲーム大会で優勝、「5ドルの(ミルク)シェーク Five Doller Shake」の副勝を獲得しました。

どこかでシェークを飲んで、証拠写真を配信すれば5米ドル(743円)受け取ることになっているそうです。

ストックポートのタウンセンターに比較的あたらしくオープンしたという、ジュース・タイム・バーという楽しい名前のソフトドリンク専門店に行くと言うので、私もお相伴でついていきました。

インターネット情報では営業時間中のはずでした。ストックポート日報 に何回も登場する景気の悪いシャッター通り、プリンセス・ストリート Princes Street の中ほどにあるはずです。あらら、閉まってる。

お店がつぶれちゃったみたいですね。楽しみにしていたのに残念です。

そして、びっくり。隣の、うちの子供たちが小さかったころのお気に入りのゲームショップ、その名もゲーム Game もまた閉店間近というはり紙です。

 

店内のさま変わりにもびっくり。

男の子向きの「おもちゃ屋」になっていました。もともとの主力商品コンピューター「ゲーム」の売り場は、全体の1割程度に縮小。

「ゲーム」を買う人は、現在あまりいないのでしょう。コンピューターやスマートフォンにダウンロードした方が手っ取り早いですものね。

「ゲーム」は、昨日27歳になった息子が子供の頃から働き始めるあたりまでが最盛だったのでは?みんなゲームボーイを持っていましたし、プレゼントの定番が「ゲーム」でした。息子は「X ボックス」を働いて自分で買ったはずです。

6歳年下の、男の子だった娘に「ゲーム」を買ってやった時期は短かったような?小学校高学年の頃にはもう有料ダウンロードが主流でしたから...

娘は現在インターネットコミュニティで夢中になっている空想ファンタジーゲーム、ダンジョンズ&ドラゴンズのモノポリーゲームを半額で買いました。

スペインにいる息子に写真を送って思い出を語らせました。

…余談ですが、今年日本に帰国した時に、公園や電車でゲームボーイやニンテンドー・スイッチなどのゲーム機器で遊ぶ子供たちをけっこうひんぱんに見かけてビックリしました。まだ小学生でスマートフォンを持たせてもらえない年齢なんでしょうね。ここ、英国では外出先でゲームをしている子供を(ゲーム・ボーイが廃れて以来)見たことが全くないものですから。

 

さて、目当てのミルクシェークの話です。

クリームス・ジェラートー・コォという知る人ぞ知る、人気のアイスクリーム屋があります(上の写真)いえ、ありました。

ミルクシェークの名物店です。

アメリカのダイナーのようなレトロな、しかも黒が基調の若い人たちの間では評判のおしゃれな内装で知られていました。セコンドリー・スクール(中学・高校)に通う女子生徒の間では彼氏ができたら行く「少年少女のデート御用達店」だったそうです(娘談)。

てっきり私はここへ行くものだと思っていましたが、そんないわれのある名物店に母親と二人で行くのは娘のプライドが許さず、断固拒否、同じ通りにあるジュース・バーをインターネット情報で見つけていくつもりでした。

ジュースバーが閉まっているなら仕方がない。学校時代の友達が見ていないことを願って私といっしょにクリームスに入るつもりになった娘ですが...

どひゃー、ここも閉まっている!ガラス扉にひびが入っています。

永久閉店です。

シャッターもなく、「長年のご愛顧ありがとうございます。この度...」と言った案内文ももちろんなく、営業時間を書いたはり紙や、ミルクシェークのポスターなどが貼ってあり、まるで臨時休業しているかのようですが、ガラス越しにのぞき込んでみたら中の荒みきった様子がまるわかりです。

「しかたないから、マクドナルドでマック・シェークを飲もうか」という味気ない提案は却下されました。暇を見て、わざわざマンチェスターまでシェークを飲みに行くそうです。私が付き合うかどうかは未定です。

 

プリンセス・ストリートの不景気さとショボさをお伝えします。

クリームスの右となりの保証人不要の金融ショップ、身もふたもない名の the Money Shop も、左となりの家具屋も閉店しています。

かけ事代行店 betting shop の老舗、William Hill も閉店です。

その向かいは閉店後久しい、全国展開の老舗デパートのブリティッシュ・ホーム・ストア Bhs のストックポート支店でした。(入り口は反対側の通り、マージー・ウェイMwersey Way にあります。

この先、ロンドンとイングランド北限の町、カーライルを結ぶ国道A6にぶつかる角には人気のデパート、デべナムスがありました。

デべナムスは、ロックダウンを持ちこたえて2021年に閉店したストックポート最後のデパートです。デパートの衰退事情について書いた少し前の記事のリンクです☟

なくてはならないショッピングエリアの顔、デパートの栄枯盛衰

この通りは、もとから1ポンド均一店、キャッシュ・ジェネレーター(電子機器やブランド品などを買い取ってくれる店)、チャリティ・ショップ(慈善事業の基金にする寄付された不用品を売る店)、テイカウェイ(持ち帰り食品)専門店、ゲーム・アーケード(ゲームセンター)、かけ事代行店など、庶民的な需要を満たすビジネスでけっこう繁盛する商店街だったのです。3軒のデパートのうらがわ出入り口が面していましたし。

 

角の大きなチャリティショップと、その隣のスマートフォンの修理屋も店じまいして長くたちます。

町の小売店が以前のようにやっていくのは本当に難しそうです。

 

店舗の維持費や人件費が抑えられるオンラインショップで、豊富な種類から選べてなんでも安く買えるのですから「商品を手に取って、店員さんと言葉を交わして」買いものをすることにこだわる人が少なくなっているのも仕方ないのでしょう。

この通りの衰退の決定打は、いずれも表通りのマージー・ウェイ(前述)に入り口のある3軒のデパートが閉店した時から始まったように思います。

買い物客が町に出てこなくなれば、飲食店も影響を受けます。パンデミックを生き抜いたクリームスがいつのまにか閉店していたのにはちょっとショックです。

私が2年お手伝いしていた、チャリティショップ、オックスファム Oxfam ストックポート店 も、ロックダウンと同時に永久閉店しました。それ以前に2軒が別の場所に移動しています。

この通りで、雨後のタケノコのようにニョキニョキと増えているのは、ネイル・スタジオです。オンラインと競走することなくマイペースで需要をのばしている事業だそうです。なぜか経営者や技術者のほとんどすべては中国系の女性です。

この件に関しては、いずれ改めて書くつもりです。

 

シャッターの下りた店舗に囲まれた全国展開のチェーン事務用品店、ライマン Ryman は私の20年来の行きつけの店です。

上部に残った1930年代のファサードが美しい外観です。

ボロッちい空き家を一軒置いてとなりは...

第二級保存指定建築、1920年代に創業して、30年代から、50年代の内装が完璧に残る町のパブ、Swan with Two Necks です。

向かいが、ストックポートから撤退したデパート、エメネス(M&S、旧マークス&スペンサー)の空きビルです。

 

エメネスの空きビルは、最近改装が終了。

1930年代、アールデコ様式の外観を残して、内部を徹底改装、ストック Stock という商業ビルとして開業待ちです。テナント募集の告知が出ていますがはたして店舗スペースが埋まるのでしょうか。

 

これは、「ストック」を表側のマージー・ウェイから撮った写真です。

 

ストック」のとなりは、20 年近く前ストックポートで最初に閉店した、デパート、ウールワースだったやはり1930年代の建物です。

天気が良かった先週末の写真です。表通りは工事中にもかかわらずそれなりの人通りなのに...

この裏のプリンセス・ストリートの閑古鳥のなく衰退ぶりと言ったら...ジュースバーとアイスクリーム屋がつぶれるのも無理はないかもしれません。

プリンセス・ストリートの反対側を平行に走る通りは...

...2018年に、「連合王国で一番みっともない建築物」に授与される栄えあるカーバンクル杯を獲得した恥辱のレジャーセンター、レッドロック Redrock のある通りです。モダンで整った見栄えのする景観なのに、週末なのに(!)ガラッガラ。

カーバンクル杯について書いた、2018年の記事のリンクです☟

輝く栄冠!建築大賞を獲得した連合王国で一番見苦しい建築物がストックポートにあり!!!

一階、のレストランスペースは半分以上空き家です。

 

景気の悪いプリンセス・ストリート(右側)から、レッドロック(左側)に通じる小さな広場に面した角の建物に若いイタリア人のカップルが経営するカフェが最近オープンしました。

夏の終わりに、友人に連れられて入ってみました。コーヒーも自家製のイタリア菓子もとてもおいしく、お値段も手ごろでした。この日、通りがかりにのぞいてみたら、かなり繁盛していました。

ストックポートに限らず、空き店舗の多いエリアを有する町では、新しく店やカフェなどをオープンしたい新規の事業主に自治体が手厚い援助をしているようです。開店後1年間は家賃を払わなくてよい等の措置にひかれて次々と新しい店がオープンしています。

ただ、支援の期間が過ぎてからも正規の家賃を払い続けて同じ場所で経営を続けられるほど成功する店はあまりない...ということです。

イタリア人のカフェ、がんばってほしい!

 

 

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カエルの話から脱線、今日は何の日終戦の日!

2023年09月02日 07時00分00秒 | ストックポートとその周辺

ストックポートのトレイル・イベント、カエル探し再び。夏休みはもう終わりですが、このイベントは月末まで続きます。

(懐かしい!)i ポッドを発明したApple Inc の偉業をたたえる、作品番号1番、DJ

耳の穴のないカエルがイヤフォンで音楽を聴いています。

 

 

国道A6沿いの、市庁舎とならぶ小さな広場に設置されているDJ, 国旗と戦没者に捧げる赤いポピーのリースで飾られたとなりの奇妙な銅像は...

