トランプ氏、ワシントン空中衝突は「多様性」のせい
【1月31日 AFP】米首都ワシントン近郊の空港付近で29日、小型旅客機と陸軍ヘリコプターが衝突した事故で、ドナルド・トランプ大統領は30日、ポトマック川から67人の遺体が収容されている中で記者会見し、事故の原因は「多様性」に基づく採用だと主張して悲劇を政治問題化した。
これに先立ち、アメリカン航空の子会社が運航するボンバルディア製の旅客機と、米軍のヘリコプター「ブラックホーク」の衝突について、捜査当局は経緯を解明するのには時間が必要だと警告していた。
米紙ニューヨーク・タイムズが連邦航空局(FAA)の予備調査報告書を引用して報じたところによると、旅客機が着陸しようとしていたレーガン・ナショナル空港の管制塔は事故当時、人員が不足していた。通常ならば2人で行う旅客機とヘリの管制を、1人が担当していたという。
トランプ氏は事故に関する記者会見を、DEI(多様性、公平性、包括性)撲滅運動の場に変えた。
民主党のジョー・バイデン前大統領やバラク・オバマ元大統領がDEIを推進するためにFAAから優秀な職員を排除したと非難。「彼らは実際に『白人が多過ぎる』という指示を出した。だが、われわれが求めているのは有能な人材だ」と主張した。
さらに、同性愛者であることを公表しているピート・ブティジェッジ前運輸長官に矛先を転じ、「彼は多様性を推し進め過ぎて組織をめちゃくちゃにした」と批判した。
J・D・バンス副大統領やピート・ヘグセス国防長官も順番に演壇に立ち、DEIが有能な米国人を要職から排除しているという極右の理論を証拠を一切提示することなく繰り返したため、このメッセージは強く印象付けられた。
事故の原因は職場の多様性かと記者団に問われると、トランプ氏は「そうだったかもしれない」と回答した。
これに対しブティジェッジ氏はX(旧ツイッター)で、トランプ氏を「卑劣」と呼び、「(犠牲者の)家族が悲しむ今、トランプ氏はうそをつくのではなく、指導力を発揮すべきだ」と訴えた。
民主党のクリス・マーフィー上院議員も、「墜落の原因はFAAが女性と黒人を雇用したせいだ」とするトランプ氏の発言には「うんざりだ」とXに投稿。「責任は彼(トランプ氏)にある。これは彼の任期中に起きたことだ」と訴えた。
だがトランプ氏はこの後、バイデン前政権下での「採用基準の低下」について調査し、不適格者を「交代」するよう政府に指示する公式通達を出し、強硬姿勢を強めている。(c)AFP
トランプ氏のグリーンランド購入は「本気」 米国務長官
【1月31日 AFP】マルコ・ルビオ米国務長官は30日、ドナルド・トランプ大統領がデンマーク自治領グリーンランドの購入を真剣に検討していると述べた。
米ラジオ局シリウスXMのインタビューでルビオ氏は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国であるデンマークに対して米国が軍事力を行使するのではないかとの懸念の払拭(ふっしょく)を図る一方、トランプ氏のグリーンランドをめぐる発言は「冗談ではない」と述べた。
ルビオ氏は「トランプ大統領は購入の意向を示している」「これは単に土地を得るためではない。われわれの国益に関わることであり、解決が必要だ」と述べた。
ルビオ氏はNATOの集団防衛に言及し、「グリーンランドが攻撃を受けた場合に同地を守るための防衛協定をデンマークと締結している」と述べ、「われわれに既にその責任がのならば、そこで何が起こるかをより管理する方が良い」と語った。
ルビオ氏はまた、北極へのアクセスを狙う中国が、国営企業を通じてグリーンランドで影響力を拡大することへの懸念を表明。「中国がパナマ運河や他の場所で行ったことを、グリーンランドでも短期的にでも試みる可能性があると考えるのは完全に現実的だ」と述べた。(c)AFP
トランプ氏、BRICSの脱米ドルを再びけん制 「100%関税」
【1月31日 AFP】ドナルド・トランプ米大統領は30日夜、主要新興国で構成するBRICSに対し、米ドルに代わる基軸通貨としていかなる通貨も支持しないと確約しなければ、100%の関税を課すと改めて警告した。
BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカなどで構成される。
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、「われわれが傍観している間にドル離れを試みるというBRICS諸国のもくろみは終わりだ」と投稿。
「われわれは、一見敵対的なこれらの国々に対し、新たなBRICS通貨を創設せず、強力な米ドルに代わるいかなる通貨も支持しないという確約を求める。応じなければ100%の関税を課す」と続けた。
トランプ氏は就任直後、隣国のカナダとメキシコに対しても、不法移民とフェンタニル(オピオイド系鎮痛剤)の米国への流出を取り締まらなければ、2月1日に25%の関税を課すと表明している。
トランプ氏はBRICSの一角を成す中国に対しても別途、貿易収支の不均衡と米国へのフェンタニル流入への関与を理由に、早ければ2月1日にも関税を課すと警告している。(c)AFP