とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

<日本の岐路 3月をつづる>心に響かない理由 政治部長・高山晶一 2021年3月30日 06時00分   東京新聞

2021年03月30日 10時07分17秒 | 菅政権
緊急事態宣言の全面解除を決め、記者会見する菅首相=18日午後、首相官邸で(小平哲章撮影)

緊急事態宣言の全面解除を決め、記者会見する菅首相=18日午後、首相官邸で(小平哲章撮影)

 「対策は大きな成果を上げている。目安とした基準を満たしている」
 「しかしながら感染者数は横ばい・微増の傾向が見られ、リバウンドが懸念される。今が大事な時期だ」
 新型コロナウイルス対策で緊急事態宣言解除を決めた18日、菅義偉首相が記者会見で訴えた言葉は、まるで矛盾しているように聞こえた。
 「感染拡大を二度と起こしてはいけない。その決意を、自らにも言い聞かせている。できることはすべてやり抜く」とも強調したが、すべてやり抜くのに緊急事態宣言をやめるのは整合性がとれない。本当は、効果が薄れたから解除することを国民は見抜いている。その是非はともかく、首相がいつまでも本音を語らないことが、国民と信頼関係を築けない結果につながっていないだろうか。
 「状況が悪化したらどう責任を取るのか」という質問にも、首相は直接答えなかった。感染が再拡大したら結局、責任を問われるのだから、「収束に政治生命を懸ける」という覚悟をはっきり示した方が伝わったはずだ。
  ◇
 緊急事態宣言が解除されたとたん、足元の自民党では、日常モードに戻すような動きが相次いだ。
 解除翌日の22日、自民党は二階俊博幹事長名で、会食に関する通達を所属議員に発出。人数にかかわらず自粛を求めた1月の通達と異なり、大人数での会食を控えるよう求める内容だった。大人数の定義は曖昧。二階氏は「同志を信頼している」と語った。
 同党の観光立国調査会は24日、観光業再生に向けた緊急決議をまとめて観光庁に提出。段階的な支援再開を盛り込み、停止中の「Go To トラベル」も柔軟対応を求めた。
 会食を解禁して支持者との結びつきを強めたい気持ちや、観光業を支援したい思いがあるのだろうが、感染を再拡大させないという首相の決意が疑わしく見えてしまう。
  ◇
 政治記者になりたてのころ、「政治家はうそをつくから気をつけろ」と先輩から繰り返し注意された。政治家は本質的に、本音と建前を使い分けるので、違いが分からなければ真実を伝えられないという意味だ。
 菅首相に限らず、日本では、権力を持つ政治家の多くは、国民に不安を与えたり政権の評価が落ちたりするような言葉は使いたがらない。うわべだけの言葉になりがちで、国民の心に響かないので、新型コロナのような国難で信頼は得られない。本音を語らない政治スタイルは、もはや古い。海外でも、心情を込めてありのままを話し、協力を求める宰相が信頼されているように見える。
 これから選挙の季節に入る。4月に衆参両院の3補選・再選挙があり、7月には東京都議選。そして10月までに衆院解散・総選挙が実施される。いいことも悪いことも含めて本音を語るリーダーが、国民と一緒に危機を乗り越えていくような政治に転換する機会となるだろうか。

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