 

(別の日に撮りました、上の写真の国旗がなくなっています)第二次世界大戦の末期にカヌーを漕ぎだし決死の行為で友軍を救った、地元ストックポート出身の海兵隊員だそうです。

あ、この人はぶじ復員したそうです。10年ほど前に高齢で亡くなりました。地元にいたこんなにすごい人!の名誉を記憶するための英雄像です。

国家に命を捧げた戦没兵士すべてを讃えるこの銅像があるこの場所は、戦没兵士への感謝の祈りと黙とうを捧げる厳粛な場所だそうです。

...そのわりには、カエルと記念写真を撮る親子をしょっちゅう見かけますし、この日は奥の芝生でお腹と背中をそれぞれむき出しにして日光浴する若いカップルが寝転がっていたりで...あまり厳粛な雰囲気ではありません。

この場所が厳粛なはずなのは...

(ああ、木がこんもり茂っていて見えない!)国道A6をはさんだ向かいに...

古代ギリシャ神殿風の立派な戦没者祈念廟、ストックポート戦争記念美術館 Stockport War Memorial Art Gallery があるからです。

第一次大戦後の1925年に建造されたギリシャ復興様式、第二特級保存指定建築 Grade II* listed building です!

左の柱には1914-1918と第一次大戦の、右の柱には 1939-1945 と第二次世界大戦の始まりと終わりの年号がそれぞれ刻み付けられています。

入ってすぐのフォイエ(入り口ホール)の右と左に美術館の展示室がひとつずつあります。

奥にあるのが、この War Memorial (戦没者慰霊廟)です。

英国の守護女神、ブリタニアに勝利の象徴、月桂冠を授けられる戦没兵士のドラマチックな大理石像。その周りには両大戦で戦死したストックポートの出征兵士すべての指名が刻まれています。

ところで、話変わって...今日9月2日は何の日でしょう。

第二次世界大戦終結の日です。

え、終戦の日って8月15日じゃないの、と思われたでしょう?

8月15日は日本がポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を受け入れた日(8月14日)の翌日で、国民が天皇のラジオ放送によって終戦を知らされた日です。日本人にとって印象深い日なんですよね。なぜか英国もこの日を「第二次世界大戦終結の日」としています。

V-J Day (Victory over Japan Day 日本に勝利した日)と、うかれた名前がついています「日本降伏の日 Japanese Surrender Day」ともいうそうです。と言っても、英国にはこの日を知っている人はほとんど全くいないのが実情です...たとえ聞かされても日付はすぐに忘れます。

ちなみに、今、ウィッキぺーディアで調べてみました...8月15日を終戦日とする国は、日本、英国の他に、韓国と北朝鮮だけだそうです。

 

9月2日は日本が正式に降伏文書に調印した日で、連合国代表として米戦艦ミズーリ号の甲板での調印式に出席したアメリカ合衆国はじめ、オーストラリア、カナダ、ヨーロッパの主要国もこの日を終戦の日ということにしています。

ソ連(ロシア)と台湾、中国はその翌日に凱旋パレードをやったことから9月3日を終戦日としているそうです。

英国では、ドイツの降伏を記念する5月8日の V-E Day ( Victry in Europa Day ヨーロッパ戦勝日 )のほうがずーっと知名度も重要度もうかれ度も高いですね。国民が祝祭ムードを楽しむべき日です。

他のドイツと戦ったヨーロッパの国々も「日本の敗戦日=事実上の大戦終了時」にはあまり関心がないのではないでしょうか。

10年ごとの節目などに8月5日の「V-J デイ」の記念式典のようすがテレビで放送されますが、出席しているのは日本軍の強制収容所や労働キャンプで虐待されて、この日に開放された経験をもつ高齢の復員兵で...陰惨な体験談ばかり聞かされるちっとも浮かれていない記念日なのです。

「英国にとって何の日でもない9月2日は、もう一つの終戦日」だということは、戦争記念美術館の職員2人にすら知られていませんでした!

知り合いが受付スタッフとして働いているので、「パンデミック後の無事の再会」を今さらですが喜び合ってちょっとおしゃべりをしました。

戦争記念美術館の2階展示場に上がる踊り場の壁両面に、第一次大戦で戦死した兵士たちの英雄的犠牲を讃えるタペストリーがかかっていました。

 

戦友の墓に黙とうを捧げる兵士のシルエット、ドイツ軍のマスタードガスで失明した兵士たちが列を作って堤防の上を歩くシーンなど、英国人なら知らぬ人はいないほど有名な第一次大戦を描いたアイコニックな絵画のコラージュです。

2大戦とも戦勝した英国の、.敗戦国日本では考えられないヒロイズム、センチメンタリズム...それとは対照的な V-Eデイの浮かれぶり....お分かりいただけるでしょうか。

この踊り場からは慰霊廟が見下ろせます。

奥の曲面の壁に刻まれた「自らの命を我らの自由と幸福に捧げた彼らの名前をとこしえに忘れまじ」の文字が目に入ります。「わかった」と言うしかありません。

戦没兵士の目線の先には明るい光が差し込むギリシャ文様(ラーメンどんぶり模様)に囲まれた丸い天窓があります...天国の表現でしょうか。これでもか、と言うような感傷表現ですね。

11月11日のレッド・ポピー・デイ Red Poppy Day には国家を挙げて、両世界大戦のみならずすべての国際紛争で命を落とした英国軍兵士に慰霊と感謝の祈りをささげます。

原爆も投下された敗戦国日本で、悲惨な戦争体験の話をさんざん聞かされて育った日本人の私には疑問がいっぱいの戦死者の英雄視。どう考えていいのかわかりません。

...とは言え、私は軍国主義は大嫌いでも、軍事パレードや軍服を着た人がいっぱい出てくる国家行事を見るのが大好きなのです...。

 

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ハンバーガーにされたカエル, マクドナルドのあれこれとストックポートのかわった史蹟

2023年08月23日 07時00分00秒 | ストックポートとその周辺

ストックポートのカエル探しイベントに話題を戻します。

ロナルド Ronald (作品番号6)

ハンバーガーがペイントされたロナルド、スポンサーはマクドナルド Mac Donald's (マクドゥノーズと読みます)です。

今年のカエル探しのイベント名は 、The Great Frog-tastic Invention Trail 、有史以来の偉大な発明がテーマです。

「アメリカで発明されたハンバーガーはファーストフードレストランにとって欠かせない食べものである云々」の説明がガイドマップに添えられていますが...。飛行機や蒸気機関車、電話なんかに比べると発明の偉大さのグレードはググッと落ちるような...?(多くの人にとってはどうでもいい)

描写力はなかなか!です。クローズアップでお見せする価値はあり。

 

 

マンチェスターに草間彌生展を見に行った日曜日、1人でマクドナルドに入って、季節限定のバーベキュー・クオーター・パウンダー BBQ Quarter Pounder を食べました。(いっしょに展覧会を見た友人とは会場前で落ち合いました)

マクドナルドで昼食はおそらく2年ぶりです。たまにコーヒーを飲みに入ることはありますが。あ、朝食のパンケーキ・セットも何回か食べています。

 

2か所に1か所の割合のバス停のサイドに掲示されていた食欲をそそるこの☟ポスターの効力に屈したのです!

実物はポスターほどおいしそうには見えません。

私が注文したのはポスターのダブルとは違い、スタンダード(=シングル)ですが。

ドリンクとチップス(フレンチ・フライ)がついたミールセットで£5-99(1,112円)でした。単品でたのむと(...今調べました)£4-19 (779円)です、セットが断然お得ですね。ちなみにダブルは£5-49。ミールセットで£7-19。(いずれも単位はポンド-ペンス)

日本では...もうどんどん調べます。あら、4月から発売停止!価格が抑えきれず収益がでないからだとか?スタンダード単品で400円、ミールセットで700円だったんですって?!お安い!

ひさしぶりに食べると美味しいですね。1人でサっとすませたい買い物途中の昼食にピッタリです。かつてのようなお手頃感はどんどん薄れてきている気がしますが。

一番安い「ハンバーガー(チーズなし)」は£1-09 です。まだ、あったんだ、とちょっと驚きです。

 

バーべキュー・クオーターパウンダーはこってりしたバーベキューソースの安っぽい甘辛味が絶品のおいしさでした。

昔からなぜか、いつもマクドナルドのミールセットを食べるとお腹いっぱいになるのに、2~3時間後に強烈な空腹感をおぼえます。なんだか怪しげです。

マクドナルドは、特に2012年のロンドンオリンピックの公式スポンサーをやってからだと思うのですが健康に配慮したアピールに熱心です。昔からハンバーガーに挟まれていた薄~いレタスやトマトは数に入れないとしても、現在ミネラルウォーター、サラダや野菜スティック、リンゴ、ブドウ、メロンなどの果物を販売していますし、カロリー表示や、糖質、アレルゲン、1日に必要な栄養素の摂取目安とパーセンテージなどの情報も開示しています。

...ただ、加工食品の継続的な摂取による健康害は今さら隠しようがありません。毎日食べてよいものではなさそうです。たまに食べるのは楽しいですね。

 

ついでです。

マンチェスターの表玄関、ピカディリー・ガーデンズ Piccadilly gardens に面したこの1920年代風の建物の一階のマクドナルド、私がマンチェスターに留学していた1990年代の初めにもとなりの薬局, Boots とともにこの場所にありました。

ほんの10年前にどこに何があったか思い出せないほど店舗の入れ替わりが激しいこのエリアで、この2軒は大健闘しています。

留学中に、日本で見なれたマクドナルドを目にすると心強い思いをしました。

異国で、見知らぬ土地でマクドナルドを見かけたら何かホッとした気分になりませんか。旅先でマクドナルドに入ってみたいかどうかは別として。

 

 

このロナルドのたつランカシャー・ブリッジ Lancashere Bridge は...

