春の花が咲きはじめました
その上(かみ)は酒に浮けつる梅の花
土に落ちけりいたづらにして
良寛
(その昔は、杯の酒に浮かべて楽しんだ梅の花なのに、
今日来てみると、むなしく土の上に散り落ちていることよ。)
『良寛の名歌百選』考古堂 p.4
この歌は文化元年に良寛が新潟県分水町の医師原田氏の屋敷跡へ来て詠んだもので、その3年前は原田氏ともども3人で梅の花の下で杯を酌み交わしたものだが、その後原田氏は移転し、その屋敷は今は跡形もなく梅の花がいたづらに散っている、という索しい心象風景を詠んでいるようです。
ところで、私事で恐縮ですが、東京焼野原のため東京から父母が仲間と集団疎開した地が分水町なのである。わたしは、そこで中学3年の1学期まで住んでいました。良寛禅師が山籠もりしていた五合庵まで学校で遠足に連れて行かれたものです。良寛は江戸時代に分水町を歩いていたのですね。良寛は地元では敬愛されていたのでパトロンになりたい人はたくさんいたようです。が、良寛はつつましやかにほとんど援助を断っていたようです。みなさんも、いつか山籠もりした国上山(くがみやま)に行ってみてください。柏崎も近いです。つまり日本海沿岸にあります。良寛の質素な生活ぶりにはびっくりするでしょう。
我が家も移転する計画が浮上しているので、長年育ててきた植物をすべて捨てていかなければならないので、じわっときます。