譲位後、両陛下は園遊会に出席されず 宮中晩餐会、歌会始も
天皇、皇后が各界で活躍した人々を慰労、激励する春秋恒例の「園遊会」について、天皇陛下が来年4月30日に譲位し、天皇、皇后両陛下がそれぞれ上皇、上皇后となって以降は出席されない見通しであることが20日、宮内庁関係者への取材で分かった。日本に招待された国賓を皇族とともにもてなす「宮中晩餐(ばんさん)会」への出席も見送られる。いずれも新天皇と新皇后が主催する行事であることに加え、上皇と天皇が並び立つ「二重権威」を避ける意味合いがある。
宮内庁はこれまで、譲位後の両陛下の具体的なご活動について明言しておらず、その方向性が明らかになるのは初めて。
東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれる園遊会には両陛下が毎回、各界で活躍した2千人余りをご招待。両陛下を先頭に皇族方が招待者に声をかけられる。来年5月1日の皇太子さまの即位後は新天皇、新皇后となる皇太子ご夫妻が主催者を務められるため、こうした状況下で、上皇、上皇后が出席されることは「権威の二重性につながるのではないか」との指摘があった。
宮中晩餐会も出席されない方向で調整が進められる。宮内庁は上皇、上皇后のご活動について、私的な旅行、海外の賓客や文化人との面会、展覧会や音楽会への出席などを想定。「国賓側が晩餐会に上皇、上皇后のご出席を求めるようなことは、外交儀礼上ない」(宮内庁幹部)とされ、親交の深い国賓は宮中晩餐会とは別に懇談などの場が設けられるとみられる。
同様の理由で、歌会始の儀や新天皇の誕生日の一般参賀にも出席しない見込みだが、天皇、皇后と他の皇族が参賀者に応える「新年一般参賀」については、園遊会や宮中晩餐会などとは性格が異なるとして、上皇、上皇后のお出ましが検討されている