8年前に一部分の、しかも片側だけ復元された変わった史蹟物件です。

この写真ではわかりにくいのですが、1932年建造の歴史ある橋の橋脚部分が見えるように道路が丸くくりぬかれています。

1970年代にストックポート全域を含むマンチェスター周辺の広範囲の町がグレーター・マンチェスター Greater Manchester として州統合されました。

それまでストックポートのタウンセンターは、このマージー河を境にチェシャー Cheshire とランカシャー Lancashere の2州に分断されていたのです!! 橋の右側がランカシャーでした。

中世以来、何回も架けなおされたこの大きな橋は(復元されたのはアーチひとつ分、ごく一部です)州境橋 boundary bridge として地元の名所だったそうです。

1965年にショッピングセンター、マージーウェイ Merseyway が建設された時、マージー河は暗渠として覆われてしまいました。その時ランカシャー・ブリッジの、コンクリート製の橋脚だけはなぜか(!)取り壊されることなく道路に覆いかぶされてしまったそうです。

奇妙な話です。

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カエル効果でビジネス招致もかなうか、晴れた日の日光浴とストックポートの開発祈願

2023年08月18日 01時42分20秒 | ストックポートとその周辺

きのうは日中気温が25℃前後、久しぶりに雨が降らず気持ちのいい1日でした。

ストックポート駅前の新しいビルが並ぶ ストックポート・エクスチェンジ Stockport Exchange と呼ばれるちょっと開けたエリアに行ってみました。

 

おなじみのストックポートの観光イベント、カエル探し Frog Spotting の話題です。

オービル Orville(作品番号3)。

1903年にアメリカ合衆国のノースカロライナで世界初の有人飛行機の飛行に成功したウィルバーとオービルのライト兄弟の偉業をたたえた作品です。

(男の子がフードにニセ毛皮の縁取りのある真冬のコートを着ているのに注目です)

 

わかりやすく、青空をバックに黒い飛行機が描かれています。

 

空港に近いストックポートでは上空を飛ぶ飛行機をひんぱんに見かけます。この日は天候の都合か、機体はすべて高すぎていっしょに撮影できませんでした。

 

 

右側の奥にちょこっと写っているカエルのオービルのスポンサーは、世界的なホテル・チェーン、ホリデイ・イン Holiday Inn。

12時過ぎでした。チェックイン時間前だったのか何組もの人がスーツケースを芝生においてデッキチェアで日光浴をしていました。

 

街のオープンスペースにおかれたデッキチェア、英国の夏の風物詩です。

ほとんどの人(特に女性)が老化を促進する紫外線に肌をさらすのを徹底的に避ける日本では考えられませんよね。今はとにかく何より暑すぎるんでしょう?

...西洋人にとって晴天の日に外にでて顔を太陽に向けて目をつぶるのは 持って生まれた本能のような習性です。

日焼けに対する強烈な執着は英国(のみならず欧米諸国全般)で生まれ育っていない私の理解をはるかにはるかに超えています。

皮膚ガンを誘発、肌の老化を進めるなど紫外線の害はもう十分啓蒙されているはずなのに、「日焼けして美しくなりたい」強烈な欲望にあらがうことができない人が多すぎるのです。

日光を浴びないと鬱になると公言している人、日光に当たっている時の自分は美しく内面的にも強くポジティブでいられると思っている人が実際とても多いようです。うちの夫も日光に顔を向けて恍惚状態になっている時に話しかけられるのをひどく嫌がります。サッカー観戦している途中に話しかけられた時とよく似た反応です。

「太陽光線に身をゆだねた自分」を一種、神格化したような精神状況なのでしょうか、何者も立ち入ってもらいたくない状況なようです。

 

...上の写真のホリデイインの左側に現在建築中のビルが見えています。

これ☟

 

ストックポートの有名なランドマーク、ストックポート・ヴァイアダクト Stockport Viaduct (鉄道橋)の周りの、バス・ターミナルだった場所もバスターミナルを取り込んで、ショップや緑地エリアなども含む壮大でモダンななオフィス・ビル街に開発される過程なのです。

ロンドンやバーミンガムなど南部の大都市から北部の大都市、マンチェスターに向かう乗客に、電車のスピードがぐっと落ちるヴァイアダクトの通過中に見下ろして「おおっ、ストックポートはなんて発展した町なんだ!」と感心してもらう効果バツグンなのかもしれません。

 

ストックポート・エクスチェンジに話を戻します。

フログワーツ Frogwarts (作品番号2)

この写真は、別の日の夕焼け空が美しい夕暮れ時に撮りました。

蒸気機関を発明したウィリアム・ニューコメンとそれを発展させて蒸気機関車の原型を発明したジェームス・ワットの偉業をたたえた作品です。命名も表現もちょっと苦しいですね。

フログワーツは「ハリー・ポッター」に出てくる寄宿学校の名前ホグワーツにかけていますし、表面のペイントも(たぶん、赤いし)ホグワーツ・エクスプレスのつもりでしょう。子供ウケはバッチリですね。

無料でもらえるカエルめぐり地図の解説によればフログワーツは「ストックポート駅の、9と 3/4 番線から発車する」と書かれています。いえ、ストックポート駅にはプラットフォームが有名な「0番線」を含めて5本しかありませんてっば!

 

もちろん、駅の坂上エントランスのすぐ外に設置されています。

 

このストックポート・エクスチェンジ、開発が完成したのはパンデミックの2年ほど前だったと記憶しています。

「完成予想図」とともに開発予告が載った地方新聞には「ストックポートはヨーロッパのビジネス・ハブ(放射線の集まる中心地)になる Stockport will be the European Business Hub」という、「かってに言ってろ」レベルの実現度の壮大な標語が掲げられていました。

ムリなのは明白ですが、荒唐無稽とは言い切れない国際ビジネス立地に欠かせない要素は、ストックポートにはたしかにあるのです。

マンチェスター国際空港までクルマで15分足らず、30分おきに発着する空港直通バスも駅のすぐ下の通りにとまります。そして何よりも鉄道の便!マンチェスター行き、マンチェスター発の全ての列車がストックポートにとまります。

もちろんストックポートはぜんぜん「都市 city」の機能を充たしていないただの「町 town」なのですっ!!...が、それでもマンチェスターとロンドンを結ぶ鉄道路線、主要都市だけに停車する「インターシティ Intercity」もストックポートにとまります!

...その理由は、ストックポート駅のプラットフォーム直結の、ストックポート・ヴァイアダクト。

以下、ストックポート住民の「お国自慢」(実話)です。

リバプール-マンチェスター間を世界初の鉄道が開通した時、すでにここストックポートに駅を建設する計画がありました。

首都ロンドンに至る鉄道開設のため、谷底の町、ストックポートをまたぐ壮大な鉄道橋の建設が必須。それと引き換えに、未来永劫に「マンチェスター行き/発の列車すべてをストックポートに停車させる」という条件を当時(1840年)のストックポート市長が鉄道省に承認させたのだそうです!!

ストックポートは、国際ビジネス都市マンチェスターよりもほんのちょっとですがロンドン、バーミンガムよりです。マンチェスターからよりずっと空港にも行きやすいですし。お家賃もマンチェスターに比べればグッと安そうです。

ただ...駅前のストックポート・エクスチェンジの青い空を映し込む美しい鏡面ガラス張りの新型オフィスビルには空きスペースが多そうです。

パンデミック以来、リモートワークが定着した今、空港に行きやすいとか鉄道の便がいいとか、どれほどの利点(説得力)があるのでしょうか。どこにいたって会議や商談はできますのに。

建設ラッシュのストックポート...本当にもくろみ通りに行くのかどうか...

 

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ストックポート恒例のカエル行事と英国の生活困窮事情など

2023年08月15日 06時32分35秒 | ストックポートとその周辺

日中の最高気温が連日21℃前後の肌寒い英国の夏休みです。しかも、ほぼ毎日雨降り...

ストックポートのショッピングセンター、マージーウェイ Marseyway の天井から色鮮やかな浮き輪がつるされ、夏の海辺のリゾート気分を盛り上げています...寒いんですってば...!

今年も(と言っても2021年に続いて2年ぶりですね)夏休み恒例、子供たちに大人気のアクティビティ「カエル探し frog spotting」が7月21日に始まりました。

2019年、2021年にもストックポート日報 でしつこく取り上げました。

地元アーティストによって表面をペイントされた巨大なカエル19体を探してストックポートの観光、商業のかなめスポットを巡るパブリック・アート・トレイル・イベントです。

今年のイベントタイトルは The Great Frogtastic Invention Trail (偉大な発明めぐり)。前回までと違って、一貫したテーマがあるようです。従来のストックポートの名所めぐり、パブリックアート鑑賞のほかにタメになる知識も得られるという趣向のようです!

 

ショッピングセンターの入り口近くに設置された赤いカエルの名前は、リンゴー Ringo。(作品番号7)

リンゴーは、ring (電話の通話) からの安易な名づけでしょうね。

英国の偉大なロック・バンド the Beatles のドラマー、リンゴー・スター由来で現在ではごく少数ながらも男の子に名付ける親が後を絶たないユニークな名前のひとつです。子供の名づけウェッブサイトを見てみたら「日本語ではアップルの意味がある」とたいてい書かれています。リンゴー・スターの芸名は、指輪 (ring)好きからついたあだ名がもとだそうです!

 

アメリカ人のアレクサンダー・グレアム・ベルによる電話の発明(1876年)を讃えた作品だそうです。わかりやすいですね。お腹には懐かしいダイヤル式、背中にはスマートフォンの文字チャット画面がペイントされています。

 

チャット会話の内容は「やあ、リンゴー、夏休みは何するの?」「マージーウェイの海辺(seaside fun=イベント名)を跳ねまわる(hoppinng over=大はしゃぎする)んだ」「楽しそー、僕も行っていい?」「もちろん!砂浜で会おう、7月29日から9月3日までやってるよ!」

...スポンサーは言わずと知れたマージーウェイです。

Seaside Fun とは...

