自民党の麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)が「政策集団」として存続する方針を確認し、政治資金の裏金事件を踏まえた党内6派閥の対応が出そろった。ただ、両派内では依然、解散を求める声がくすぶり、茂木派では退会の動きに歯止めがかからない。2派の動揺は続きそうだ。
「閉鎖性を見直さなければいけない。(他派閥との)掛け持ちはあり得る」。茂木派を率いる茂木敏充幹事長は1日夜のテレビ番組で、他派閥との掛け持ちを容認する可能性に言及した。
毎週木曜日の昼に一斉に定例会合を開き、掛け持ちを禁じるのが自民党派閥の長年の慣行だ。この点が緩やかな「グループ」との最大の違いだった。見直せば結束が揺らぐ恐れもあるが、茂木派関係者は「柔軟路線に転じなければいけないほど茂木氏は追い詰められている」と指摘した。
経済学者の竹中平蔵氏は4日放送の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」に出演。裏金問題について「自民党が本当の意味で組織化されないと、改革はできない」と主張した。
昔ながらの秘書に責任を丸投げするような発言が続出している自民党の国会議員だが、他の出演者は「秘書もなぜ黙っているのか?」と首を傾げる。これについて竹中氏は「議員さんは落選することもあるので、永田町の中で小さな労働市場ができていて、秘書はそこで生き延びられているようなシステムになっている」と話す。
そうなったのは「自民党は秘書5~20人くらいの零細企業や個人商店の集合体だから」と竹中氏は指摘。「個人商店に雇われた番頭さんは忠義を尽くしていれば、また他の商店にも雇ってもらえる。そういうシステムになっていると思う」と、秘書が全責任を押しつけられても文句を言わない理由を語った。
そのため、竹中氏は自民党もしっかりとした組織化を進める必要があると感じている。例えば公明党や共産党の場合、議員活動やその費用、スタッフなどもしっかり管理されている。「週末になると、党のほうから議員にここの講演会にいってこいなどと言われるんです。そこで講演を聞いた人たちから評価されるのですが、それでダメだったら公認されないんです」と解説。
一方の自民党は「自分でやってこい、自分で金も集めてこい、それで勝ち上がってこい。それが自民党の強さの根源でもあったけど、やはり今回のような問題も起きるわけです」と語った。
岸田首相は裏金の温床となった派閥の解消に向け動き出しているが、竹中氏は「自民党がしっかり組織化することができれば、派閥も自然といらなくなる」と主張した。一方で、裏金問題の真の解明については「国税が動かないことには」という考えを示した。そのうえで、裏金をなくす一番手っ取り早い方法は国税が大手を振って捜査できるように「政治献金をすべて課税すればいい」と持論を述べた。
政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、自民党が安倍派の幹部らに対し、離党勧告などの「処分をすべき」だと答えた人が65%に上ることが最新のJNNの世論調査でわかりました。
「処分すべきではない」は18%でした。
一方、自民党支持者でも、「処分すべき」は47%、「処分すべきではない」は30%でした。
【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。
2月3日(土)、4日(日)に全国18歳以上の男女2572人〔固定1021人、携帯1551人〕に調査を行い、そのうち47.4%にあたる1220人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話614人、携帯606人でした。
インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています
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自民党の石破茂元幹事長を中心とする石破グループ(旧石破派、水月会)は政治団体を解散する方向で調整に入った。関係者が4日、明らかにした。派閥解散が相次ぐ中、政治資金を扱う政治団体も解散するのが望ましいと判断した。
2015年に結成した石破派は21年12月、所属議員の減少を理由に、掛け持ち可能なグループに衣替えした。今年1月末の会合では政治団体を残す方向だった。