天星人語

世間と空、そして(時々)海をぼんやり眺める毎日です。

戦中派不戦日記 おまけ

2005-12-18 11:59:18 | 戦中派不戦日記
 12月31日 ああ昭和二十年!凶悪な年なりき。言語同断、死中に活を拾い、生中に死に追われ、幾度か転々。或は生ける屍となり、或は又断腸の想いに男泣きに泣く。而も敗戦の実相は未だ展開し尽されしにあらず、更に来るべき年へ延びんとす。生きることの難しさよ! さりながら、我が途は定まれり。生命ある限りは、科学技術の普及と科学小説の振興に最後の努力を払わん。  海野十三敗戦日記(中公文庫)  近い将来 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記15(最終)

2005-12-14 23:37:32 | 戦中派不戦日記
 12月31日 大雪。雪降るに降る。けぶる林の中に、雉子の声、山鳥の声、樫鳥の声、ひよどりの声。 ○運命の年暮るる。 日本は亡国として存在す。われもまたまたほとんど虚脱せる魂を抱きたるまま年を送らんとする。いまだすべてを信ぜず。    理由は分からない。「戦中派不戦日記」を単に書き写した。著者はあとがきの最後に記す。「人は変わらない。そして、おそらく人間のひき起こすことも」。そうは思 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記14

2005-12-12 09:02:49 | 戦中派不戦日記
 12月28日 夜の炉端に近所の百姓ら集まり、ただ天皇を憂うる声のみ。 たまたま新聞に、北海道にて天皇打倒を演説せる徳田球一が、地方民に袋叩きに合い、民衆天皇陛下万歳を絶叫し、君が代を高唱せりという事件報道せられ、百姓ら、球一がこの村に来たら袋叩きどころかぶち殺すという。 天皇信仰の鉄壁はげに農村にあり。されど、ああ、これら農民の信仰は盲信との区別なし。それゆえに強く、それゆえに弱し。それゆえに恐 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記13

2005-12-11 20:53:22 | 戦中派不戦日記
 11月14日 市ヶ谷駅は石垣の間に屋根をかぶせ、その上に土を盛りあげた原始的な姿である。街路樹の美しかった一口坂もただ廃塵。真っ黒に焦げた電柱が二つに折れて、上の柱は電柱にひっぱられて宙に浮かんでゆれている。靖国神社は雨の中に人影もない。先日アメリカ人が記者が報道していた。「靖国神社、明治神宮などに参詣する日本人はいなくなった。この神道の潰滅こそ日本人の天皇観の革命的変化の先駆となるものである」 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記12

2005-12-10 08:41:08 | 戦中派不戦日記
 10月30日 四時半起床。リュックを背負って千葉県の津田沼へ。 十時三十分着。少し歩いて京成バスを待つ。大行列。ときどき百姓が車をひいて通ると、みんな「何だ?」といって首をさしのばす。飢えた眼である。 青い野菜畑のつづく地平線にレンズのような雲が浮かんでいる。一時間ばかり待って、汚いバスにすし詰めになって、習志野を通って終点に着く。ここから林の中の白い路を歩いて大和田にゆく。風が渡ると後塵万丈三 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記11

2005-12-09 15:01:58 | 戦中派不戦日記
 9月17日 とにかく東条大将はこれからも敵から怪物的悪漢と誹謗され、また日本の新聞も否が応でもそれに合わせて書きたてるであろう。(中略) しかし、彼の人間と存在意義は、遠い後に歴史が決定するであろう。      まったく同感である。 . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記10

2005-12-08 18:53:39 | 戦中派不戦日記
 9月12日 連合国司令部より逮捕状を発せられた東条大将それを待つことなくピストルを以て自決を計ったが死に至らず、敵幕舎に拘留せられ、アメリカ軍軍医の手当てを受けつつありと報ぜられる。(中略) 逮捕状の出ることは明々白々なのに、今までみれんげに生きていて、外国人のようにピストルを使って、そして死に損なっている。日本人は苦い笑いを浮かべつにはいられない。   . . . 本文を読む
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戦中派不戦日記9

2005-12-07 19:16:06 | 戦中派不戦日記
 9月1日 新聞がそろそろ軍閥を叩きはじめた。「公然たる闇の巨魁」といい、「権力を以て専制を行い、軍刀を以て言論を窒息せしめた」といい「陛下を盾として神がかり信念を強要した」という。そして。-「われわれ言論人はこの威圧に盲従していたことを恥じる。過去の十年は、日本言論史上未曾有の恥辱時代であった」などと、ぬけぬけと言う。      ミスリードした日本の言論人たちの犯罪はどのように裁かれたのかな . . . 本文を読む
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近況紹介

上場企業会社員です。 只今69歳。65歳と2か月で脳梗塞を発症、5か月間の入院を経て、6か月後に復職しました。 月に10日ほど仕事をしています。 仕事場は、自宅近くにあるサテライトオフイスです。 好きな言葉は、「着眼大局、着手小局」です。 モットーは、「実態は、現場・現物・現実・数字で確認する」です。なので、根拠は出来るだけ現物を示します。 原理原則は「観察(問題点を探る)・分析(その原因を探る)・判断(緊急と根本的な対策)」です。 読書・運動・公園散歩・旅・映画館での映画鑑賞時間を過ごすのが好きです。