 

大きな砂場と、ヘルター・スケルター helter skelter という、英国の海辺の観光地にはおなじみの滑り台が設置された海辺の気分満載のプレイエリアです。

空気を入れて膨らませる、低くて滑り台部分がチューブ状になった安全型ヘルタースケルターです。海辺にある本式なのは3階ぐらいの高さの塔の周りを覆いのない滑り台でらせん状にグルグル滑り降りる安全上問題が大ありなモノなのです。25年以上前、小さかった息子を膝にのせてすべってみたことがあります。こわかった~)

2日続きで晴れ(気温は最高28度)だった先週の午後、上の写真を撮りました。

 

ところで...

リンゴーの横の空き店舗を利用した、手作り品を売ったり、アーティストが個展を開いたり、環境問題へのアッピール展示をしたりするための貸しスペースで...

週末オープンする予定の「イベント」準備がすすんでいました。

小学校の制服のおさがりを、すべて50ペンス(91円)で販売する仮店舗だそうです。

 

昨今の物価高に伴う生活危機で新学期に向けて学校の制服をそろえるのが困難な家庭が多い、とたびたびニュースで取り上げています。

生活困難者が食料のみならず、衣料や日用品を無料で受け取れるフード・バンク food bankに行けば、もちろん制服ももらえますが、「生活困難者」とまでは言えない、フード・バンクに並ぶほど困窮していないけれど、出費はできるだけ抑えたい子供がいる家庭も多いはずです。

子供がいる家庭には本当にありがたい企画なはずです!

片側には女の子用、ギンガムチェックのワンピースがズラッと並んでいました。

英国の、多くの公立小学校にはスクール・ユニフォームを着て登校するきまりがあります。

スーパーマーケットやデパートが値段まちまちで、デザインも微妙に違う標準型の制服アイテムを常時販売しています。

男女ともにスクールカラーか白のポロシャツにグレーのスカートかズボン、寒くなったらスクールカラーのスエットシャツ(トレイナー)を上に着る、というのがたいていの学校の標準ではないでしょうか。スクールカラーのギンガムチェックのワンピースは低学年(4歳から9歳)の女の子に人気です。

女の子は、ワンピースでもズボンでもスカートでもピナフォー(ジャンパースカート)でもオッケー、選択肢が広いですね。

成長が早い、小学生の子供たちに制服を買い続けるのは生活困難者でなくてもけっこうな負担です。

うちの子供たち2人が小学生だった時、多くの小学校ではエンブレム(校章)刺繍の入ったトレーナーが学校指定で、ちょっとした社会問題になっていました。特定業者に販売させて、売り上げの一部が学校の設備基金として運用されていました。

スクールカラーのどこの学校でも通用する無地無紋のトレイナーをスーパーマーケット等で格安で売らせて、それを着て行ってもいいことにすれば制服への出費が著しく抑えられたはずなのです。

今は、刺繍入りユニフォームの着用は強制されず、希望者のみに購入させる学校が多くなっていると聞きました。

うちの娘は学校時代、男の子だったものですから上の息子のおさがりが流用できると期待したのですが、すぐにサイズが小さくなったもの以外、いたみが激しく買いなおすことの方が多かった記憶があります。

いちばんの出費は黒の革靴でした。

子供の頃の靴選びは体の発達に重要な影響を与える、と信じて無理してでもきちんとした造りの革製の靴を買ってはかせる親がとても多いのです(少なくともうちの子供が小学生だった頃は)。もちろんスーパーマーケットには廉価な合成皮革の通学靴も多数売られていましたよ。

 

ちょっと離れた場所に産業用ゴミ箱のような「おさがりの制服寄付箱」がありました。

 

中を覗き込んでみました。

破れたり汚れたりしたものは受付けないようですが...ちょっと見たところ、くたびれたモノが多いですね。兄や姉のおさがりならともかく、知らない子供が着古した服を子供に着せるのに抵抗のある人は多いかもしれません。

50ペンスだからと、納得できる人だけが利用するのでしょうか。

私は自分の服はほぼすべて、寄付品を売って売上金を慈善事業に使う「チャリティ・ショップ」で買うことにしています。節約とともに社会的意義(リサイクルと慈善活動)も重要視してそうしています。

チャリティショップで売られている古着は、概して言えばコンディションの良いものばかりです。

「寄付箱」をのぞき込んだら、なんだかもっとせっぱ詰まった事情がかんじとれました。

 

例年ほど情熱的にカエルの紹介をするつもりはありません。時々目についたら関連の話題といっしょに記事にしてみます。

 

 

 

 

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ナシのキューポラのある名物ミル建築に見る古い建物の利用法

2023年08月11日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺

洋ナシ形のキューポラのある元製糸工場、続きです。

きのうの記事のリンクです。

ナシのキューポラのある町、栄光の歴史の最後を飾るお茶目建築今は人気の商業施設

20世紀初頭に創業した、製糸工場の建物を上手に利用した「商業施設」です。

うちの娘と友人3人がウォール・クライミング(2時間コース)をしている間、私と夫は Stockport Vintage Emporium というお手頃骨董市場に入ってみました。

「お手頃骨董」は便宜上私が勝手につけた呼び名です。

骨董(アンティーク)というほどの値打ちもない年季の行った日用品を売っているブースが100近くある、常設マーケットみたいな施設です。ヴィンテージと言えば、聞こえがいい...まあ、欲しがる人もいるガラクタ屋の集合体とでもいった方がいいのかもしれません。

ペア・ミルのウェッブサイトを見てみたら、けっこう人気のある観光スポットらしいことがわかりました。

各ブースに、経営者は常駐していません。製品には全て、店名と値段が書かれた札が取り付けられています。メインの会計所に買いたいものをもっていって支払いをすればいい仕組みです。

「ガラクタ屋やセカンドハンドショップ、あるいは骨董屋では売り手と買い手の値段の駆け引きも買い物の楽しみ」と言う人も多いようですが、ここでは一切、値切れません。このシステムは気に入りました。私は値切るのは苦手ですし、かといって自分が必要以上に吹っかけてある値段を払って損した気になるのもイヤなのです。

 

衣類が充実していました。

 

びっくり顔のサカナの置物、Bewrick Leaping Trout に先月行った、ベリックの名前を見つけました。

ベリックは知る人ぞ知る、豪華な釣りツアースポットでもあるそうです。一区画を借り切ってトロウト(シャケの一種)フィッシングができるそうです。

 

草間彌生の古いポスターを見つけました。

いわゆる「骨董」らしい品物と言えば、対になったキング・チャールス・スパニエルの陶器の置物でしょうか。

19世紀に、新興中流階級がこぞって買い求めて暖炉の上に飾ったという成金インテリア・アイテムです。対で揃っているものはけっこう貴重らしいです。かわいくも美しくもなんともない俗っぽい置物ですが、よく見たら愛嬌があるような...(40ポンド前後、安いのか高いのか?)

18世紀のドイツで開発されて、20世紀に大人気だったというウラニウム入りの妖しく光るガラスの食器!

「安全性は問題なし」とわざわざ書かれていました。

 

...結局、何も買いませんでした。不要なモノを増やさないように極力気をつけているつもりです。

 

このヴィンテージ・エンポーリアムの呼び物は、一番奥のこの、ティールームらしいです。

 

椅子や食器類が何一つとして揃っていません。

さすがは「ガラクタ屋」のティールームです。

 

私たちは家では飲めないエスプレッソ・マシーンで淹れるアメリカーノを注文しました。おいしかったです。

紅茶の種類が多く、変わった形のティーポットから飲んでみたいと一瞬思ったのですが...やめました。

うちの夫はものすごーく紅茶にうるさいのです。オンライン販売で入手したリーフ・ティを自分でブレンドしてピッタリの量のお湯を沸騰させてティーポットで蒸らせて毎朝飲んでいます。私ももちろんお相伴しますが、ほとんどすべての英国人と同じように自分で淹れて一日に何杯も飲むティーバッグの紅茶との違いがよく分かりません!

うちで凝った紅茶を飲む自称エキスパートの夫が、出先のティールームで3ポンドも出して紅茶を飲みたがることなんてあまりないんですよね。

 

英国伝統のケーキ類の多さに目を見張ります。

 

大き目の1切れが3ポンド80ペンス(698円)は、おいしかったのでボッタクリとまではいいませんが,高すぎのような気がします。2人でオレンジ・チョコレート・ケーキ1切れを分けて食べました。

 

...帰ってから、マンチェスターのコットン・ミルに関してリサーチしてみました。

18世紀以降に創業され、現グレーター・マンチェスター内で稼働していたコットン・ミルは20世紀初頭には少なくとも2,400を下らなかったそうです。(学術資料を引用している郷土史家の2020年のブログを見つけました)

マンチェスターが世界の綿工業の中心地であったのは、第二次大戦ごろまで。戦時中は軍事需要におわれ、戦後は英国から独立したインドなどの、人件費の安い新興国にその地位を奪われ、全廃業に追い込まれました。

数多く残ったのが、用途のなくなった頑丈で立派なレンガ造りの建物です。取り壊すのも大ごとです。

1985年の調査時に残っていたコットン・ミルの建物は半分以下の1,112軒。その後、現在まで残っているのはそのうち半分にも満たないだろうとのことです。

現存のミルの多くは、広大なインドア・スペースを何かに利用されているはずです。

内装にかまわなくてもよい倉庫や、アーティストに貸し出す共有のアトリエ、ミュージシャンのリハーサル施設...などの他、ナイトクラブや、ワインバーなど古い工場である特徴を生かした粗削りな内装がおしゃれな利用法も注目されているようです。

