迷言の「愚か者」が、選挙戦最終盤で自らに突き刺さった格好だ。
27日投開票の衆院選で東京7区から出馬している丸川珠代元五輪相(53)の選挙違反が、日刊ゲンダイの取材で分かった。
丸川陣営は25日夜、JR田町駅で街頭演説を実施。公職選挙法は、夜8時以降、街頭演説に伴うビラ配りを禁じているが、丸川陣営は8時を過ぎてもビラの配布を継続。日刊ゲンダイはその現場を写真で撮影した。
記者が同日夜、他陣営の街頭演説の取材を終えて駅周辺を歩いていると、駅出入口付近で丸川陣営を発見。赤いジャンパーを着た約10人の陣営スタッフが丸い「うちわ」状のビラを配っていた。丸川本人はマイクのスイッチを切っていたが、道行く人に「よろしくお願いします」と声をかけ、写真撮影などに対応。付近には、選挙管理委員会が交付する候補者名が記された「標旗」が掲げられ、スタッフは「腕章」をつけていたが、これは完全にアウトだ。
東京都選挙管理委員会によると、ビラの配布が許されるのは、街頭演説を行う現場だけ。街頭演説を行うには「標旗」を掲げ、陣営スタッフは「腕章」をつける必要がある。ところが、街頭演説は夜8時から翌日朝8時までの時間帯は行ってはならない(公選法164条の6)。
つまり、丸川陣営は公選法が禁止する時間帯に「標旗」を掲げ、街頭演説を実施し「腕章」をつけたスタッフによるビラ配布を行ったということ。マイクを切っていようがいまいが関係はなく、公選法違反の可能性が高い。
丸川陣営に問い合わせると「回答できる担当者が不在」とのことだった。
■マイクを切っていてもNG
この問題については、ニュースサイト「SmartFLASH」も25日に疑惑として記事にしていて、ここで丸川陣営の担当者は 「拡声器を使っての活動は20時までという決まりですが、(以降も)声を出すだけの活動なら問題ありません。ビラ配りもできます。もちろん、シール(選挙運動用証紙)が貼ってあるビラです。スタッフも腕章を付けて、候補者名などが記された標旗も掲げていました」と答えている。午後8時以降の「標記」「腕章」をしてのビラ配りを常態化させているということだ。
ある地方議員が言う。
「丸川陣営はマイクのスイッチさえ切っていれば活動していいと認識しているようだが、それは素人考え。夜間のビラ配布がアウトなのは、我々からしたら常識だ。そんなことも分かっていないなんて、選挙をやったことがないとしか思えない」
裏金議員の丸川は、比例重複立候補ができなかった。「愚か者は自分だった」と後悔しても、もはや手遅れかもしれない。
◇ ◇ ◇
実は丸川珠代候補は衆院選中、異例のステルス選挙を展開していた。街頭演説の日程をほぼ公表していなかったのだ。関連記事【もっと読む】では日刊ゲンダイが25日、選挙区内を自転車で駆け回り、同候補を捜した一部始終を報じている。
「一体、どこにいるんだ!」──。心の中で何度、叫んだことか。衆院東京7区から出馬した自民党の丸川珠代元五輪相が、異例のステルス選挙を展開中だ。というのも、街頭演説の日程をほぼ公表していないのだ。
例外は公示日の第一声と、自民党本部が公表した石破首相が26日応援に入る恵比寿駅西口での街頭演説。選挙初日と最終日の2カ所だけだ。安倍昭恵夫人が応援に駆けつけた16日の街頭演説でさえ、事前告知は一切なし。「会いに行けない」候補者である。
丸川候補は「裏金議員」のひとりで、参院から鞍替えした今回は厳しい選挙戦だ。それこそ大勢の聴衆を集め、反省と今後の決意を訴えればいい。なぜ、ステルスを貫くのか──。
選挙事務所に複数回電話をかけても誰も出てくれない。真意を知るにはもう直接、本人に聞くしかない。そう思い立った日刊ゲンダイは25日、選挙区内を自転車で駆け回り、丸川候補を捜した。
区割り変更で渋谷区に港区全域が加わった東京7区はかなりの広さ。品川駅から渋谷駅に行くだけでも約5キロの道のりだ。SNS上の“出没”情報だけを手がかりに丸川候補を捜したが、案の定、捜索は難航。あっという間に日が暮れてしまった。
「会えない運命なのか……」
諦めかけていた午後7時ごろ、〈丸川が麻布十番にいる〉との目撃情報をSNSでキャッチ。港区の青山霊園にいた記者はギアを上げ、全速力で自転車を飛ばしたが、ああ、無情だ。到着時には演説が終わり、選挙カーがちょうど去って行くところだった。
■1日かけて見つけた本人を直撃すると…
ここを逃せば1日の努力が水の泡だ。フルスロットルで追跡すると、選挙カーはJR田町駅前で停車。すでに拡声器使用の制限時間の午後8時過ぎ。丸川候補は駅頭に立ち、通行人への挨拶を始めた。愛嬌をふりまき、身ぶり手ぶりで応じる。選挙活動を妨害するまいと遠巻きに眺め、待つこと約1時間20分。ようやく終了したタイミングで声をかけた。
――情勢は厳しいようです。
「全くやってみないとわからない状況になっています」
落ち着いたトーンで一言。その瞬間、陣営スタッフが遮り「今日は取材を受けていないので、申し込んでからでお願いします」と制止に入る。せめてこの質問だけはと遊説日程を公開していない理由をスタッフに聞くと、「あ、それも取材になるんで……。すみません」とピシャリ。
ようやく会えたのに、なんとも悲しい結末となった。
(取材・文=橋本悠太/日刊ゲンダイ)
元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏、元日本テレビ官邸キャップで政治ジャーナリストの青山和弘氏が26日、ABCテレビ「教えて!ニュースライブ正義のミカタ」に出演。27日投開票の衆院総選挙の与野党の獲得議席を予想した。
23日に「しんぶん赤旗」が、自民党が裏金問題で非公認にした議員8人が支部長を務める支部に、活動費として政党助成金2000万円を支給していたと報道。石破茂総裁は「候補者に支給したものではない」と釈明しているが、影響は大きいと予想されている。
高橋氏は、「月曜日に計算したときには225±20だったが、2000万円問題報道があって読みにくくなったけど、現在は215±20」と過半数233議席を割り込むとはじき出した。
「2000万円問題はダメ押し。ちょっと前までは自公で過半数の可能性が6割くらいだったが、いまは8、9割のレベル」と言葉を強めた。与党で過半数割れとなれば、政権維持のために新たに連立を組む必要がうまれる。高橋氏は、「何でもアリの世界になる。大変。一方で、自民党の中に『石破さんなんかとんでもない!』という人もいるから、ぐちゃぐちゃになる」と混迷を深める政局になると話した。
高橋氏の予想の最低ライン195議席とすると「政権交代もありうる」と付け加えた青山氏。自身の予想は「自公で230議席。ギリギリで過半数割れだが、非公認の人を追加公認すれば、過半数を超える数字」と微妙なラインであると踏んだ。
「投票率が下がると自公はそれなりに自力を発揮する」と分析。勝敗ラインは233のため「石破首相からすれば、ダメージはあるものの『追加公認で政権維持できるから、辞めなくていいんじゃん』と」と補足した。
衆議院選挙が後半戦に入った。10月27日に投開票されるが、依然として自民への逆風は強く、自民党議席がかなり減り、立憲民主党の議席が大幅に増えるというのがほぼ一致した見方だ。選挙の…
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