とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

神社

2006年12月10日 11時11分04秒 | 宗教・哲学・イズム
神社 じんじゃ
神道の信仰にもとづいて,神々をまつるために建てられた建物,もしくは施設を総称していう。 やしろ (社),ほこら (祠)。一般には,神が鎮座する本殿,神を礼拝しさまざまな儀礼を行う拝殿,本殿・拝殿などを囲む瑞垣 (みずがき),神域への門に相当する鳥居などからなり,そのほかに神宝を納める宝殿,参拝者が心身を浄めるための手水舎 (ちようずや),神に奉納する神楽 (かぐら) を奏する神楽殿,神官の執務のための社務所,神苑などさまざまな施設を併せている。古い時代には,おそれかしこんでまつられる神々は,人間の住む所から遠く離れた世界に住んでいると考えられていたので,神々をまつるためには,高い山の頂,大きい森の中などで神々を迎える準備をし,そこを〈神奈備(かんなび) 〉と呼び,大きい岩石,高い樹木などを神々が寄りつくものと考えて, 〈神籬(ひもろぎ) 〉〈磐座・磐境(いわくらいわさか) 〉などと呼んだ。その後,建築技術が発達するにつれて,人間が住むみや (宮),みあらか (御殿) に擬して神宮,神社を建造するようになったと考えられる。
 記紀神話によれば,出雲の国譲りに際し,天照大神は大国主神に対して,日隅宮 (ひすみのみや) を建造すべきことを約束し,また瓊瓊杵 (ににぎ) 尊が日向の高千穂の峯に降臨したとき,これを八衢 (やちまた) に迎えた猿田彦神は,地上に降って伊勢の五十鈴河のほとりに退いたが,のちにその地に倭姫命がたどりつき,天照大神の神鏡を鎮祭するに至ったと伝えている。この神話は,のちの出雲大社と伊勢神宮の起源を語るもので,両宮は日本の神社の中で最古のものと考えられた。その後,崇神天皇のときに,大国主神の子大物主神を大和の三輪山にまつり,また倭大国魂神を同国の山辺郡にまつったとあるが,それらは出雲,伊勢につぐ神社であった。以上の例から明らかなように,大和朝廷はその国土統一にあたって,みずからの神々の社〈天社 (あまつやしろ)〉のほかに,いわば先住民族 (出雲系) の神々の社〈国社 (くにつやしろ)〉をまつったと考えられる。
 やがて律令体制が整えられると,太政官のほかに神梢官(じんぎかん) が置かれ,神梢官は祈年,新嘗,月次,大祓などの祭りごとに天神地梢に奉幣するものとされた。神梢官が直接に奉幣する神社は官幣社,地方の神々の社で国司が奉幣する神社は国幣社と呼ばれた。 10 世紀の初頭にまとめられた《延喜式》には,全国で 2861 の神社,3132 座の神名が記載されているが,そこに見える神社を後世式内社(しきないしや) という。また式内社以外に六国史に名が記されている神社が 391 社あり,それらを国史現在社といった。こうした三千数百の神社は,国家が公認した特殊な勢力のある神社で,各地の集落の生活と結びついた神社はさらに多かったものと思われる。国司は任国内の神々をまつることを第一の任務としていたが,平安時代には,奉幣に際して,参拝する順序がきまり, 一宮,二宮,三宮などのように各国内の神社の社格を示すようにもなった。さらに平安時代になると,国内の神々を一ヵ所にまつる総社(そうじや) が建てられたりした。朝廷でも全国の神社に奉幣するかわりに,畿内の二十二社(にじゆうにしや)に奉幣することが多くなり,二十二社に選ばれた神社は特別の社格を認められたもののように考えられた。
 鎌倉時代以降,幕府や大名はいずれも神社の修理造替につとめ,神領地を寄進し敬神の態度をとった。明治時代になって,政府は神梢官を再興し, 官国幣社の号を復し,府県社,郷社,村社などの社格を定め,その崇敬と維持を道徳の基本として,国民に強要した。他方,私人がその邸内などに勧請設置した分社や小祠の類はこれを神社とは認めず,一般公衆が自由に参詣しうることを神社の要件の一つと定め,また神社は必ず府県の社寺課に備えられた神社明細帳に登録されるべきものとした。
 第 2 次大戦の後,神社はすべて国家もしくは自治体のいっさいの保護援助をも受けることを止められ,仏教の寺院やキリスト教の教会などと同じく一つの宗教団体として取り扱われるようになった。現在のところ全国の多くの神社を統合した神社本庁という組織が一つの宗教法人となって活動しており,少数の神社がそれに加わらず別の宗教法人となっている。 ⇒神社建築∥神道
柴田 実

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