大手の不動産デベロッパーが介入して、多額の資金をつぎ込まれて改装されたモダンなオフィスや天井の高い豪華なアパートメントとして分譲、賃貸されているミルも実際、多く見かけます。

 

ペア・ミルのように商業施設として、スペースが広いわりには家賃が安そうな店舗としての利用も、ここストックポートでも多数見られます。そう言えばペア・ミルは内装、改装にお金をかけた形跡はほとんどありません。各テナントそれぞれ必要最小限度に手を入れているようですね。

広大な上階スペースはほぼ空き部屋で、工場が廃業し、機械類が取り去られた後のボロっちさをかなりしっかりととどめているのではないかと推察されます。保存指定建築ですので、状態が劣化しないような措置が義務付けられているはずです。公的基金の補助もあるでしょう。

 

 

 

 

 

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ナシのキューポラのある町、栄光の歴史の最後を飾るお茶目建築、今は人気の商業施設

2023年08月10日 08時00分00秒 | ストックポートとその周辺

ストックポートのタウンセンターからクルマで5~6分のブレッドブリィ Bredbury という町に、ペア・ミル Pear Millという変わった名前の「商業施設」があります。

ストックポートにはとてもたくさんの、大きくて古いレンガ造りの 「綿工場 cotton mills」があります。

この「商業施設」もその一つ、1913年に創業の、(綿織物工場ではなく)綿製糸工場だった建物を利用しています。

18世紀の産業革命以来、「世界の工場」だった英国の、主要工業生産物だった綿の生産を一手に担っていたマンチェスター界隈の栄光の歴史!...の名残です。

この、ペア・ミルは英国で創業した最後の綿工場だそうです。廃業も意外に遅くて1978年、他の多くのマンチェスターの工場は戦後、採算が合わずにどんどん廃業しています。インドや中国など人件費の安い発展途上国に綿産業の中心地の地位を奪わちゃったわけです。

 

ペア pear (洋ナシ)ミルの名前の由来は...ただ単に創業者の名前がペア氏だったからのようです。ただ、社名へのこだわりがよっぽど強かったらしく...

 

巨大なコンクリート製のナシのキューポラがドドンと目立ちます。

「ペア・ミルって名前にちなんで、現代造形作家がインスタレーション作品でも載せたんじゃないか」と思った人もいるはずです。

ゴイト川沿いの谷底にあるこの工場、上の道路からもナシが際立って目につきます。

この写真☝はストックポートの観光資料から勝手に借りました。

全景を見たら納得ですよね。このナシは建築物の一部として創業時から塔の上にバランスよくちんまり鎮座しているのです。

ナシのオブジェではなく、ナシの形をしたキューポラなのです!!

ストックポート日報 ではおなじみのストックポート・ヴァイアダクト(ストックポート駅から出ている鉄道橋)の同級の「第二級特級 保存指定建築 Grade II*(グレード2・スター)Listed Building 」だそうです。有名な建築家が手掛け、予算オーバーで手をひいて、また別の有名な建築家が引き継いだといういきさつのある名物建築だそうです。

娘と、1週間ほどうちに滞在しているその友達2人をウォール・クライミングに連れてきました。

デンマークから来ていたインターネットゲーム仲間のその男性はボランティアで子供たちに教えているという上級者で、スェーデンから来ていたもう1人の男性とうちの娘に教えてくれることになりました。

このウォール・クライミング施設、オウサム・ウォールス Awsome Walls は愛好者の間ではしられた充実した施設らしいです。

...ああ、ここ、来たことがある。子供だった息子が15年ぐらい前にやってみたいと言ったので連れてきたことがあったのです。夫と息子は何回か来たようですが...そのうち飽きちゃったようですね。私は初心者必修の「家族でトライアル」コース1回きりでやめました。

ウォール・クライミング施設の入り口アーチにのっかった、かわいいナシふたつ!これももちろん創業時からのオリジナルです。

 

高さが不可欠なウォール・クライミング施設は、床のない7階分の高さのうち、3階ぐらいの床をぶち抜いた機動室 engine house を上手に利用しています。

クローズアップを撮り忘れたので、写真を引き伸ばしてみたら粒子が荒く悲しい写真になったので加工でごまかしたのが☝。

入口アーチを飾る角笛(コーヌコピア)から果物がこぼれ出て花綱(フェストゥーン)みたいに半弧を描くおめでたい装飾は古い建物につきものですが、これは洋ナシばっかりみたいです!通常はザクロとかブドウが混ざっているものなのですが。

他の場所には、ナシの花の装飾もあるということです。また今度行ったら、見てきます。

 

15年ぶりで来てびっくり!夏休みの日曜日の午後なので当然でしょうか、すっごい繁況で駐車場はほぼいっぱいでした。

以前もあったアディダスのアウトレット・ショップと子供のインドア・プレイグラウンド、カフェ数軒、それに前回はなかった工場直送家具屋、安売り食品店、育児用品店、それと、けっこう有名らしいヴィンテージ/お手頃骨董品市場(常設)のStockport Vintage Emporium 、その他、ホームセンターやクルマの部品屋などが広大な工場敷地内のごく一部のスペースにテナントとして店を構えていました。

子供のバースデーパーティーがあったらしく、駐車場にはプレゼントを持った子供たちもおおぜいいました。

週末の午後、家族一緒に時間をつぶす郊外の娯楽場みたいな場所になっているみたいですね。

 

さて、ウォール・クライミング施設、オウサム・ウォールスの内部です。

休憩室兼クライミングをしない人がくつろいで待つスペースが中二階にあります。(誰でも入れます)

私と夫は、娘たちとと別行動で、1時間半ほどアンティーク・マーケットを見て歩いたあと、オウサム・ウォールスの休憩室で知らない人たちの壁のぼりを30分ほど見物しました。

私たちが見ている前で10歳ぐらいの女の子がトカゲのようにスルスルと天井ちかくまで壁を這いあがって行きました。

 

以前来た時、私たちはこの10mぐらいの高さの壁で家族向き入門コースを受講したのでした。

息子と夫はけっこう上まで登れたようですが、私は自分の身長より上ぐらいまで登ってイヤになっちゃったおぼえがあります。なぜか、その頃より体力には自信がある現在...やっぱり再挑戦する気にはなれません。(高いところが苦手です)

そういえば、夫の体力は加齢でだんぜん今のほうが落ちているはずです。

 

 

娘とお友達3人(女性が1人現地集合で参加)はなぜか角度があって、足をかけるボツボツが離れていて難しそうな壁ばっかりの場所で初挑戦をしていました。

奥には、どうやら塔の内部らしい「エベレスト・ルーム」という、7階の上まで(?)のとんでもなく高い壁のぼりチャレンジスペースもありました。

ペア・ミルに関して、長くなるので、以下次号。

 

 

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史跡の町ストックポートの興味深い歴史スポット、地下牢の残る極小裁判所!

2022年07月03日 04時54分30秒 | ストックポートとその周辺

ひさしぶりの、ストックポート日報、「ストックポートの観光案内」で再開です。

2週間以上も前の話で恐縮ですが...

ストックポート、タウンセンターの景観保存エリア、オールド・タウン Old Town の中心、マーケット・スクエア Market Square にある知る人ぞ知る観光スポット、ストックポート・ダンジョン Stockport Dungeonです。

通りかかったら公開されていたのでもちろん入ってみました。

(最初の写真は用事があって戻った、その翌々日に撮りました)

「ダンジョン」というのはおどろおどろしい暗黒の中世のひびきのある「地下牢」のことです。

このダンジョンは軽犯罪者を裁く地方裁判(Court Leet)に出廷する被告人を閉じ込めておいた「留置場」のような場所です。

ストックポート・ダンジョンの正式名は Stockport Court Leet And Dungeon 。

地上階は判事 leet のいる(簡易?)裁判所 Cout Leet として、地下は留置所 dungeon として15世紀から18世紀まで使われていたそうです。

上階の店の部分は18世紀から19世紀にたてられたそうです。

1790年にCourt Leet 制が廃止されて以来、裁判所スペースは長く穀物倉庫として使われてきたそうです。それ以後、オフィスやら貸し店舗やらテナントはたびたびかわって、最近20年ほどは史跡として市が管理していたようなのです。

中に入って(入場無料)...

階段の下が...

ジャーン!地下牢です。

お芝居の小道具めいた重りの付いた足かせとか、IKEAででも売られていそうな可愛らしいランタンとか演出がクサくないでしょうか。

まあ、それをいうのなら ジベット Gibbet (絞首刑にされた罪人の死体をさらす鉄のカゴ)にガイコツ、死肉をついばむカラス...の子供を怖がらせるためとしか思えないおどろおどろしい展示物!と天井にはコウモリ...

Leet (判事)もガイコツ。

英国の史跡遺産の観光スポットではおなじみの、さらし台 Pillories が当然のように置いてありました。

「刑罰史」の資料としてではなく観光客を喜ばせるための小道具であることは明らかです。

子供たちをさらし刑にして大喜びで写真を撮る親がやっぱりいました!

白いコウモリ!

