皇位継承議論、来春先送り浮上=儀式さなかの過熱懸念-政府
女性宮家創設を含む安定的な皇位継承の在り方に関する議論の開始時期をめぐり、政府内で来春の「立皇嗣の礼」以降に先送りする案が16日、浮上した。
今月30日の天皇陛下退位に伴う一連の儀式が続いている間に、論争が過熱するのは好ましくないとの判断からだ。
皇位継承資格を持つ男性皇族は減少しており、対処策の検討は急務。議論を1年近く先送りすれば、野党などから批判が出そうだ。
皇位継承の安定化について、退位特例法の付帯決議は「政府は(4月30日の)本法施行後速やかに検討を行い、その結果を国会に速やかに報告すること」と定めている。菅義偉官房長官も「即位後、そんなに時間を待たないで」と語っている。
ただ、こうした検討を行う場合、2005年に小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関が提唱した女性・女系天皇容認や女性宮家創設の議論を避けて通れない。安倍晋三首相の支持基盤である保守派は伝統に反する女系天皇などに反対しており、議論を始めれば激しい論争になる可能性が高い。
天皇陛下の退位に伴い、憲法上の国事行為として行われる儀式は、4月30日の「退位礼正殿の儀」から、秋篠宮さまが皇位継承順位1位になったことを示す来年4月19日の立皇嗣の礼まで続く。政府筋は「議論が紛糾しては困る。立皇嗣の礼が終わってから始める」と語った。
先送りの方向性は、夏の参院選を前に党内を二分する論争を避けたい自民党の思惑とも合致する。大島理森衆院議長は15日の講演で「今年の一連の儀式が終わった後、政府は(皇位継承)問題に取り組んでほしい」と語り、今秋にも検討に入るよう求めた。
一方、「1年近い先延ばしは理解を得られない」(政府関係者)との声も根強く、政府は世論の動向を見極めながら、議論の開始時期を探ることになりそうだ。