マンチェスターのショッピングエリアの入り口にド~ンと位置する重厚なアールデコ様式のデパート、デべナムス Debenhams。
マンチェスターの表玄関とも言えるピカディリー・ガーデンズ Picadilly Gardens からもよく見えます。
…それにしては表面が薄汚くてナサケナイ感じでしょう。
現在、空きビルです。閉店したのは2021年の3月でした。もうそろそろ2年ですね。
閉店時の失望感を今でも覚えています。客層の幅が広く、高級品からお手頃品まで商品のバラエティが多かったのです。特に買うものがなくてもブラブラとみて歩くのを楽しめました。
デパートに家族で出かけてお買い物!ほんの3,40年前までは贅沢な体験だったような気がします。
反対側の角です。どこから見ても立派です!
そう言えば、たったの2年。たったの2年で外壁がこんなに黒ずんで緑のコケみたいなものまで発生するなんて意外でした。営業時は定期的なメンテナンスを欠かさなかったのでしょう。
創業時からその場所にある古いデパートって、1930年代のアールデコ様式の建築が多いですね。日本橋の三越や新宿の伊勢丹も然り。
維持費もかかったのでしょう。閉業時がパンデミックの真っ最中だったのも追い込まれた一因でしょうね。もちろん世界中でデパート(のみならず小売業全体)は苦戦しているはずです。クリックすれば自宅まで商品を届けてくれるオンライン・ショッピングを相手に苦戦しているはずです。
マンチェスターの商業エリアの顔とも言えるこの威風堂々とした建物は、別の老舗デパート、M&S(エメネス、旧Marks & Spencer)が即金で買い取ったそうです。ニュースでは「買い叩いた snap up」という表現が使われていました。
取り壊しを免れたのはとりあえず喜ばしいです。
こちらは規模と見栄えの上ではけっこう劣る、ストックポートのデべナムスです。前を通っているのは国道A6, 右へ322㎞ 行けばロンドン、左へ10km 行けばマンチェスターです。
マンチェスター支店の後をおうように2021年の9月に閉店しました。開店は意外に遅く1975年だそうです。それふうな建築スタイルです。
思えば、15年ほど前まではストックポートには4軒もデパートがあったのでした!
かつてデパートは街の集客のかなめだったはずです。
すべて全国展開の大手デパートの小さめの支店でした。
全て閉店しました。
まず、1930年代の建物が今も残る庶民派デパート、ウールワース Woolworthが16年ほど前に倒産して店じまい、続いて同じ並びのブリティッシュ・ホーム・ストア(Bhs)そしてパンデミック直前にM&S、パンデミック渦中にこのデべナムスの閉店です。
ウールワースは倒産して消滅しましたが、Bhs とデべナムスはオンライン・ショッピングサイトとして存続しています。
健在のM&Sはただ単にストックポートを見限ったようですね。マンチェスターのデべナムス店舗を即金で買って個性的なテナントを入れてショッピングモールに改装する見通しが立っているそうですから、かなりうまくやっているのでしょう。
さて、去年の夏に見かけたポスターです。
ストックポートの閉店したデべナムス(上の写真)のショーウィンドウの外側に、色鮮やかに効果的に貼ってありました。
9月に、この空きビルを利用した一晩かぎりの大掛かりなアートイベントが開催されたようです。
興味津々だったのですが、その時私は日本にいたのでした。
art battle manchester xx upbeat on the highstreet という長い名前の団体(あるいはイベント名?)がグレーター・マンチェスター内の毎回違う印象的な空きビルで、アートの制作実演やミュージック(ファンク、ロック、ヒップホップ)の演奏をコラボレーションしたイベントを定期的にやっているようです。
長い名前からは、オンライン・ショップに圧されてどんどんさびれていく街の小売店のために戦っているキャンペーンのような印象です。
私は、わざわざ店に出向いて、商品を見てさわって、店員さんともやり取りしてその場で支払いをして商品を持ち帰る従来のショッピングが大好きです。送料もかからないし!
そういう人は私ばかりではないはずなのですが…もう「時代」ですね。店がどんどん閉店している今、欲しいものを探すのにオンラインショップをぜんぜん利用しないわけにはいかないのですから。
そうして品ぞろえにも限りがある、せっかく頑張って営業しているハイストリートの小売店はどんどん追い詰められていく…悪循環。