マジメな史跡スポットであるはずのストックポート・ダンジョンなのに!... ハロウィーンのパーティ会場にでも使われてそのまま飾りつけを残しておいた、とかでしょうか。

観光客のウケをねらった通俗路線を徹底するか、史跡としての価値をマジメに押し出すか市の観光担当部署は方針を決めかねているのではないかと思います。

マジメな刑罰史や、好奇心をかきたてるストックポートで起きた有名な犯罪史(18世紀のヒ素入りパイ殺人とか)についての資料を展示したコーナーもありました。

実は、ストックポート日報 発刊直後に、外観の写真をのせただけの短い記事にして取り上げたことがあります。

ストックポートに移り住んでわずか数年後、20年近く前に赤ちゃんだった娘を連れて通りかかった時にもぐうぜん一般公開されていたので入ったことがあるのです。人通りの少ない平日でした。

直前に塗りなおしたらしい、つるんとした白い漆喰壁が新しく、清潔な印象が記憶に残っています。(写真は撮りませんでした)。

古い建物の地下室にはつきもののアーチとアーチの間のくぼみ部分は、その当時 漆喰壁でふさがれていたため見られませんでした。

当時、市の観光促進担当らしい職員に「入ってみないか」と声をかけられ、階段ではなく、床に開いたハッチ(木の押し上げ扉)を開けて梯子段で地下牢に降りた記憶があります。もう一人だけいた年配女性の見学者にバギーに乗せた赤ちゃんを見ていてもらいました。

地下牢は今回見たのと同じ場所だったかはずですが、塗りたての白壁でほの暗い電灯もついていたので清潔な印象でした。

裁判所機能を放棄したあと、穀物を保管したというアーチとアーチのあいだの 部分にまた...

頭蓋骨と血に濡れた手!

 

案内のボランティアの女性の説明によると、考古学上の研究が現在も進行中だとか。

後世に付け加えられた壁を取り除いたら16世紀、17世紀に建造された部分も発掘されたそうです。

建築物に関する資料展示はまだ先になるようでした。

「史跡の町」として街おこしをするつもりらしいストックポートにとって、学術/史跡資料として貴重なこのダンジョン、使えます!(ハロウィーン風展示は真剣に何とかした方が良いと思うのですが、案外ほほ笑ましくもあります)

コート・リートの建物わきの...(この写真も公開日の翌々日に撮りました)

地下牢公開用の新しく取り付けられたらしい小さな扉を開けて...

ボランティアの案内役の男性が通りがかりの人に地下牢を見せてあげていました。

道から見える位置にもやっぱりガイコツ!!

コート・リートが穀物倉庫 mealhouse として使われていたころについたその名も Mealhouse Brow というこの細道はマーケット・スクエアと下のリトル・アンダーバンクを結ぶ急な坂道です。

 

この窓は店舗として使われていた20世紀初頭に加えられたショーウィンドウのようです。

写り込んでいるのは斜め向かいのガラス張りのマーケット・ホール Market Hall です。

実は用事があって時間つぶしに入ってみたため、展示資料をゆっくり見る時間はとれませんでした。

もう一度、できれは誰かといっしょに行きたいです。さらし台に脚を突っ込んだ写真を撮ってもらわねば!

現在、1か月に1回か2回公開されているようです。興味のある方は Stockport Dungeon で検索すれば観光ウェッブサイトが開くはずです。

 

 

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この日はラッキー、よく通る道で目撃した名物ウマのお散歩シーン、古い街並みの街なかに厩舎と古めかしい種類のウマがいる!!

2022年06月27日 08時21分53秒 | ストックポートとその周辺

平日の午後、ストックポートのオールドタウン Old Twon をクルマで通り抜ける時に見かけた...

(実を言うとあまり姿を見かけることはない)ストックポートの名物、ロビンソンズ・ブリュアリーRobinsons Brewery (エール醸造所)のマスコットウマのお散歩、あるいは運動の最後の数歩に行き会わせました。

クルマのウィンドウ・スクリーン越しに撮った写真です。

工場見学とエールの試飲ができるらしいビジターセンター(写真☝の左側の建物)がオープンして以来ストックポートの観光名所でもあるロビンソンズ・ブリュアリーの向かいの付属厩舎に帰還する直前です。

クルマを下りて、厩舎の駐車場についたところを追いかけて写真を撮らせてもらいました

 

ロビンソンズのウェッブサイトを検索してみました。

現在醸造所内の厩舎に常駐しているウマは3頭、ボーベック(9歳)、モージョー(5歳)、そして子ウマのボリス(7か月)これは、ボーベック...じゃないかな?

Facebook には Robinsons Shire Horses というアカウント名の、ロビンソンズの馬車馬たちのファンクラブのようなグループがありました!Facebook アカウントがある人ならだれでもアクセスできます。

英国の伝統的な使役馬の種類のシャイア・ホース Shire horse は、乗馬用、競争用のスラっとしたウマたちと違いがっしり、どっしりした体形です。重い荷車や、農地では鋤をひくのに適した力持ちウマです。

ストックポートに20年以上住んでいる私ですが、今まで街なかを歩いているところを見たことがありませんでした。ほんの最後の数秒ですが目撃できてラッキー!

屋外に面した厩舎から首をのばして外を見ていたり、4つ並んだ馬房の真ん中で調教師に毛並みの手入れをされているところを何度か見かけています。

(厩舎の写真と、外に出ているウマの写真をスマートフォン以前に撮ったはずなのですが、見つかりません。見つかったら、このページに貼り付けるつもりです)

ビジターセンターの反対側、景観保存地域のリトル・アンダーバンク Little Underbank から続く、ミドル・ヒルゲート Middle Hilgate という最近オシャレな店が軒並みオープンし始めた通りに、遠目にも見落とせないレンガ造りの高層醸造所がドカンとある驚きのエール醸造所の出入り口があります。

醸造所の建物は「ドカンと」リッパでも、けっこう敷地は狭いみたいですね。

シャイヤ・ホースは、鉄道やトラック輸送がすでに一般的になっていた1950年代まで工場の使役馬として、100年間も現役バリバリで活躍していました。もっぱら工場内をあっちからこっちへ材料を運ぶのに使われていたようです。ウマのひく小さな荷車はトラックよりも小回りが利いたのではないでしょうか。

第一次世界大戦では、ロビンソン・シャイヤホースも国内のすべてのウマと同じに軍馬として徴用されて戦死したそうです。

今はもっぱら、赤い荷車をひいてイベントに駆り出されるマスコット的な存在のようです。

工場の塀続きに建つロビンソンズの社屋(☟ユニコーン・ブリュアリーは、ロビンソンズの愛称です)...

...ととなりの数軒の古い建物の前を通って(このあたりから急こう配になります)左に曲がって、駐車場沿いに少し歩きまた左に曲がれば工場の裏側=ビジターセンターの入り口(一番最初の写真;道をはさんで厩舎があります)にでます。

厩舎の終わりまで歩いて左に曲がれば時計塔のある古い、教会セント・メアリーズ・チャーチ Saint Mary's Church と街並み保存地域のマーケット・スクエア Market Square があります。

ストックポート・オールドタウンのおススメ散歩コースです。ウマが見られたらラッキー!

ロビンソンズ・ブリュアリーについて書いたずいぶん前の記事です!!☟にリンクを貼りましたので、ぜひ見てください。

ストックポートのまちなかの大規模なビール醸造所、馬までいる

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出張検査でめったに入れない秘密結社の中枢に潜入...というのはウソ。ストックポートの名物ゴシック建築とフリーメイソン

2022年06月23日 08時30分00秒 | ストックポートとその周辺

ロンドンとイングランド北限の町カーライルを結ぶ国道 A6 沿いに、ゴシック風のなかなか立派な建物があります。

ストックポート・メイソニック・ギルドホール  Stockport Masonic Guildhall

同じくA6 沿いのタウンホールから徒歩10分ぐらい、タウンセンターのちょっとはずれです。

和訳すれば「ストックポート石工組合」、(日本でいう)フリーメイソンのストックポート支部の集会所です。

英語でフリーメイソン(組織名)は「フリーメイソンリー freemasonry」といいます。

「フリーメイソン freemaison」は会員個人をさす言葉です。

 

右側の側面です。

明治維新の年1868年に建設されて以来60年ちょっとの間、学校だったそうです。

フリーメイソンリーに買い取られた1932年以後、フリーメイソンたちの集会所として使われています。

スペースを貸し出すイベント会場ビジネスも大成功しているようです。

実は、私は5,6年年前までフリーメイソンリーは陰謀をたくらむ闇の「秘密結社」だ!!と勝手に思っていました!

「メイソニック・ギルド」がフリーメイソンリーの別名だと理解したのもけっこう最近です。それまでは、文字通りこの建物は石工(メイソンリー)関係の由来があるのだろうとなんとなく思い込んでいました。

5,6年前に「陰謀とは全く無関係、秘密結社でもない」ということを日本の友達から聞きました。

フリーメイソンリーは、相互補助友愛クラブのような世界的組織みたいですね。日本にも支部があるとか。

会員になれば、政界、実業界など各界の強力なネットワークが後ろ盾になってくれて、すっごく得みたいですね。入会には支部会員全員の承認を要し、人格、仕事の実績、国家・地域への貢献度、などまで審査されるとかで、容易ではないようです。

今回、中に入る機会があって、秘密結社などではないフリーメイソンリーの持ちビルとしてちゃんと使われていることも知りました。

先週、このギルドホール内でうちの夫が胎児の成長確認でおなじみのエコー検査を受けました。NHS(国家保健サービス)が無料で対象者に連絡してやっている、その日限りの出張サービスです。

正面の花壇にたてられた公開イベントお知らせ看板には、検査対象の病名(夫が抱える持病)がドカドカと大書されていました。正面入り口は閉鎖で、裏へまわるようにとの案内とともに。

裏の駐車場サイドにはみっともないコンクリートの増築部分が突き出していました。

駐車場の管理人に予約手紙を見せて、裏口から入りました。

「病名」が大文字で書かれた矢印つきの案内表示をたどり、リネン倉庫を通って、駐車場に突き出していたみっともないコンクリートの増築部分らしい上階につきました。

矢印が示している青いドアの奥が検査会場です。

それより...

 

壁に展示されているフリーメイソンリー遺物に目が釘付けです。

上の2点は「寄贈;Mrs. 誰々」と書かれたシルクの...スカーフですよね...?

