2024年に世界が注目した日本人 「政治経済・ビジネス」部門
1 石破茂(政治家)
日本の新内閣総理大臣の誕生に、世界のメディアも注目した。
【画像】政治経済・ビジネス部門に選ばれた「世界が注目した日本人」10人の顔ぶれ
米「ニューヨーク・タイムズ」紙は、自民党総裁選に出馬した候補者たちの政策には「とくに大きな違いはなかった」としながらも、石破が地方創生や原子力発電所の段階的な廃止を掲げていることを紹介。「アジア版NATO」を形成して、日米同盟をより対等なものにしたいという石破の考えにも触れた。
だが、米「ワシントン・ポスト」紙は新首相を「大きな変化の前兆とはいえない」と書く。それは、石破が岸田文雄前首相と同様に世襲議員であり、以前として政権を維持しているのは自民党だからだ。同紙は、70年近く続く自民党の一党政治について「健全な民主主義なのか」と疑問視した。
ドラゴンボールZの「魔人ブウ」のコスプレをし、戦闘機や艦船プラモデルの組み立てに夢中になり、映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』を100回以上鑑賞して「いつも同じところで泣く」──そんな「オタク」である石破が、日本のポップカルチャーにとって、どんな意味を持つのだろうか?
日本政府の「クールジャパン戦略」が大失敗だったとしても、日本政府が世界の人々と交流を図るうえで、ポップカルチャーの果たす役割はますます大きくなっていくだろうと、アルトは予測する。そして、「オタクの感性に訴えた初の首相」は、2000年代初頭の外相時代に日本のソフトパワーを政策の柱に位置づけた「麻生太郎だった」としながらも、その「後継者」として石破にこう期待を寄せた。
「『ヤマト』の映画を観て泣いたことを認めた最初の首相として、石破はソフトパワーおよびカルチャー外交重視派になりそうな気はする」
2 孫正義(実業家)
10月、ソフトバンクグループがOpenAIに700億円超を投資し、大きな話題を集めた。しかし英「エコノミスト」誌からは、孫正義のAI戦略は「絶望的なまでに出遅れている」と指摘されてしまった。
3 小野真紀子(実業家)
サントリー食品インターナショナルで初の女性社長に就任し、注目を集めた。英「フィナンシャル・タイムズ」紙が小野真紀子にインタビューし、これまでのキャリアや挫折、そして経営者として目指す姿を聞いた。
4 夏野剛(実業家)
出版グループ「KADOKAWA」がフランスで合弁会社を設立し、「ヨーロッパ初の支社」を立ち上げた。仏「ル・ポワン」誌は、KADOKAWAの本格的なヨーロッパ進出に注目し、CEO夏野剛のインタビューを掲載した。
5 寺尾玄(実業家)
「家電業界のApple」と呼ばれる「バルミューダ」の創業者を韓国紙「朝鮮日報」が紹介した。寺尾は高校中退後、バンドマンとして過ごしたが、生計を立てるために働いた工場で得た技術で、電子機器用のアクセサリーを作ったのを機に起業。その後、羽を二重にすることで「自然な風」が流れる扇風機を開発。「市場の10倍の価格」で販売したものの、大ヒットした。
6 渡邉美樹(実業家)
宅配給食と居酒屋チェーンを展開する「ワタミ」が、10月に「SUBWAY」の日本事業を買収し、話題を呼んだ。同社のCEO渡邉美樹を英「フィナンシャル・タイムズ」紙は「居酒屋王(pub king)」と評し、「居酒屋からファストフード」への方向転換についての真意をインタビューで聞き出した。
7 小池淳義(実業家)
日本政府と民間企業から巨額の投資が注ぎ込まれている半導体企業ラピダスの動向に英「フィナンシャル・タイムズ」紙が注目。CEOを務める小池に取材したうえで、日本の半導体業界の盛衰を伝える長文記事を掲載した。日本の半導体は衰退したものの復活の土台はあるとし、その困難さや実現したときのインパクトを伝えている。
8 近本あゆみ(実業家)
日本のお菓子の詰め合わせやキャラクター商品、コスメなどをサブスクリプションで外国に販売する、株式会社「ichigo」の代表を韓国紙「朝鮮日報」がインタビュー。東京の銀座で買い物をする外国人観光客から着想を得たこのサービスは、欧米だけでなく、メキシコ、インド、オーストラリアなどでも展開されていると、紹介した。
9 阿部俊子(政治家)
毎年12月、英「フィナンシャル・タイムズ・マガジン」はその年、最も影響力のあった女性を集めた特別号を毎年発行している。そして、「2024年、読者が注目した女性」25人のなかに、文部科学大臣の阿部俊子が選ばれた。
10 高島崚輔(政治家)
2023年、26歳という若さで兵庫県芦屋市の市長に就任した高島崚輔(りょうすけ)。英「エコノミスト」誌が、「日本の若者として珍しいキャリアを進んだ」最年少市長として紹介した。
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