「結婚の儀」から26年――新天皇即位、「令和が始まる」〈週刊朝日〉
皇太子さまと小和田雅子さんの「結婚の儀」から26年。新しい皇室像を模索し続けたおふたりが、令和の天皇、皇后となる。 【写真特集】雅子さまの小学生の頃やオックスフォード留学中の写真なども
「国民の中に入っていく皇室」──。皇太子さまは、理想の皇室のあり方について、そう語り続けてきた。1996年の会見で、具体的なイメージを記者から問われた皇太子さまは、「国民と苦楽をともにし、国民が皇室に対して何を望んでいるか、何をしてほしいかを認識すること」と答えている。東日本大震災のあと、皇太子ご夫妻は宮城、岩手そして福島各県の被災地に何度も足を運び、昨年は九州北部豪雨で死者・行方不明者が出た福岡県を訪れた。 令和の皇室は、どのような祈りをささげていくのだろうか。 生(あ)れいでしみどり児のいのちかがやきて君と迎ふる春すがすがし 2001年に愛子さまを出産した雅子さまは、母となった喜びを、こう歌に詠んだ。皇室という特殊な環境でも、同世代の子どもたちとなるべく触れ合わせたい。そう望んだ雅子さまは、近くの公園で愛子さまの「公園デビュー」にも挑戦した。どこの親も経験するように、子育ての悩みや家族の問題に直面したこともある。それでも、一緒に考え、悩み、乗り越えるべく歩んできた。
海辺でほほえむご一家の笑顔に、家族の強い絆が伝わってくる。 1993年6月9日、おふたりは「結婚の儀」にのぞんだ。 皇室という、日本最古の旧家の長男として生まれた皇太子さまは、時代を象徴するような、外交官のキャリア女性を人生の伴侶として決めた。 87年に外務官僚になった雅子さまは、前年に施行された男女雇用機会均等法の第一世代。ハーバード、東大、オックスフォードという学歴に、「全力でお守りします」という「プリンス」からのプロポーズ。 外交官からプリンセスへの華麗な転身物語に、国民は酔いしれた。 しかし、皇室の伝統やしきたり、跡継ぎへの期待に対して、雅子さまは次第に、重圧を感じるようになる。 結婚11年目の2003年に、雅子さまは、「適応障害」による療養生活にはいった。 いまも雅子さまの体調に、劇的な回復はない。それでも、公務はすこしずつ増え、笑顔を見せる機会も多くなってきたと世間も感じている。 おふたりは、59歳と55歳で令和の天皇、皇后となる。 ご夫妻の歩んできた人生の深みと重みが、新たな皇室像を形づくる。 (文/本誌・永井貴子、構成/本誌・鮎川哲也) ※週刊朝日 2019年5月3日‐10日合併号