Mrs.誰々はフリーメイソンの奥さんでしょうか。女性はフリーメイソンになれないはずです。スカーフサイズの正方形にびっちりと描き込まれたフリーメイソンリーの象徴の数々...1980年代のイタリアのテキスタイルっぽいデザインでなかなかオシャレですが、大胆すぎて身につけるのは勇気がいるような...

刺繍の施された旗や、タペストリーも展示されていました。

私が「フリーメイソンリーは秘密結社」と思い込んでいた理由の一つは、謎めいた入会の儀式の手順を他言するのが許されないらしい!という神秘性です。

ズラッと額装されてかかっていた、一連のリージェンシー時代らしい版画のプリントがそのおかしな儀式の一部始終をイラストで解説してくれています。

上の版画の左側の床に寝かされて布をかぶせられたのが新規入会者のようです。

検査の順番を待つ間、大喜びで版画に見入る夫です。

新規入会者を床に転がして先輩会員が剣で突き刺す真似をして終了、ぜんぜん秘密ではなさそうです!

壁には立派なV字型のたすきのようなものを着けた歴代の会長、幹部らしい人の肖像額入り写真がズラッとかかっていました。メイソンの名前は公表されないとも聞いていたのですがそれもウソだったみたいです。

家に帰ってから検索してみたら、活動内容を知らせるウェッブサイトまでありました!(神秘性なし!)

 

だだっ広い検査会場には衝立で囲った小さな検査ブースが2個ありました。付き添いの私は夫が検査を受けるブースから出るのを許されませんでした。他の患者のプライバシーへの当然の配慮でしょう。

廊下に並んだドアの一つに取り付けられた BENEVOLENCE (慈愛)と記された真鍮のドアノッカー!

石工(メイソン)の仕事道具である金づち、鑿(のみ)、コンパスにフリーメイソナリーの象徴である定規(右)。で、左側は何でしょうか?

古代からの宗教や神話などに由来する、メイソナリ―の象徴 / シンボルは実にたくさんあるらしく奥が深いです。たしかに「神秘性」はこういうところに感じられます。

 

検査終了後、裏階段ではなく正面ホールにある表側階段を下りました。

正面入り口上部の美しいステンド・グラスを狭い階段踊り場から撮りました。

A6 に面した正面入り口の上のステンドグラス窓です。本当にしょっちゅう前を通るのですが、建物内部は暗いため、外からは何が描かれているのか全然わかりませんでした。

週央下に、直角定規とコンパスが組み合わされたフリーメーソンリーのトレードマーク、両側に球体(地球)をのせた柱、真ん中にはギラギラ太陽、そしててっぺんまんなかには何でも見抜く全能の(神の)目!

一階フォイエ(入り口付近ロビー)にもギラギラ太陽とコンパスと直定規の比較的新しそうなステンドグラスが一対。

セルフサービスのカフェにあるような旧式なコーヒーの自動販売機がありました。(柱時計のとなりの黒い機械)

エイリアンのような顔立ちのCCTV(防犯カメラ)があったのは写真を見るまで気が付きませんでした。

 

奥の閉まっていた扉の奥は大ホールです。

10年ほど前に開催された、入場料をとるアンティークマーケットに入ってみたことがありました!ガラスのビーズのネックレスを買いました。

オリジナルなゴシック風の装飾が豪華~な印象でした。結婚式のレセプション(披露宴)に人気な理由がよくわかります。

アート作品の売り立てや求職者向けの合同会社説明会をやっていたこともあります。外の立て看板で知りました。

正面と側面の角の部屋では講習会か講演にでも貸し出すためかイスと机が並んでいました。ドアがあけっぱなしだったので、夫が勝手に案内してくれました。

夫はこの部屋で開催されたチェスの選手権に何度か出場したことがあるのです。

表扉は閉鎖されていたので入った時と同じ、クルマがとめてある駐車場に出る裏口から外に出ました。

今回私がわざわざ夫の検診にくっついて行ったのは、メイソニック・ギルド・ホールの内部を見物するためでも、夫が心配だったからでもありません。

万が一、駐車場がいっぱいでクルマがとめられなかった場合、私がクルマで近くの大きな駐車場のあるマクドナルドに行って夫の検診がおわるまでコーヒーでも飲んで時間をつぶすつもりだったのです。読みかけの本まで持参しました。

幸い、驚くほど大きかった裏の駐車場はガラッガラ、楽に駐車できたので用のない私も付き添って中に入ったわけです。

 

 

 

 

 

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ウクライナの国難を思い国を追われた避難民の力になりたい善意のイベント実行中、ちょっぴり疑問アリ

2022年05月07日 06時36分44秒 | ストックポートとその周辺

ひさしぶりにストックポートのタウンセンターに行きました。

ショッピングセンター、マージーウェイ Mersey Shopping Center の広場に季節外れの白銀のクリスマスツリーがドンと置いてありました。

いま一番「ホットな」ウクライナ支援の催し物のようでした。(決して茶化していいような話題ではないのですが、商業施設が何だかいかにも嬉しそうにやっているのがちょっぴり引っかかりました)

その名もギビング・ツリーThe Giving Tree。

ストックポート日報を以前から読んでくださっている方は「あれ、聞いたことのある名前だな」と思われたかもしれません(後述)

ぐうぜん横を歩いていた警官3人組の蛍光イエローにツルっとした素材のロイヤルブルーの「警察」ロゴのハイビズ・ベスト( HiVis vest=high-visibility vest )がしっかりウクライナ国旗配色でした。

仕組みを解説した立て看板です。

ツリー型に抜いてあるRの字の空きの部分が絵文字のウンコに見えませんか。

なるほど、ツリーから下がったタグ(荷札)に名前の書かれた店舗を選んで、バウチャー(商品券)を好きな金額分だけ購入する(お金を払う)とそのバウチャーはストックポートに滞在するウクライナ避難民に手渡されるというわけです。

ウクライナの悲惨な状況をニュースで見て胸を痛めている善男善女が善意を行動にして実現できるチャンスを提供しているなかなか良いイベント...だとは素直に感心できないのは何と言うか...楽しそうなクリスマスツリーを転用したイベント化と...

「協賛」している店がけっきょく儲かることになっていることがちょっぴり引っかかるのです。

好きなものが選べる商品券をあげるのは気が利いているかもしれません。着の身着のままで出国してきた避難民は日用品やら着る物やらいろいろすぐに必要でしょうし。

(イベント化なんかしないで、多くの店や団体が実行しているように募金箱でも置いて集まったお金をあげてはダメなのか...?)

英国北西部と、とくにストックポートを含むグレーター・マンチェスター南部はウクライナと歴史的に縁が深い地域なのです。

20世紀のはじめに大量のウクライナ人がアメリカ合衆国に移民するためにリバプールに集結して合衆国行きの船を待っていたそうです。

そのうち多くの移民希望者は何も大西洋を越えてアメリカに行かなくても祖国と同じヨーロッパの英国にとどまってもいいんじゃないかと計画変更、工場での就業機会が多そうなマンチェスター周辺に定住することにしたのだそうです。タイタニックが沈没したあたりの頃の話です。

1930年代以降はナチスの迫害を逃れたり共産主義化を嫌ったり様々な理由でウクライナ人が、すでにウクライナ系のコミュニティが形成されていた英国北西部に多く移民してきたそうです。

さすがにロシアの属国だった歴史が長いウクライナ、ウクライナ人コミュニティではチェスが盛んだったそうです。現在60代の私の夫は20代、30代の頃にウクライナ系の同年代のレベルの高いチェスプレイヤーと数多く対戦したと言っています。

3年前のクリスマスの頃の記事のリンクです☟

喜びを分かち合う季節、クリスマスを前に再考、クリスマスの商業主義と子供の甘やかし....?

この白銀のクリスマスツリーを使った恵まれない子供たちにプレゼントをあげる慈善イベントとクリスマスの商業主義について書いた記事です。

以前の記事から転載した、ストックポート・タウンホールに翻る、ウクライナ国旗の写真です。

 

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工事中のマージー・スクエアの近辺の、久々のストックポート観光案内...

2022年03月05日 07時30分37秒 | ストックポートとその周辺

前回記事の、ほっぺたダルダルイヌ2匹を見かけたマージー・スクエア Mersey Square の...

半分が大規模な工事中です。

上の写真の黄色い仮囲いの内側から橋(ウェリントン・ブリッジ Werington Bridge )の丸いアーチをくぐった向こう側までのストックポート・バスターミナルをピッカピカに作りかえる予定なのです。

グレーター・マンチェスター内やその周辺州を行き来するたくさんのバス路線の終点、起点になっている大きな規模のバスターミナルです。

ウェリントン・ブリッジの上から見下ろした、工事中部分のマージー・スクエアです。

 

ウェリントン・ブリッジの上を走るのは、国道A6です。

国道A6はロンドンと、ストックポート、マンチェスターを経てスコットランド国境の町、カーライル を結ぶ古代ローマ人が基礎を築いたという長大なイングランド縦断道路です。

反対側には、名物ストックポート・ヴァイアダクトStockport Viaduct(鉄道橋)。

ストックポート・ヴァイアダクトは1839年から1840年にかけて建設された「公称;世界で2番目に大きいレンガ建築」なのです。

順位の決め手は、高さでも長さでも幅でもなくレンガの数だそうです。

もちろん、もっと高くて長くて幅の広いレンガの建築物を有する都市はこの決め方に不満を持っていることでしょう。それぞれの基準で他にも「世界で1番、2番目に大きい」レンガの建築物が存在するのでは、と想像がつきます。

 

国道A6を渡って、マージー・スクエアと反対側の、バスターミナル部分を見下ろしてみたら...

