自民党が7日に開いた政治刷新本部の会合の出席者からは、政治資金規正法違反事件の中心となった安倍派元幹部らの処分を求める声が相次いだ。党執行部は17日の党大会後に処分する方向で検討を進める。安倍派内には厳しい処分への反発があるほか、対象の線引きも容易ではなく、調整は難航しそうだ。
■来月補選への影響懸念
会合には党に所属する衆参両院議員135人が参加し、27人が発言した。無派閥の青山繁晴参院議員は「誰も処分されず、誰も責任を取っていない」と述べ、安倍派元幹部らを早急に処分するよう求めた。
西田昌司参院議員は会合後、記者団に「党則(改正)もいいが、安倍派元幹部が責任をとらないと話にならない」と話した。船田元・衆院議員も記者団に「問題を起こした人の処分をしっかりやってほしい」と語った。
党内から関係者の処分を急ぐよう求める意見が続出するのは、低迷する内閣や自民党の支持率を回復させなければ、4月28日に投開票される衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙や次期衆院選の勝敗に影響するとの危機感があるためだ。若手衆院議員の一人は「地元で有権者から『自民はダメだ』とお叱りを受けている。処分が遅れれば、改革姿勢が疑われる」と表情を曇らせる。
党の処分には重い順に「除名」「離党勧告」「党員資格停止」「選挙における非公認」「党の役職停止」などがあり、その軽重は党紀委員会が決める。
過去の処分の際は、当時の執行部の意向も強く影響した。2005年に小泉純一郎首相が主導した郵政民営化関連法案の採決に造反した所属議員に対しては、除名や離党勧告などの厳しい処分が下された。今回の処分の内容について、党内からは「相場より厳しい処分でなければ国民の納得は得られない」(中堅)とする声が上がっている。
処分対象の範囲を巡っては、安倍派では事務総長経験をどう判断するかが焦点となる。元会計責任者らが立件された二階、岸田両派の処分対象も検討課題だ。
処分を下す時期について、岸田首相は2日の衆院予算委員会で「できるだけ早いタイミングで政治責任などのけじめをつけていきたい」と説明した。ただ、処分内容や範囲によっては党の分断を招く恐れもある。首相らは要路への根回しを行うなど丁寧に事を運ぶ考えだ。