2019.04.11
<form action="/print" method="get"> <input type="hidden" name="ID" value="189858" /> </form>松本創
橋下時代の「熱狂的」聴衆はもういない
「松井さんと吉村さんが負けたら大阪の成長が止まってまうで」 大阪維新の会の圧勝に終わった府知事・市長の「入れ替えダブル選挙」投票前夜、4月6日の難波・高島屋前。
ごった返す土曜の夜のミナミの雑踏で、大阪市南部から来たという50代の男性は言った。スマホを手にした外国人観光客がひっきりなしに行き交う。
「関空がようなって、インバウンドもこれだけ来とる。万博かてこれからやのに、なあ」
その2週間前、市長選が告示され、本格論戦が始まった3月24日には、天王寺公園で幼児を抱いた30代女性に話を聞いた。 「維新になって大阪が明るくなったと、ママ友たちも言ってます。こうして子連れで遊びに来る場所もできたし、地下鉄のトイレもきれいになった。アナウンスも丁寧やし」
天王寺公園には4年前、民間委託で「てんしば」と呼ばれる芝生広場と商業施設ができた。市営地下鉄は、市が100%株主ながら、民間の新会社になって1年が経つ。
維新が主導する公共施設民営化のメリットを彼女は感じている、ということだろう。
いずれも、維新の松井一郎(現・大阪市長)と吉村洋文(現・大阪府知事)の街頭演説を聞いた後、その場にいた聴衆の中から適当に声をかけ、短い立ち話に応じてくれただけの人なので、これが代表的な声と言えるかはわからない。
ただ、人混みの中で数十分間、足を止めて演説を聞くのだから、支持者ではあるのだろう。松井と吉村が「府市協調で進めてきた維新政治の成果」と誇る話を──本当にそう言えるのかは別として──好意的に受け止めていた。
大阪都構想について聞いてみると、先の男性は「そら、やった方がええ」と即答。女性は「うーん、よくわからない」と首を傾げた。
選挙期間中、維新の演説を何か所か見て回り、印象深かったのは、こうした穏健な支持層の姿だった。もちろん、維新のシンボルカラーである緑色ジャンパーを着て、緑のペンライトを振っているサポーターもいるのだが、大多数は、特別熱心に活動しているわけではなく、強い政治的志向も持っていない、いわゆる無党派の市民が自然発生的に集まっている感じがした。
「4年前」とは明らかに違う光景
(後略)