去年の夏の終わりごろに始まった工事ですが、やっと工事の準備が整った...ぐらいの進み具合です。

工事開始前はいくつもの長い「シェルター」(縦に並んだ数多くのバス停を覆う屋根)が並ぶコンクリート舗装のバスターミナルだったのです。

 

工事が始まってからずっと閉鎖されている、ウェリントン・ブリッジ(国道A6)からバスターミナルへ降りる階段入り口です。

 

ウェリントン・ブリッジとストックポート・ヴァイアダクトの下にはリヴァプール湾を経てアイルランド海に流れ込む大河、マージー河が流れています。

「大河」と言っても、ここら辺ではショボいゴボゴボ川...下流へと流れすすむうちにいくつもの支流を飲み込んで川幅を増していきます。

 

マージー・スクエア名物(と勝手に私が決めつける)のハトの群れの写真をもう一度。

 

 

4年前に撮ったこんな写真が出てきました。

雨の日に、ウェリントン・ブリッジのアーチの下で雨宿りをするハトたちです。

(ぎょっ、ストックポートの風景写真は1,000枚近く撮りためています)

 

パンデミック前のマージー・スクエアの写真です。

左側に見えるのは1932年建造の映画館、プラザ(正式名はプラザ・シネマ Plaza Cinema だそうです)。

アール・デコ様式の内装が完全無欠に再現されています。

右側の高い煙突のある19世紀の綿織物工場は世界に2つだけあると言われている、帽子に特化した珍しい博物館のひとつ、ハット・ワークス Hat Works です。

ストックポート観光の目玉アトラクションだということです。

入場無料なので暇な時にしょっちゅう行ってみているのですが、入館者は少ないし勝手に見られる常設展示が今ひとつパッとしない...と思えるのは私の個人的感想ですが...古い機械を動かして実演してくれるガイド・ツアーがなかなか見ごたえありなのです。

(当日、入場してからでもオッケーの予約要です)

そのうちストックポート日報でもご紹介しなければ、と思いつつ刊行後8年間記事にしたことはありません。

戦前のロンドン紳士の必須アイテム、ボーラー・ハット(つばを巻き上げた丸くて硬いフェルト帽)の国内有数の生産地だったストックポートは現在「帽子の町」として売り込むつもりみたいなのですが、なぜか周知度は今ひとつ。英国内でも帽子とストックポートを結び付けて思いつく人はまれにしかいないでしょう。

ボーラー・ハットをかぶったキャラクター(例;シャーロック・ホームズの相棒、ドクター・ワトソン)のゆるキャラでもデザインすればいいのかもしれません(あ、ゆるキャラ、もう古いですか)

ハット・ワークスも今は3年にわたる改装工事中です。

ウェリントン・ブリッジとストックポート・ヴァイアダクトが同時に見えるスポットです。

 

(3年前の写真です)

そもそも8年前にストックポート日報 を書き始めたきっかけは、日本人の知らない英国の名所を写真で紹介したいと思ったことなのです。

手始めに、私が住んでいるストックポートから。

「地球の歩き方」に載っている場所以外行く価値がないと思っている日本人がどうやらとても多いらしい、と聞いたものですから。

その当時と違ってインターネットがより身近に幅広い層に普及している今は旅行先に限らず人々の興味の対象がより多様化していますね。

ストックポート日報は「イギリス観光案内ブログ」として登録されているはずです。

時々、原点に戻ってストックポートの観光案内を(くどくどと)繰り返してみることにします。

 

バスターミナルとハット・ワークスの完成後にまた追加レポートをおおくりします。

 

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再会!チューダー様式の貴族の邸宅を追われ雑居ビルの前庭で通りを睥睨する貴婦人と貴公子のカエル母子、

2022年01月25日 07時40分02秒 | ストックポートとその周辺
高級住宅街のなかにある商店街、ブラモール・ヴィレッジ Bramhall Village のすぐ手前の歩道を歩いていて何気なく一軒の家の門の中を覗いたら...



おなじみ、ストックポーツ・ジャイアント・リープ STOCKPORT'S GIANT LEAPの親子カエルが前庭に鎮座していました。



ストックポーツ・ジャイアント・リープは、表面にアート加工を施された21体の巨大なカエルを探してタウンセンターの名所や史跡、商業施設をめぐるストックポートの町おこし、観光・アートイベントです。
パンデミック前の2019年、そして1年おいて去年の夏にこのイベントについてしつこく取り上げたストックポート日報の記事をご記憶の方もいるでしょう。

エリザベス朝時代の貴婦人と幼い貴公子に扮したこの親子ガエルは、うちの近所のブラモル・パーク Bramhall Park のカフェ・売店エリアにいましたっけ。
その時撮った写真です。


1回目のイベントの成功に気をよくした主催者は去年はストックポートの郊外各地にまで展示の範囲を広げたのでした。

ブラモル・パークは16世紀、チューダー様式(エリザベス朝時代)の貴族の大邸宅、ブラモル・ホール Bramol Hall とその庭園からなる広大な公園です。

記事のリンクです☟
地元の公園にもいた親子のカエル、史跡建築の見学に求められる義務ではなくて任意になったマスクの着用

イベント終了後、多くのカエル像はオークションで個人や法人に買い取られ散逸、おもに規模の大きなオフィスビルの受付やホテルのロビーなど目立つ場所に永住の地を見つけたときいています。

この商店街のはずれの、住宅前の貴婦人と貴公子カエルはちょっと意表をついていました。

ファイナンシャル・アドバイザー、会計士の事務所とカイロプラクティック診療所が共同で間借りしている普通の住宅が改装された小規模な商業ビルのようです。
他にも探せば、目立たない場所で人知れず座り続けるストックポートの親子カエルが見つかりそうです。

通算30回以上も記事にしたこのストックポートこだわりのカエル・イベントのてきとうに選んだ記事のリンクです☟

(2019年の2本)
ストックポートは国際ビジネスのハブになり得るか?ちょっと無理そう、それにしても帽子をかぶったカエルの人集め効果には脱帽!

ストックポートのカエルを使ったアートイベント第3弾!かなりあざとい広告媒体としてのカエル利用

(2021年の1本)
街を歩けばイヤでも目に入る!町中を占領するハデな図柄の巨大カエルの町おこしイベント!観光案内付き
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眺めのいい駐車場から一望するストックポートの夕暮れと不可解な命名、県名ペンキ色

2022年01月14日 07時49分41秒 | ストックポートとその周辺
ストックポート・タウンセンターのはずれにある、大型ディーアイワイ・ショップ DIY shop に行きました。


坂と高低が多いストックポートの、高い丘の上にあるこの大型店舗の広大な駐車場からの眺めが格別です。


午後3時半ごろ、日暮れ前の太陽がギラギラ低く照りつける冬の夕暮れです。



ディーアイワイ(DIY=DO IT YOURSELF)の概念が日本でも知られているかどうか知りたくて検索してみたら、意外なことに言葉としては定着しているらしいのが分かりました。
かつて混同されていた「日曜大工」、「手作り」とは違うという意味のことがていねいに解説されていました。
どちらも趣味的要素が強いイメージだけど、DIY はもっと実用的なことをプロではない人がやること云々...と。
その通りなのですが。
日本ではそうなのでしょう。
英語のDIYはたぶんちょっと違います。
私は自分の観点から、英語の DIY を定義づけをしてみました。
たんに「(おもに自宅の)改良作業」、これでどうでしょうか。

全国展開の DIY ショップ、B&Qのストックポート支店は本当に大規模です。



タイルをひと箱、ペンキとベースコート(下塗り)、木の板、それに家具の布はりかえ用のステープル(ホッチキス)...その他こまごましたものを買いました。



木工用のペンキ売り場で...


ヘンな色の名前のペンキのシリーズを見つけました。


B&Qの自社ブランドのようですが、なぜか(たぶん)その色と全く関係ない響きの好い都市の名前がついています。
トロントとかフルハムとかチェルシー、サンホセ、ブルックリン...。
でもヒョーゴ(薄いピンク)とホッカイドー(青みがかったグレー)って何でしょうか。
コーベとかサッポロじゃなくて?

30分ほど中で買い物をして、駐車場にもどったら、日が暮れていました。


街灯がともり、半月が出ていました。




この大型 B&Q は、建築、配管、電気、内装.、.屋根ふき、造園...その他諸々、家具つくり(木工)など日本のDIYとも重複する分野をふくめたありとあらゆる「不動産の改良工事」の材料や道具を販売しています。

プロの職人さんたちが資格証明などを提示して登録すればプロ価格(卸値プラスアルファ)で販売してもらえる店としても知られています。

いつも店開きしている、肉体労働をする「ガテン系」のいかつい男性たちがしっかりと食事ができるフード・トラックからはベジタリアンの夫が眉を顰める、ベーコンサンドウィッチやハンバーガーなどの脂ぎった匂いがしています。

もう日暮れだけどあいている、屋号はランチ・ボックス the Lunch Box(お弁当箱)。

ストックポートのもっとも知られたランドマーク、ストックポート日報ではすっかりおなじみのストックポート・ヴァイアダクト (鉄道橋)Stockport Viaduct の壮大さが一望できる稀有なスポットの一つです。


19世紀の土木建築技術の優れた例であるのみならず、公認!!世界で2番目に大きいレンガ建築なのです。
大きさの基準は長さでも高さでも幅でもなくて、「使用されたレンガの数」であることに納得できない巨大レンガ建築を保持する街があるようですが。

わが家の DIY 事情についてまた、おってご報告します。

この大型 DIY ショップよりも一段低い位置にある、大型スポーツ用品店にも帰りにちょっと寄りました。

大型スポーツ用品店の駐車場から見た、少し低い位置からのストックポート・ヴァイアダクトです。


あまり知られていないもう一つのランドマーク、ガラスのピラミッドのシルエットも遠くに見えています。








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